アカデミック・キャリアパスで研究者が切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
読売新聞の人生案内より:
20歳代後半の家事手伝いの女性の質問

「私は幼いころから本が好き。人間に興味があり、考え、分析することも大好きです。小説家になりたいと思っています。ただ、今のところ、これといった行動を起こしてはいません。図書館の本を読むくらいです.....(小説家になるためには)これから、何をすればいいのでしょうか。その道の専門家の方にご指導いただけたらと思います。」


これに対して作家・出久根 達郎氏は;

「.....職業として選ぶのは狭き門ですから、おやめになった方が賢明です.....小説家になるための心得は、別にありません.....」


と素っ気なく淡々と答えています。この女性の質問内容から感じられる情熱や覚悟のレベルから考えれば、職業としての小説家を薦めないのが妥当な回答だと思います。

この方の質問は進路に関する質問の悪い例の一つであると思います。では進路に関する良い質問とはなんでしょうか。それは質問を聞けば、そのひとが背中を押してほしいのか、止めてほしいのか自然に相手に伝わってしまうまでよく練られた質問だと思います。質問をした時点でほぼ意思は決まっているのです。質問者が回答者に求めているのは、その意思の確認にすぎません。質問するという行動に至る過程でひたすら考えを整理し、結論のすぐそばまで自力で接近するというプロセスが大切なのです。そして、最後の一押しに少しだけ人の力を借りたいのです。

ですから、この質問のように「何をすればいいのでしょうか」と聞かれれば(もちろん、新聞の人生相談のような書面では無理ですが)、あなたはどう思うのかと問い返し、ひたすら本人の考える過程を助けるという態度に徹するのが人生相談回答者の正しいアプローチではないかと私は考えます。(実際には説教になったり、自分の人生自慢や苦労自慢になることもありますが.....)






テーマ:資格取得 - ジャンル:学問・文化・芸術

10月2日はガンジーの誕生日にちなんでthe International Day of Non-Violenceとなっています(2007年より、United Nationの決定)。

そんななか偶然見つけたガンジーの名言集のスライドショーに、気になる言葉がありました。
Gabdhi_1
キャリアアドバイスには「Change」を恐れずに受け入れなさい「You must embrace changes」というトーンのものが多いのですが、「You must be the Change... 」あなた自身がその変化たれというコンテクストは、私に非常に新鮮で新しい物の見方を教えてくれます。

Gandhi
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テーマ:文明・文化&思想 - ジャンル:学問・文化・芸術

グラフィックデザイナーであるステファン・サグマイスター(Stefan Sagmeister)は、人生で学んだいくつかの重要なレッスンを、デザインの力で発信しています(プロジェクト”Things I have learned in my life so far”)。”Things I have learned in my life so far”の初期の作品のひとつが:

Keeping a Diary Supports Personal Develpment.




もっと多くのレッスンはこちらを

テーマ:アート・デザイン - ジャンル:学問・文化・芸術

25人のマッカーサーフェロー(MacArthur Fellows)が今年も発表されました。マッカーサーフェローは"genius grant"とも呼ばれ、大富豪で実業家であったJohn Donald MacArthur (1897-1978)の個人資産を元に設立されたJohn D. and Catherine T. MacArthur Foundationが選ぶ最高にクリエイティブな人物に贈られる権威あるグラントです。

“The MacArthur Fellows Program celebrates extraordinarily creative individuals who inspire new heights in human achievement,”


マッカーサーフェローは歴史と権威があるだけでなく、ある意味ミステリアスでもあり、その選考プロセスは謎に包まれています。フェローは、ある日何のまえぶれもなく、一本の電話がかかってきて受賞を知らされ、50万ドル(約5000万円)の完全に自由に使える(No strings)グラントが授与されるそうです。

2008年の25人のマッカーサーフェローは、バイオリニスト、歴史家、集中治療医、生物学者、コンピューターサイエンティスト、農業経営者などと多岐にわたり、年齢も幅広く30から70歳まで。

