ボストンで13年働いた研究者が、アカデミック・キャリアパスで切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
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ひとまえで話すことの恐怖(fear of public speaking)は統計上常に死の恐怖(fear of death)を上回っているそうです。fear of public speakingの為に非常に良い昇進の話を断る人もかなりいると聞きます。

我々の研究所ではNational Academyメンバーを含めた著名な研究者からなる外部委員会(Scientific Advisory Board Members)からのサイエンスのproductivityの評価を毎年受けています。今年はちょうどこの週末にオフシーズンのリゾートホテルに研究所全員(17のラボ)で出かけ、そこにボードメンバーを招き3日かけてじっくり評価を受けてきたところです。PIのトークとポスドクのポスター発表が中心で、基本的にはフレンドリーな雰囲気ですが、サイエンスの点ではボードメンバーは全く妥協がなく、彼らに向けてプレゼンテーションするときには緊張のあまりfear of public speakingで胃が痛くなり、(いつものことながら)逃げ出したい気持ちになりました。

それではfear of public speakingを緩和する特効薬や技術はあるのでしょうか。何冊か本を読んだり、セミナーに参加したりしましたが、最も参考になったのはマリナーズのイチローの言葉です。イチローは「大記録を目前にバッターボックスに入るときにいかにして上手にプレッシャーをマネッジするのか」という質問に対して、「そんな方法はない」ときっぱり答えました。正攻法で真っ正面から取り組み、終わるまでプレッシャーから解放されることはないのだと。これは「プレッシャーを楽しむ」いうようなきれいごとではないでしょう。とにかくプレッシャーに押しつぶされながらもやリ抜く以外に、本質的にプレッシャーから解放される方法はないのでしょう。

したがって、おそらくfear of public speakingのプレッシャーを上手く緩和する方法も当然ないのでしょう。とにかく、真正面から取り組んで、終わらせるしかないのでしょう。周到なプレゼンテーションの準備は必要ですし、私はとくに英語での発表は過剰な程周到に準備する方ですが、いくら準備してもfear of public speakingがなくなったことは一度もありません。

実は今回素晴らしいプレゼンテーションをした巨大なラボを率いるハーバードの大教授で、また世界の学会で何百回も講演をしている研究者の秘書が教えてくれたのですが、そんな百戦錬磨に見える大先生でもいつも発表の前はナーバスで機嫌が悪いそうです。

毎回トークの前に緊張することで、サイエンスに対して謙虚になれるのでしょう。

明石家さんま曰く「緊張する芸人の方が出世する」



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Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:三重大学医学部・分子病態学講座教授 10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務後, ボストンへ研究留学し、ハーバード大学医学部・准教授としてラボ運営に奮闘する. 2011年に帰国、大阪府立成人病センター麻酔科・副部長をつとめ、臨床麻酔のできる基礎医学研究者を自称する. 専門は免疫学・細胞接着. また研究者のキャリアやスキルに関する著書に「プロフェッショナル根性・研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」(羊土社)がある. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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