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ボストンで13年働いた研究者が、アカデミック・キャリアパスで切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
テニアトッラクのアシスタント・プロフェッサーのポジションは、多くはオープンサーチ(全世界公募)であり、英語ができれば国籍は基本的には関係ない。募集の広告がScienceやNatureに掲載されると1つのポジションに対して通常50以上 (しばしば100以上) の応募がある。選考の基準は:

1) 今までの研究業績(発表論文の質)
2) 推薦状
3) 独立してからの研究計画 (どの問題を,どんなアプローチで)



1)業績:論文の数はあるにこしたことはないが、基本的には質勝負である。ファーストオーサーの論文しかカウントされないと考えた方がよい。博士課程の業績よりも、ポスドクの(より最近)の業績が大切である。2~3本のファーストオーサーの論文で、ひとつのストーリーを作り出せれば強い。

2)推薦状:シングルスペースで2枚以上の詳細で強力な推薦状を書いてくれる人物が少なくとも3人以上必要である。通常はポスドク時のボス、博士課程での指導者、ポスドク時の共同研究者などである。推薦状は日本で考えられているよりもはるかに大きなインパクトを持ち、強力でない推薦状 (半ページ程度の形式的な手紙) は、むしろネガティブなインパクトさえもある。

3)独立してからの研究計画:実はこれがポスドクにとって最も難しい。多くの米国のラボでは、ポスドクでの最初の数本の論文は大抵8割方はボスの研究能力と発想に負うところが大きい。トップジャーナルに数本ファーストオーサーとして論文を発表している人でも自分ひとりで魅力的な研究計画を書ける人は少ない。そして、うまく書けたとしても多くのひとがポスドクでの仕事の延長線上の研究をしたいと書く。あるハーバードの教授はこれを、ポスドクの仕事の"unimaginative follow-up"と呼び、痛烈に批判している。

研究計画には Imagination が大切である。

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テーマ:研究者の生活 - ジャンル:学問・文化・芸術


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プロフィール

Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:三重大学医学部・分子病態学講座教授 10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務後, ボストンへ研究留学し、ハーバード大学医学部・准教授としてラボ運営に奮闘する. 2011年に帰国、大阪府立成人病センター麻酔科・副部長をつとめ、臨床麻酔のできる基礎医学研究者を自称する. 専門は免疫学・細胞接着. また研究者のキャリアやスキルに関する著書に「プロフェッショナル根性・研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」(羊土社)がある. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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