ボストンで13年働いた研究者が、アカデミック・キャリアパスで切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
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BioInfoDesignの村磯さんの招請でキャリアプランニングプログラム2008@ボストンで、「研究者が仕事をする上で知っておくべき10の原則」という講演をさせていただきました。「10の原則」は実験医学のプロフェッショナル根性論の最終回でとりあげた「研究者の成長のプロセスへの10のステップ」がもとになっています。会場で約束しましたようにサマリーのせておきます。

-研究者が仕事をする上で知っておくべき10の原則-

1. 興味を持てる分野を発見する
「好き」よりも「強い」を優先しましょう。自分で自分の強みはわかりにくいものなので、推薦状の開示、論文やグラントのレビューなどの機会を生かして、人に自分の強みを指摘してもらうのがよいでしょう。「したいこと」よりも「すべきこと」と「できること」から始めましょう。

2. 最初は自分で学ぶ

ネットのおかげで10年前と比較して、情報を得ることは格段に容易になりましたが、10年前も今も全く変わらないことは、一日が24時間しかないということです。クリティカルに重要なことは、自分で学ぶための時間を確保する時間管理術です。しかしながらこの数年の間に私自身さまざまな方法やツールを試しましたが、ほとんどを使いこなすことができませんでした。唯一今も実践していることが、ブライアン トレーシーの「カエルを食べてしまえ! 」で学んだ方法です。これは人の評価の80%は、その人の業績のトップ20%で決まるという「20/80ルール」に則り、自分の業績のトップ20%に関する仕事に時間を最大限割り当てる方法です。「(それがどんなに取っ付きにくいこと[=見にくいカエル]であっても)最も大切なことから初めて、時間が続くかぎりひたすらそれをやる。終わったら2番目に大切なことにとりかかる」というシンプルな方法です。

3. 師匠をもつ
大学院以上の高等教育においては、本当に重要な学びは今でも、師匠:弟子という非常に個人的なレベルでおこります。よって研究者は自分の師匠を持つことが必要。そして、弟子の使命とは、いずれ師匠を超えることではなく、師匠とは違ったアングルで、師匠以上のインパクトを世の中に与えるまでにいつの日にか成長することです。

4. 現場で恥をかく
教育やトレーニングはあくまでもゆりかごです。ゆりかごから出て現場で働くと、酷い目に遭い恥をかくことがあるかもしれません(きっとあるでしょう)。しかし問題は恥をかくことではなく、恥をかくことを恐れて現場に出られなくなることです。いずれ皆一度は恥をかくのですから、できるだけ早く現場に出て若いうちに十分に恥をかきましょう。

5. 失敗を恐れつつも、挑戦する
「失敗を恐れずに挑戦する」ことは無知で若いうちはできるかもしれませんが、大人に必要なのは「失敗を恐れつつも挑戦する」ことです。John McCain曰く

勇気とは恐怖を感じないということではない。勇気とは恐怖を目の前にしてなお行動できることだ。(Courage is not the absence of fear, but the capacity to act despite fears)

そして

勇気ある選択をしたほうが、長期的には遥かによい結果をもたらす(In the long run, you're far better off taking the courageous path.)



6. 自分の世界で一番になる

ポジションが人をつくります。お山の大将になり、リーダーとしての風格を身につけましょう。

7. 研究者としての自信を付ける
お山の大将になったら、成功者としての自信をつけましょう(これはいずれ打ち砕かれるのですが)。人生を振り返り、今までの出来事をあたかもこの成功のためにあったかのようにつなぎあわせ、サクセスストーリーをつくりましょう(スティーブ ジョブスの言うConnecting the Dotsのように)。そのサクセスストーリーを自分をプロモートするために使いましょう。

8. 井の中の蛙であったことに気づき、打ちのめされる
サクセスストーリーを語っていた自信過剰の「私」はいつかは打ちのめされる運命にあります。一度はどん底(後から考えればあまり深くないことが多いと思いますが)を経験する運命にあります。しかし、きっとどん底から這い上がることができます。どん底から這い上がる過程で価値観が大きく変わるかもしれません。人生の大きな目標は変わらなくとも、アプローチは変わるかもしれません。どん底から這い上がるきっかけは「メンターのアドバイス」「仲間や家族の助け」「本の中の言葉」「体を鍛え、内因性エンドルフィン分泌量をあげる肉体改造」などから得られるはずです。

9. 全てを知ることはできないことを理解する
傲慢さは、どん底から這い上がる過程で、謙虚さというエレメントを身につけます。

10. それでも、自分の見識を披露する(謙虚ではあるが臆病ではない)

自分の作品や研究は、周りとの関係(評価、協調、影響など)においてのみ存在し、意味や価値を見いだされるということを常に念頭に置き、謙虚ではあるが臆病ではない、高いクオリティーやオリジナリティーを追求するが完璧主義者ではないという現実的な姿勢を貫きましょう。

以上、講演の要旨です。馬場尚子さま、司会ありがとうございました。会場の皆様、活発なご討議ありがとうございました。村磯さん、ご苦労さまでした。

参考エントリー:エキスパート/プロフェッショナルへの道(2007年3月16日)
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テーマ:研究者の生活 - ジャンル:学問・文化・芸術

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【2008/11/01 Sat】 // # [ 編集 ]
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【2008/11/03 Mon】 // # [ 編集 ]

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[ 日刊ジーク ]
http://harvardmedblog.blog90.fc2.com/blog-entry-284.html とてもいい記事だと思う。とくに次の文章: 「自分の作品や研究は、周りとの関係(評価、協調、影響など)においてのみ存在し、意味や価値を見いだされるということを常に念頭に置き、謙虚ではあるが臆病ではない
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何事においても途中参加が可能である場では同じ質問や回答を繰り返さなければならない状態が生起します。良く出る質問というのは本当に何度も質問されるもので、既存参加者にとっては、すでに同じことを繰り返すことにうんざりすることも多いと思います。だからといって途中
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Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:三重大学医学部・分子病態学講座教授 10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務後, ボストンへ研究留学し、ハーバード大学医学部・准教授としてラボ運営に奮闘する. 2011年に帰国、大阪府立成人病センター麻酔科・副部長をつとめ、臨床麻酔のできる基礎医学研究者を自称する. 専門は免疫学・細胞接着. また研究者のキャリアやスキルに関する著書に「プロフェッショナル根性・研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」(羊土社)がある. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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