ボストンで13年働いた研究者が、アカデミック・キャリアパスで切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
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現在の大学での試験やレポートの多くは、与えられた問題に対して学生が回答を作り、それを教官が評価するという一方向性のものです。しかし、研究者コミュニティーの根底にあるものはPeer-Reviewのシステムであり、現行の一方向性の教育では次の2つの能力を育成することが難しいと考えられます。

1)自分の回答/レポートに対する教官の批判やコメントに対して正しくレスポンスする能力。
批判やコメントは試験やレポートの評価では問題点を見つけ出し減点するための手段として使われますが、Peer-Reviewではそのレポートを改善する指針を示すことが意図されているはずです。試験やレポートにはそのシステム上revision(レポートを訂正して再評価を受ける)がありませんが、実際の研究の世界では論文投稿もグラント申請も(多くは)revisionを適切に行うことで、作品の価値が高まり最終的にアクセプトされるものです。したがって(1)まず、批判やコメントがどの程度正当であるか見極め、(2)正当でない部分については反証し、(3)正当な部分については受け入れて、自分の回答/作品を改善するという一連の能力を育成する必要があります。

2)自分が教官になったつもりで他人の回答/レポートを批判する能力。
他人の仕事を適切に評価する事はPeer-Reviewのシステムの基礎ですが、簡単ではありません。まず、評価基準を理解しなければなりません。また、遠慮して批判する事をおそれたり、逆に極端に高いスタンダードを掲げて非現実的なレベルの改善の要求は何ら改善をもたらしません。正当でありつつも、できるだけ建設的な批判の仕方を学ぶ必要があります。

このPeer-Reviewに関連した能力を磨く試みが、今週のサイエンス誌のエデュケーションフォーラムでとりあげられています:

INQUIRY LEARNING: Integrating Content Detail and Critical Reasoning by Peer Review
Classroom lectures by experts in combination with journal clubs and Web-based discussion forums help graduate students develop critical reasoning skills.

1)Each of the four journal clubs was led by two faculty members.
2)Recent primary publications relevant to lectures in the previous section were selected by the faculty and posted on the Web.
3)Students were required to answer several questions related to the papers before the discussion forum.
4)During the classroom session, the teachers called on the students to explain the figures and tables in the papers.
5)This was followed by an open discussion of the papers and the posted questions.
6)The teachers then provided individual written critiques of students' written answers, and students revised their answers to respond to the critiques.
7)The revised answers were posted on the Web with anonymity maintained.
The students then posted brief comments on two of their peers' answers using their student number as an identifier.
8)For each of the four discussion forums each student received grades for the original answer, the revised answer, and the peer critiques.



講義に関連した原著論文の抄読会(journal clubs)に関して予習→レポートの作成→教室でのディスカッション→教官のコメント→レポート作成(revision)→訂正したレポートのスレッド型Web掲示板へのアップロード→他人のレポートに対するコメント

スレッド型Web掲示板を用いた生徒間のピアレビューは、わたしもHarvard Extension Schoolに生徒として通っていたときに利用した事があり、生徒のクラス参加を高める良いシステムだと感じました。



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プロフィール

Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:三重大学医学部・分子病態学講座教授 10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務後, ボストンへ研究留学し、ハーバード大学医学部・准教授としてラボ運営に奮闘する. 2011年に帰国、大阪府立成人病センター麻酔科・副部長をつとめ、臨床麻酔のできる基礎医学研究者を自称する. 専門は免疫学・細胞接着. また研究者のキャリアやスキルに関する著書に「プロフェッショナル根性・研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」(羊土社)がある. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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