ボストンで13年働いた研究者が、アカデミック・キャリアパスで切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
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オバマ大統領のアメリカの経済刺激対策のための大型予算The American Recovery and Reinvestment Act of 2009 (Recovery Act) の一環として、NIHはブッシュの時代には停滞していた医学研究の分野に2009年には大幅な投資を行いました。その目玉の1つが”オバマのチャレンジ・グラント”と呼ばれるNIH Challenge Grants in Health and Science Research、またはコードネームRC1グラントです。3月にアナウンスアナウンスされたときには総額約1億円のグラントを200件程度といわれていましたが、2万件以上の応募があり近年まれに見るきわめて厳しい競争になりました。締め切りの4月27日には電子投稿のシステムがパンクしてしまうほどに混雑し、2万件のグラントを審査する人材は米国内だけでは足りず、NIHは欧州各国から審査員をリクルートしたようです。

通常のグラントR01では上位15~25%程度につければ、研究費が獲得できるのですが、RC1の場合には単純計算すれば成功率は1%以下になってしまいます。審査のスコアは7月末には応募者には伝えられたので、自分が上位何%に位置するかはわかるのですが、どのレベルで切られるのか(ペイ・ラインpaylineと呼ばれる)はRC1の場合には前例がないため楽観論や悲観論などかなりの憶測がながれました。例えばあるブログのコメント欄では不安を抱えた米国研究者が250以上のコメントでペイ・ラインについて意見を交換し、本当に200件なのか、もう少し多くなるのかなどさまざまな噂が流れました。

ペイ・ラインにつてはNIHは8月中は沈黙を守りましたが、8月末には新しいNIHディレクターFrancis Collinsが就任の演説で、約600件程度になるという可能性をほのめかしました。しかし9月になりまた沈黙が続きました。NIHの年度予算が9月末日で終わるため、9月の最後の週に急速な動きがあると噂されていました。

その噂のとおり9月の終わりになってNIHから2度電話がかかってきました。ひとつ目は明日までにある書類を提出せよというもので、2つ目は1時間以内に別の書類をファックスせよというものでした。いずれにせよNIHから電話があるのはよいサインなので、他の仕事を一時的にすべて中止して書類の作製に集中しました。そして9月29日にチャレンジ・グラント受賞のオフィシャルな知らせを受け取りました。NIHのデータベースによると全米で800余りのチャレンジ・グラントが授与されたようです。そして、翌9月30日オバマ大統領がNIHを訪れチャレンジ・グラント他Recovery Actからのグラント受賞者に対する期待と、NIHスタッフの努力を讃えるスピーチを行い、予算獲得競争の戦いの第一幕は終わりました。




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RC1獲得おめでとうございます。
僕らは丁度同じ頃U01獲得の知らせが届き、10月中旬にNIHで全体ミーティングがあるので参加するようにとの指示がありました。これから何度も大陸横断をすることになりそうです。
【2009/10/04 Sun】 URL // Jun #45zTKBr6 [ 編集 ]
島岡先生、おめでとうございます!すごいですね。自分のことのように嬉しいです。僕も結果を出して続きたいと思います!
【2009/10/05 Mon】 URL // Dr Ken #HfMzn2gY [ 編集 ]

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Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:三重大学医学部・分子病態学講座教授 10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務後, ボストンへ研究留学し、ハーバード大学医学部・准教授としてラボ運営に奮闘する. 2011年に帰国、大阪府立成人病センター麻酔科・副部長をつとめ、臨床麻酔のできる基礎医学研究者を自称する. 専門は免疫学・細胞接着. また研究者のキャリアやスキルに関する著書に「プロフェッショナル根性・研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」(羊土社)がある. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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