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ボストンで13年働いた研究者が、アカデミック・キャリアパスで切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
大学/大学院の使命の一つがイノベーティブ(innovative)な人材を育て、社会に送り出すことであると私は考えています。(強調したいのはイノベーティブは必ずしも即戦力を意味しません。むしろ即戦力でない場合が多いのです。)ではイノベーションをどう評価/測定するべきでしょうか(もし、評価する必要があるとすれば....)。

ニューヨークタイムズに連載のブログfreakonomicsの”How Can We Measure Innovation? ”でのセスのコメントを私なりに解釈すると:

イノベーションを数値化しようとする試み自体が間違っている。数値化でできるような”イベント”が認識されるのは、イノベーションが起こった遥かに後である。また、その定義上イノベーションにはひとつとして同じものがない。「これはイノベーションに違いない、なぜなら同じものを過去に見たことがあるので」というステートメントは矛盾である。イノベーションとは”プロセス”であり、イノベーションの真の価値は、「イノベーションは長期的には必ず良き結果をもたらす」という信念自体にある。つまり、イノベーションは”プロセス”であり、目の前の1つの試みがたとえ失敗であっても、それが次の成功につながると信じることにある。

イノベーションの本質がプロセスを重視することである以上、大学/大学院の使命とは「即戦力」となる人材輩出を要求する社会からの近視的な圧力(と俵糧攻め)に耐え、ひたすらイノベーションというプロセスを信じることにあると思います。

以上週末の雑感でした。



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テーマ:研究者の生活 - ジャンル:学問・文化・芸術


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Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:三重大学医学部・分子病態学講座教授 10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務後, ボストンへ研究留学し、ハーバード大学医学部・准教授としてラボ運営に奮闘する. 2011年に帰国、大阪府立成人病センター麻酔科・副部長をつとめ、臨床麻酔のできる基礎医学研究者を自称する. 専門は免疫学・細胞接着. また研究者のキャリアやスキルに関する著書に「プロフェッショナル根性・研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」(羊土社)がある. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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