ボストンで13年働いた研究者が、アカデミック・キャリアパスで切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
パオロマッツアリーノ著「つっこみ力」は家政法経学院大学(カセイホウケイ ガクインダイガク)での講演録という若干ふざけた形態をとっているが、メディアリテラシーやサイエンスコニュニケーションに関する非常に鋭い批判(つっこみ)であります。

ディベートなんてのを中高生にやらせている学校もありますけれど、あれもどうかなと思うんですよね。ディベートってのは、お互いが公平な立場で、同じ土俵に立って議論するというルールを設定しているから、理論力を使ったある種のゲームとして成り立つんであって、ありゃ、ファンタジーなんです。魔法の呪文がハリーポッターの小説の中でしか効果がないように、議論もディベート大会の会場でしか役に立ちません。実社会では公平な立場で議論をする機会などないぞ、と釘をさしておかないと、オトナになってから痛い目に遭うのは生徒のほうです。



ディベートがファンタジーにすぎないという意見は、そんな事は百も承知だというかたもいらっしゃるでしょうが、私は米国で研究者としてやっていく中では、正論でディベートすることの力強さを思い知らされる多くの機会を経験してきました。(サイエンスは実社会ではなく、それ自体ファンタジーだと言われればそれまでですが...)研究者は正論でディベートする能力を高めるトレーニングは絶対に必要だと思います。論文やグラントでは大まじめに正論を書かないと相手のこころには響きません。NIHは研究費を「人類の健康の増進に広義で貢献する臨床および基礎研究」に配分しています。全く照れる事なく自分の基礎研究が将来病気の治療や予防に役立つと書かないと高い評価を得ることは難しいでしょう。その意味で、正論は最も安全なアプローチであるとも考えられます。安心感があるため、力強いと感じるのでしょう。

....周囲の人から「あの人、いつも正論ばかりいってて、つまんないよね」と烙印を押されてしまった日にゃあ、いたたまれないじゃないですか。いままでにないものといえば、さっき笑いの説明のときにいいましたけど、ユーモアでなくギャグでしたね。つまり創造力は、ギャグをいう能力、ぼけの能力です。社会が本当に求めているのはぼけ力のほうなんです。


しかしながら、正論は安全であるが(またはそれゆえ)創造性とは相容れないものなのかもしれません。リクスをとらない限り創造的な仕事はできないと理解できます。ユーモアとは従来の正論の枠をはみ出さない範囲での研究であり、ギャグとは従来の考えをひっくり返すようなインパクトのあるブレークスルーに相当するのだと思います。(研究者は創造性のヒントをお笑いから学べると言うN先生の言葉を思い出しました。)

凡人や秀才は、自分一人の力でヒーローになろうとしてはいけません。つっこみ力使って、ボケの盛り立て役に徹すればいいのです。そうすれば、結果的に自分にもスポットライトがあたるんですから。

天才、異才、奇才がぼけ力で新たな価値を生み出し、秀才や凡才はつっこみ力でそれを盛り上げ、価値を高めていく。これで社会をおもしろくしていこうではありませんか。



時としてあまりにも独創的で斬新な仕事(ボケ)は正しく理解されません。それを社会が理解でき、利用できるようなかたちに落とし込むことが研究者のつっこみ力でしょうか。



スポンサーサイト

テーマ:研究者の生活 - ジャンル:学問・文化・芸術

一人二役?
アーカイブ一通り読ませていただました・・・やっと現代に戻ってきました(笑)
ボケとつっこみの例え面白いですね。でもそうなると「独創的で斬新な」研究を売るには自分ひとりでボケとつっこみ一人二役を演じなければグラントとれないことになりますね(笑)・・・それってうけないのでは?(汗)
【2007/10/20 Sat】 URL // 元ハーバード教員(non-tenured) #- [ 編集 ]
つっこみ安いようにボケる;天然ボケは待つ
コメントありがとうございます。
「独創的で斬新な」研究を売るには、ボケのレベルを少し落として、つっこみやすいようにボケるのが認めてもらうのには重要なのだと思います (見かけの斬新さは押さえなければならない時もあるでしょう。)
天然ボケはひたすらつっこみが現れるのを待つしかないのでしょう。
【2007/10/20 Sat】 URL // Motomu #- [ 編集 ]

管理者にだけ表示を許可する
http://harvardmedblog.blog90.fc2.com/tb.php/142-f7dae1b3
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
ハリーポッター ゲーム  【2007/10/13 Sat】
【新品ゲーム】PS3ハリーポッターと不死鳥の騎士団 (発売日前日出荷)商品価格:6,384円レビュー平均:0.0 ハリーポッター最新グッズを探す⇒最新巻!ハリーポッター7巻 (英語版) Harry Potter and the Deathly Hall... どっぷりハマれるゲームを教えてください!男性向け
[ ハリー・ポッター最終章 ]
// HOME // 
Powered By FC2ブログ. copyright © 2005 ハーバード大学医学部留学・独立日記 第二部 三重大学医学部編 all rights reserved.
プロフィール

Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:三重大学医学部・分子病態学講座教授 10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務後, ボストンへ研究留学し、ハーバード大学医学部・准教授としてラボ運営に奮闘する. 2011年に帰国、大阪府立成人病センター麻酔科・副部長をつとめ、臨床麻酔のできる基礎医学研究者を自称する. 専門は免疫学・細胞接着. また研究者のキャリアやスキルに関する著書に「プロフェッショナル根性・研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」(羊土社)がある. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
リンク
月別アーカイブ
ブログ内検索

RSSフィード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。