ボストンで13年働いた研究者が、アカデミック・キャリアパスで切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
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ブリュッセルで開催されたECの主催する”トランスレーショナルリサーチに関する重点研究分野”のシンポジウムに参加してきました。レセプションやディナーの席でEC諸国のPIやシニアサイエンティストの方々とアカデミアやグラントのシステムについて意見を交換する機会がありましたので、その中で気に付いたことをメモとして記しておきます。

まず、大まかに言って、研究費は研究者が自らの研究テーマで応募する各国政府からのものと、ECが特定のテーマのプログラム(例えば今回のRIGHTはRNA干渉を利用した疾患治療に向けた研究)に沿って横断的に巨額の資金を配分するものがあるそうです。

ECのプログラムプロジェクトは国境を超えた共同研究になるり、研究申請書の内容だけでなく、むしろ、トラックレコード(論文)や人とのネットワークが重要になるそうです。ECのプログラムプロジェクトは額が大きく、採択されれば研究を一気に進めることができる大きな可能性を持ちます。しかし、多くのプログラムプロジェクトは更新されることなく、評価に関わりなく数年で終わる打ち上げ花火的な性格のものが多いのが大きな問題。このRIGHTも成果を上げているにも関わらず4年で終了し、次のプログラムのテーマは全く別の、神経変成疾患の病態解明と治療に関するものになることが決定しています。

多くの研究者が研究費の少なさと、人材の流動性の低さを問題視していました。米国のシステムと違い、PIとスタッフのサラリーは大学/研究所から支払われるので、グラントが切れても失業する可能性は低いようで、研究者は基本的には安定した職業ですが、その分自由度や流動性は低くなるようです。しかし、これらを問題視しつつも、その中で自分のできることをやって行くという姿勢であり、米国のような過度の競争的研究資金導入による研究者のキャリアの極端な流動化や潜在的不安定化には懸念を示すひとが多いようです。

私の印象では、ECはある程度流動性は高めつつも安定した独自のある程度安定したシステムを目指しており、それに満足できない研究者は米国に行って過度の競争にさらされれば良いという、米国とは同化しない、相補的な研究環境を目指しているように感じられました。


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テーマ:研究者の生活 - ジャンル:学問・文化・芸術

ご無沙汰しております
島岡先生、欧州に来られていたのですね。
英国では、確かに給料は大学から支払われ、たとえ研究費を獲得しても、研究者個人に入る給料そのものは全く増えない(大学との契約通りの給料しか出ない)ので、モチベーションを揚げる事が難しいかもしれません。研究費は研究者の給料を込みで申請出来るのですが、研究費はまとめて大学の経理に入り、その研究費の中から研究者への給料を出しますので、大学自身の予算から給料を出さなくて良くなるので、大学の経理だけが潤うことになります。
現実的に、周囲を見渡すと、ポスドクですら9時5時で、夜の7時頃になると日本人だけ(時々インド人)と云う状況であまりハングリーさを感じません。こつこつと目先の派手さにとらわれずに真理の探究に従事していると云えなくもないかもしれませんが、個人的には少し物足りなさを感じています。米国で研究活動を実際にした事が無いので、ものを知らないだけなのかもしれませんが、米国の様な過度な競争は精神衛生上よくありませんが、英国にもう少し米国的なシステム(研究費から自身の給料を増すことが出来るなど)が加味されたら良いのにと、思っていたところでした。
経済はこちらも急降下ですが、先行き不透明ですが、MRCのグラント採択率は、まだ健全な数字に見えます。
【2008/11/09 Sun】 URL // Dr Ken #HfMzn2gY [ 編集 ]
英国での科学研究
Kenさん、
英国の状況のアップデートありがとうございます。
島岡
【2008/11/10 Mon】 URL // Motomu Shimaoka #St5tjTY. [ 編集 ]
いいですね。
実は僕も外国留学を考えています。
次は二度目になるんですが、
一回外国に住むと、
敷居がひくくなりますね。
【2008/11/12 Wed】 URL // がっきー #IUuSL.fc [ 編集 ]

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Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:三重大学医学部・分子病態学講座教授 10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務後, ボストンへ研究留学し、ハーバード大学医学部・准教授としてラボ運営に奮闘する. 2011年に帰国、大阪府立成人病センター麻酔科・副部長をつとめ、臨床麻酔のできる基礎医学研究者を自称する. 専門は免疫学・細胞接着. また研究者のキャリアやスキルに関する著書に「プロフェッショナル根性・研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」(羊土社)がある. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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