柳田先生がご自身のブログ「
柳田充弘の休息時間」で理系研究者とくにポスドクをvitalizeし流動性を高めるひとつの方法として「
博士取得者の実質的に優遇というか、それにふさわしい待遇を与える」ことを提案されている。これは非常に良い提案であると思う。この提案を見たとき最初の数分は「順序が逆で、まず博士課程のプログラムを充実させて、各界から必要とされる人材を創り出すことが先決ではないか」と感じた。しかし、実際に現在Ph.D. holderなしで動いているシステムに、Ph.D. holderを送り込むにはかなりの抵抗が予想されるので、まずは何らかの「仕掛け」が必要であると思う。(Ph.D. holderなしで動いているシステムはPh.D. holderを必要としないとは限らない;Ph.D. holderを投入することにより中〜長期的にチームのパフォーマンスが上昇するというのがこの提案の仮説である。)Momentumを造り出すためには「仕掛け」作りと、プログラムの充実は同時進行する必要がある。
これに関連して3つのことを整理したい。
1)私自身Ph.D. holderであり、若いPh.D. holderの活躍の場所が増え、
理系の地位が向上することは、長い目で見れば研究者の増加や研究費増大など自分の利益にもつながる可能性がある (disclosure)。
2)Ph.D. holderがチームのパフォーマンスが上昇させるためには、
昨日のエントリーでも述べたTechnical detailsを抑え、ストーリーを語るサイエンス・コミュニケーションの技術が不可欠である。(でないと「専門バカ」というstigmaを払拭することはできないし、チームやサービスの受け手に貢献することは難しい)
3)「ポスドク」問題を含めすべての社会問題はmulti-factorialであるという視点を忘れてはならないといつも自分に言い聞かせている。多くのひとが抜本的な改革や提案を熱望するのは理解できる。また、シンプルで力強い提案が支持を集めやすい。しかし問題がmulti-factorialである限り、問題をピースに分解できてもそれらはinter-connectしており、単純化は魅力的であるが危険である。したがって、柳田先生のご提案もMagic bulletではないだろうが、長期的にScience & Technologyの分野での日本の競争力を高める戦略のポートフォリオのひとつに考慮する価値があると思う。
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