ボストンで13年働いた研究者が、アカデミック・キャリアパスで切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
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アカデミックな研究者は好きなことを追求する贅沢を許された職業であるとか、研究者とは本当に好きなことを追求しなければならない(それをしなくなったら本当の研究者とはいえない)というレトリックを日本で大学院生をしていたときに先輩方から教えていただいた。

「好きなことを(仕事として)する」という言葉にはポジティブに人のこの心に共感するちからがある反面、同時にネガティブなニュアンス(そんなことは実際には無理)も惹起する。

実際に、梅田氏のストレートなメッセージ:

直感を信じろ、自分を信じろ、好きを貫け、人を褒めろ、人の粗探ししてる暇があったら自分で何かやれ。


は非常に多くの反響を呼んだ。

そこで、研究者にとっての「好きなことをする」を解剖してみると、大きく2つのエレメントに分けることができると思う。

1)そのテーマ自身(または方法論)が好き。
これは狭義での「研究者とは本当に好きなことを追求しなければならない」の「好き」に当たる。極論をいえば、そのテーマがどれほど困難であっても、またどれほど競争が激しくとも、また逆に世間が(レビューアー)がそのテーマはどれほど陳腐であると批判しようが、あなたはそのテーマが(そのテーマについて考えることが、そのテーマに関する実験をすることが)好きでたまらない。

2)あるテーマで優れたパフォーマンスを発揮している自分が好き。
これは非常に戦略的な考えで、テーマや方法は問わず、優れた論文を生産し世間(サイエンス・コミュニティー)に大きなインパクトを与えることで達成の喜び「好き」を体感する。基本的的には大きなインパクトは多くの研究費や良いアカデミックポストにつながる。この場合テーマは世間が十分に重要であると認識している(または近い将来認識する)ものでなくてはならないが、困難さと競争の程度は自分がDipをこえてトップになれるほどのレベル(高すぎない)でなくてはならない。

2の亜型として「普遍」に迫るために最も効率のよいテーマ「一つの特殊」を選び、「特殊」という入り口からついには「普遍」まで突き進むという戦略もあるであろう。


アカデミアの研究者は「好きな仕事」を選べる自由度は基本的には非常に高い。しかし、研究費やポストの争奪競争がますます激しくなる中では(1)の好きを貫く贅沢はなかなか許されない。しかし、「好き」をもう少し大きくとらえ、(1)と(2)がほどよくブレンドしたどこかの中間点「少しくらい(1)の好きを曲げても、(2)の好きを大事にしたい」に落ち着かすことができれば、好きなことを追求する贅沢を十分に味わえるのではないか。

関連エントリー
自分の世界でトップになるためにすべきこと:Dip
<http://harvardmedblog.blog90.fc2.com/blog-entry-96.html>

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404 Blog Not Found 「好きを仕事にするな、仕事を好きにしてしまえ」
<http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50847323.html>



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テーマ:教育問題について考える - ジャンル:学校・教育

なんどもスミマセン。バックナンバーを読みあさってます。
この記事はかなり考えさせられました。なるほど、そうなると研究者として大成功をする人は1の定義の好きと2の定義が同調の場合ですね。そしてそこそこに成功するひとは2の定義に徹している人か1と2の間でうまく妥協されている人ということになりますね。・・・つまり1の定義のみで突き進んで成功するというのは夢物語ですか?
【2007/10/20 Sat】 URL // 元ハーバード教員(non-tenured) #- [ 編集 ]

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Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:三重大学医学部・分子病態学講座教授 10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務後, ボストンへ研究留学し、ハーバード大学医学部・准教授としてラボ運営に奮闘する. 2011年に帰国、大阪府立成人病センター麻酔科・副部長をつとめ、臨床麻酔のできる基礎医学研究者を自称する. 専門は免疫学・細胞接着. また研究者のキャリアやスキルに関する著書に「プロフェッショナル根性・研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」(羊土社)がある. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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