アカデミック・キャリアパスで研究者が切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
ハーバード大学(Harvard University Extension School)の MINI-MBA コース「Biotechnology Project Management 」で技術者(サイエンティストやエンジニア)がコーポレート(製薬会社・バイオテク)でキャリアを積み成功するために必要なスキルについて学んだ。コーポレート・ラダーとアカデミック・ラダーを登るためのスキルは同じではないが、共通する部分はかなりあると思う。

技術者からプロジェクト・マネージャーへとキャリアアップするには(1) サイエンスやテクノロジーに関するTechnical skillsだけでなく,(2) Behavioral skills や (3) Process skills という3つの領域のスキル・セットが必要になる (表1)。このうち赤で示したものは、アカデミアにおいて、アシスタント・プロフェッサー (PI) としてラボの運営に必要なスキルでもある。

表1-Project Leader/Manager Skills-
(1) Technical
・ Drug development
・ IT tools
・ Scientific feasibility
・ Laboratory knowledge
・ Analytical thinking
・ Quality

(2) Behavioral
・ Communication
・ Facilitation
・Conflict management
・ Development of trust
・ Empowerment
・ Building accountability
・ Problem solving

(3) Process
・ Program management
・ Financial
・ Risk management
・ Requirement gathering
・Time management
・ Working in a matrix
・ Contracting
・ Resourcing

ポイントは、コーポレートでもアカデミアでも競争の激しい最先端の領域に行けば行くほど、サイエンスやテクノロジーに関する深い知識と高い技術もつ人材が集まるので、 Technical skills ではほとんど差がつかず、トータルなパフォーマンスに差をつけるのはむしろ (2) や (3) のいわつる「ヒューマンスキル」や「ソフトスキル」と呼ばれる Non-Technical skills である。Technical skills と同様に Non-Technical skills であるヒューマンスキルも一朝一夕に身に付くものではなく、継続したトレーニングを要する。

ヒューマンスキルは、いわゆる「社会常識」や「大人度」とも重なる部分が大きいが、これと関連して2/8の朝日新聞で若い研究者は社会常識に欠けるという記事を見つけた。

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若い研究者は世間知らず? 文科省の意識調査 (Asahi.com より引用)
 最近の若い研究者は常識がない?――文部科学省が大学や企業に勤める理系の研究者を中心にアンケートしたところ、若手研究者の3割前後が、社会常識や一般教養に欠けるというイメージで見られていることがわかった。その一方で、専門分野の知識は豊富とみられるという。調査は昨年、2000人を対象に実施し、1024人から回答があった。有効回答率は51.2%。20代前半〜30代前半の若手研究者の能力15項目について尋ねたところ、高い評価が目立ったのは「専門分野の知識」。「高い」が48.8%、「非常に高い」が6.7%あった。しかし、「社会常識」について尋ねたところ、「低い」が26.5%で「非常に低い」が5.6%と、辛口評価が目立った。一方で「非常に高い」「高い」という評価はそれぞれ1.1%、9.1%。「一般教養」も評価は低く、やはり「低い」「非常に低い」が23.5%、4.1%あった。「非常に高い」「高い」は0.9%、12.5%だけだった。そのほか「課題設定能力」「創造性」「国際性」に対する評価も低かった。アンケートの対象は論文データベースから、年齢や専門分野などを無作為に選んだため、若手の回答も入っている。02年度には若手を指導するベテラン研究者に同様の質問をしたが、同じような結果が出たという。文科省の担当者は「若者が常識に欠けるとみられてしまうのは、研究の世界に限ったことではなく一般的なことなのかもしれません」といっている。
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「社会常識」というのはあまりにも漠然としているが、具体的には表1の (2) と (3) に上げた 「ヒューマンスキル」や「ソフトスキル」を年齢に関係なく理系研究者もビジネスパーソンと同様に生涯をとおしてを磨かなくてはならないであろう。

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Motomu Shimaoka

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島岡 要:10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務. その後, Harvard 大学医学部への研究留学を期に, 非常に迷った末に医局を離れBoston で独立することに挑戦し, 現在ラボ運営に奮闘する.「実験医学」 に”プロフェッショナル根性論”を執筆. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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