東京で若手の研究者の人たちと”研究者としての心得え”、とくに何を若いときにしておくべきことかという話題に花が咲きました。若いうちにすべきことの一つに「視野を広げること」があがりました。「若いうちは自分の専門分野以外にも幅広く興味を持つベきだ」は、おやじの説教としては常套句ですが...
ではどうしたら視野が広まるのでしょうか。(ここでは、「視野を広げる」ということを狭義に自分の専門分野以外の科学の最新知見もフォローすると定義してみます。) わたしが即興で提案したことが、
ラボや周りの仲間に「何かおもしろい最近の論文知らない?」と毎日必ず訊いてみることを習慣とするでした。これには2重の効果があると考えられます。
1)人の頭を使って視野を広めることができる。
自分一人だとついつい好みの論文が偏りがちですし、Pubmedの検索も同じようなキーワードを使いがちです。人が選んだ情報はもちろん玉石混合ですが、ミニ”
Wisdom of Crowds”で結構信頼できる重要な情報も含まれているはずです。
2)人に聞く以上自分も発信しなくてはならなくなる
じつはこちらの方がより大切だと思うのですが、ひとに「何かおもしろいことない?」と訊くからには、自分がおもしろいと思うトピックも提供しなくてはなりません。情報というものはギブ&テイクであり、発信している所に集まってくるものです。また、「何かおもしろいこと」を人に提供しなくてはならないというプレッシャーは自ずと情報収集にかける真剣味をあげて、論文を読む態度もアップグレードされるはずです。
インプットはアウトプットを前提とする:つまり、人に教えてあげるようなおもしろい論文やトークをいつも探すために、ジャーナルを読み、学会に参加するというアクティブな情報収集の態度。アウトプットを週1回や月一回のジャーナルクラブなどのオフィシャルな仕掛としてでなく、休憩時間にコーヒーを飲みながら毎日できるアカデミックな雰囲気をつくりたいものです。
じつは、アメリカではこれに近いことを実践していました。というのも英語を母国語としない外人部隊の間では英語で世間話をするのが結構難しいのです(サイエンス以外の分野でのボキャブラリーがあまり豊富でないため)。結局サイエンスの話をするのが最もスムーズで、ランチの話題はほとんど論文や実験の話をしていた記憶があります。