クリエイティブの定義は人により、状況により、時代により異なると思いますが、25人のマッカーサーフェローの業績とプロフィールから、(おそらく)米国のエスタブリッシュメントが今考える”最高にクリエイティブな人物”に現代のクリエイティブのヒントを見つけ出すことができるのではないでしょうか。


テーマ:文明・文化&思想 - ジャンル:学問・文化・芸術

P⋅F⋅ドラッカー曰く:

奇跡の困った点は、稀にしか起こらないことにあるのではない。あてにできないことにある。(プロフェッショナルの条件)


なるほど....
物事の本質を見抜くドラッカーの眼力にはいつもならが感心させられます。




テーマ:ことば - ジャンル:学問・文化・芸術

パラダイムを変えるような革命的な研究成果は、最初は激しい抵抗と反対に会うものです。今日ハーバードでセミナーをしたマックスプランク研究所のマイク レスは、免疫学のパラダイムを変えるかもしれない研究者のひとり。彼のリンパ活性化のメカニズムに関する仮説は何年もの間、エスタブリッシュメント側の研究者からの強い反対に会っているようですが、彼はあくまでもポジティブです。

マイク?レスによるとパラダイムシフトを引き起こすような革命的研究成果に対するエスタブリッシュメント側の研究者の反応には、3つのフェーズがあるそうです。

フェーズ1(強い否定):君の研究結果など信じない(I do not believe it
フェーズ2(無関心):君の研究結果に興味などない(It is of no interest to me)
フェーズ3(合意と共有):私たちもずっとそう思っていたんだ(We have always known it



フェーズ2と3のギャップが非常に大きいのは、研究者は自分の仮説や研究結果が間違っていたと認めたがらない人種であるためでしょうか(それだけ信念が強い...)。インパクトのある研究には忍耐力が必要で、長い道のりを辛抱強く歩かねばなりません。長い間コンセンサスやサポートが得られない状態でも、フェーズ2まで来たら道半ば以上と感じることができれば、もう少しがんばれるのではないでしょうか。



テーマ:研究者の生活 - ジャンル:学問・文化・芸術

池田信夫Blog「あなたの会社が救済される方法」:

Go Big: 自分の会社だけでなく、金融システム全体を危険にさらせ。世界130ヶ国に現地法人をもち、グローバルな金融市場を脅かすのが一番だ。........



この金融危機から何か個人のキャリア形成と危機管理に関して学べることがあれるとすれば、「独立/自立しても、孤立するな」のように思います。いかに自分の存在をコミュニティーに組み込み、運命をともにする人を何人ももつか。語弊がありますが、「自分がこければ、多くの人にも迷惑がかかるようなつながりを、遠慮せずに作ること」が最も強いセイフティーネットして機能するはずです。(ただし、このセイフティーネットは双方向性なので(セイフティーネット2.0?)、他人がこければ自分にも影響があるので、喜んでその人を助ける必要があります。)

過度の「自己責任論」に影響されて、「他人に面倒をかけられたくないが、自分も他人に面倒もかけられない」ような孤立状態に陥らないことを意識してもよいのではないでしょうか。




テーマ:文明・文化&思想 - ジャンル:学問・文化・芸術

先日のエントリーでとりあげた、竹中平蔵・上田晋也のニッポンの作り方「消費しない20代が日本を滅ぼす!?−若者はサクセスストーリーを経験して積極的になれ!−」など、若者の消費の減少を問題視する記事を最近よく目にします。しかし、この現象はけっして新しいことではなく、社会学者Zygmunt Bauman教授が10年前(1998年)に発表した「Work, Consumerism and the New Poor(和訳:新しい貧困、青土社)」で、「労働」から「消費」に価値観の焦点がシフトしていくことをすでに指摘しているようです。実際に本はまだ読んでいませんので、要旨から抜粋しますと:

働くことよりも消費することに価値と意味が与えられる時代。消費すらできない人たちは、社会的な役割をもちえない自由競争の敗北者として、福祉からもコミュニティからもそして 「人間の尊厳」 からも排除される・・・・・・
If "being poor" once derived its meaning from the condition of being unemployed, today it draws its meaning primarily from the plight of a flawed consumer......



