ボストンで13年働いた研究者が、アカデミック・キャリアパスで切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
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研究者が自分の研究成果を世に問うときに最も恐れるものとはなんでしょうか。まず最初に思いつくのがレジェクションでしょう。自分の仕事のクオリティーや、時にはその存在価値に対する辛辣なネガティブコメントほどショックものはないでしょう。投稿した論文が大きなネガティブコメントなく、無事アクセプトされた時にはほっとするものです。確かに短期的には世間やコミュニティーのネガティブな反応が最も恐れることで、大過なくやり過ごすことで良しとすることもあるでしょう。

しかし、長期的に見て最も恐れるべきことは”全く反応がないこと”なのです。ネガティブなコメントをくれたレビュアーは少なくとも自分の仕事を貴重な時間を割いて読み・考え・コメントを書いてくれているのです。短期的には破壊的に思えるネガティブインパクがあったとしても、反応があるかぎりそこには成長のカギがあるのです。

例えばプレゼンテーションのリハーサルで問題点や短所を指摘しなければならないときには、「短所:areas of weakness」を「areas for improvement」や 「opportunities for improvement」と、相手に破壊的なネガティブインパクトを与えないように”政治的に正しく”言うように私はこころがけています。

これとは対照的に、無反応というのは短期的には大きな痛みを伴いませんが、長期的には”ゆでカエル”のように緩慢な死を意味することさえある病理であり、研究者だけでなく芸術家やビジネスパーソンなど”価値あるもの”を造り出すことを職業とするもの、また表現や発信することを目指すものが、真に恐れるべきものだと考えています。

今回「やるべきことが見えてくる研究者の仕事術」を出版させて頂いたときにも、やはり最も気になったことは読者の方々からの反応が全くないかもしてれないということでした。たとえネガティブなものであれ本を読んで反応していただければ、それで十分であるという思いがありました。幸いなことに現在まではネットと編集者さんをとおして知る限り、おおむね反応はポジティブであると感じています。また、たとえネガティブなコメントであれ貴重なお金で本を購入し、貴重な時間を割いて本を読み、コメント書いて頂いた方にも感謝しております。

そして、「藤野の散文-菊の花、開く」の藤野氏のように、

自分が「これ」と思った本と出会うと「徹底的にそれと向き合い、咀嚼し尽くす」というのは年に何度もないことだが、とても重要な行為だと今回気づく。



何回も読み返していただき、「研究者の仕事術、の活かし方」という連作で、新たな”価値”を生み出されている方もあらわれ、驚きと喜びを感じております。これは「研究者の仕事術」の前身である実験医学での連載「プロフェッショナル根性論」を書き始めた時には考えもしなかった広がりであります。

関連エントリー:「ビジネスパーソンが語る「研究者の仕事術」の活かし方



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テーマ:創造と表現 - ジャンル:学問・文化・芸術

島岡様。
重ね重ねエントリー有難うございます。
リンク希望のリクエストがあまりに多いので、拙ブログにurlを張らせていただいてよろしいでしょうか。
不都合の際はご一報お願いします。
よろしくお願いいたします。
【2009/10/13 Tue】 URL // 藤野繁 #- [ 編集 ]
藤野さま、
興味深いエントリーの数々ありがとうございます。
リンクなどご自由にご使用ください。
島岡
【2009/10/14 Wed】 URL // 島岡 #NWuHkE3I [ 編集 ]
はじめまして。いつもブログを楽しみにしています。
元研究者だった私ですが(いまは研究+実務の半々です)、やはり何度か繰り返し読ませていただきましたし、今も机の上においてあります。ビジネス書の感覚でも読めるだけでなく、サイエンスに携わる日本の研究者の世界やニーズの変化(いいことです!)を感じ、新鮮な思いでした。このような本を出していただき、ありがとうございました。
【2009/10/23 Fri】 URL // Sainah #zwL6MPdY [ 編集 ]

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Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:三重大学医学部・分子病態学講座教授 10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務後, ボストンへ研究留学し、ハーバード大学医学部・准教授としてラボ運営に奮闘する. 2011年に帰国、大阪府立成人病センター麻酔科・副部長をつとめ、臨床麻酔のできる基礎医学研究者を自称する. 専門は免疫学・細胞接着. また研究者のキャリアやスキルに関する著書に「プロフェッショナル根性・研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」(羊土社)がある. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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