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ボストンで13年働いた研究者が、アカデミック・キャリアパスで切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
ニューヨークタイムズの記事「In a New Generation of College Students, Many Opt for the Life Examined」によると、米国の大学では哲学を専攻する学生が最近増えているそうです。どうしてかというと、その一つの理由が:

...a new generation of college students who are drawing modern-day lessons from the age-old discipline as they try to make sense of their world, from the morality of the war in Iraq to the latest political scandal. The economic downturn has done little, if anything, to dampen this enthusiasm among students, who say that what they learn in class can translate into practical skills and careers....



つまり、世の中が大きく揺れるなか生き方の指針となるものが欲しいという”哲学的’な理由プラス、哲学で学んだことが就職/転職に役立つだろうという”現実的”な意図もあるようです。

ところで哲学とは何でしょう? 中島義道の「哲学の教科書」によると:

非常に単純化していいますと、哲学とはあくまでも自分固有の人生に対する実感に忠実に、しかもあたかもそこに普遍性が成り立ちうるかのように、精確な言語によるコニュニケーションを求め続ける営み、と言えましょう。



おそらく、この哲学の定義を拡大解釈すれば、学生が求めているもの半分は、「問題解決能力」や「コニュニケーション能力」を磨くトレーニングのツールとしての”哲学”ではないでしょうか。このような形で”哲学”が消費されることでポピュラリティーがあがるという点では哲学にとってはプラスでしょう。それにくわえて、コアな学問としての哲学が今後どう発展していくか興味のあるところです。

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テーマ:文明・文化&思想 - ジャンル:学問・文化・芸術


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プロフィール

Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:三重大学医学部・分子病態学講座教授 10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務後, ボストンへ研究留学し、ハーバード大学医学部・准教授としてラボ運営に奮闘する. 2011年に帰国、大阪府立成人病センター麻酔科・副部長をつとめ、臨床麻酔のできる基礎医学研究者を自称する. 専門は免疫学・細胞接着. また研究者のキャリアやスキルに関する著書に「プロフェッショナル根性・研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」(羊土社)がある. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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