わたしは(そして多くのひともおそらく)、この価値観の変化には同意できそうにありません。なぜなら、働くことにおいては、経済効果には直接的には結びつかない(ソフィアバンクの田坂氏がおっしゃるように)「個人の成長という報酬」と、それを通じた「社会への貢献(感)」が大きな意味を持つと信じているからです。労働によってお金を得て、自分や家族に必要なもののために消費することはあくまでも二次的なものであると思います。

お金はあるにこしたことはないと言いたいところですが、億万長者でない一個人が、現在の自分を肯定するための生き方のひとつが、お金や消費は最も重要な物ではないと、やせ我慢しながらでも言い張ることですので....






テーマ:雑記 - ジャンル:学問・文化・芸術

羊土社の実験医学で連載中の「プロフェッショナル根性論」も第9回となり、あと第10回の最終回を残すのみとなりました。第9回「説得力のあるプレゼンテーション」に関連したウェブ連載「心に残るプレゼンテーション」がアップロードされました。

TED(Technology,Entertainment,Design)は世界トップクラスのクリエイティブでイノベーティブな人材が集いプレゼンテーションする場であり,そこではある意味、世界最上のプレゼンテーションを見ることができる....



ブログで個別に紹介してきましたが、"Art of Persuasion" ともいえる最も説得力のあるTED Talkプレゼンテーション4つをまとめました。4人のプレゼンテーションの達人に共通することは:

演壇をはなれ,全身を使ってメッセージを放っている



ボディーランゲージで、聴衆に語りかけていることです。その点に注目しつつ、どうぞこちらをご覧ください。



プロ根


テーマ:勉強 - ジャンル:学問・文化・芸術

竹中平蔵・上田晋也のニッポンの作り方「消費しない20代が日本を滅ぼす!?−若者はサクセスストーリーを経験して積極的になれ!−」によれば、

「ミニマムライフ(最少限度の生活)」とよばれる最近の若者の生活様式では、「人生に手ごたえが欲しい」という意識がある反面、将来に対する危機感と不安感のため、「楽が一番」「傷つくのが嫌い」価値観が支配的で、消費が抑制されていると考察している。そして、その対策として、

上田 燃料高の影響もあったとはいえ、今年はお盆の海外旅行客も少なかったようですね。こういう若者がプラス思考に転じて、景気を盛り上げてくれる可能性はないんでしょうか?

竹中 そこで私が声を大にして言いたいことは、こういったミニマム世代の若者に「サクセスストーリーをぜひとも経験してもらいたい」ということです。



と、若者が成功体験をもつことの重要性が提案されています。成功体験が消費の増加にどの程度関与するかはさておき、成功体験が絶対にできる戦略とは:

成功するまで続ける



ことです。しかし、成功しようと挑戦すればある一定の確率で失敗するので、その失敗の恐怖と、失敗によるダメージに耐えて、成功するまで挑戦し続けるための資質を備ていなければなりません。私が考える重要な資質は次の2つです;

1)無知である。
失敗の恐怖をよく知らないうちは、あまり意識せずに大きな挑戦をしてしまうものです。いくら準備しても、将来は完全には予想しきれないので、時として不勉強が功を奏することもあります。

2)失敗できる環境にある。
失敗しても致命的なダメージを受けるリスクをヘッジできる人的ネットワーク(組織、メンター、友人/仕事仲間、家族/親戚)が不可欠です。挑戦するためには自立していることはプラスになりますが、孤立していることはマイナスです。



サクセスストーリーは計画どおりに進むドラマチックなものでも、方程式で語れるようなものでもなく、ネットワークに支えられながら、何回も挑戦しているうちに偶然に手にするものかもしれません。




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プロフィール

Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務. その後, Harvard 大学医学部への研究留学を期に, 非常に迷った末に医局を離れBoston で独立することに挑戦し, 現在ラボ運営に奮闘する.「実験医学」 に”プロフェッショナル根性論”を執筆. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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