トップ科学ジャーナルのひとつネイチャー(Nature)を出版しているNature Publishing Groupが革命的な動きに発展するかもしれないエクスペリメンテーション(Experimentation)をはじめた。ピアーレビュー(Peer Revieiw; 同じ領域の研究者による査読)なしに投稿された論文を(ほぼ)すべて掲載する新しい科学雑誌
Nature Precedingsを立ち上げたのだ。
ピアーレビューは議論はあるが(arguably)
現在実質上最も信頼できる論文の審査法であると考えられている。3大トップジャーナル(Nature誌、Science誌、Cell誌)を含むほとんどの科学雑誌や、政府(NIH、NSF)への研究費申請書の審査も、基本的にピアーレビューで審査される。
しかし、ピアーレビューにも問題がある。
問題1:時間がかかる 審査が厳密である分時間がかかることである。ほとんどの投稿論文がピアーレビューであげられた批判コメントや追加実験の要求に応える必要があるため、論文投稿から掲載までは通常数ヶ月から数年(複数のジャーナルにレジェクトされた場合、または数回のrevisonを要求された場合)を要する。
問題2:捏造など不正を完全には見抜けない 最近の
いくつかの例からもわかるように、いくら数人(通常2〜5人)の専門家が厳しく査読しても完全には不正を見抜けない。また、競争相手など利害関係にある研究者の査読は過度のバイアスがかかる場合がある(一人のレビュアーの「この論文は何ら大きな問題はないが、General interest に欠ける」というバイアスのかかったコメントが、その論文の運命を左右し得る)。
従来のピアーレビューの問題点を解決すべく、Nature Precedingsは投稿された論文はキュレーターとよばれるエディトリアルスタッフのスクリーニングをパスすれば、投稿から24時間程度で掲載されるようだ。
そして、その論文の評価は”みんなの意見”(
The Wisdom of Crowds)に委ねられる。つまり、基本的には誰でもコメントでき、よいと思った論文には投票できるvote機能がある。査読はネット上で”みんな”が行うのだ。
私は知らなかったが、このような試みは物理学の領域では長らく
arXiv.orgのように、最新の知識をコミュニティーに提供する方法として使用されてきたそうだ。
まさにThe Wisdom of Crowdsがサイエンスの分野で試される時がきた。Nature Precedingsの今後の動向が楽しみだ。