ボストンで13年働いた研究者が、アカデミック・キャリアパスで切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
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The Laws of Simplicity (Simplicity: Design, Technology, Business, Life)の著者で、MITメディア・ラボの教授でもあるJohn Maeda氏の”Simplicityに到達するための10の法則”を、彼のTEDでのトークをきっかけに知りました(下にトークのYoutubeあり)。

"Simple"にはよい意味と悪い意味があって、「無駄がなく、本質に迫る」というつもりで使ったのですが、「簡単で底が浅い」という意味に取り違えられトラブルになった経験がありますが、今は"Simple"をよい響きでとらえる一般の人が圧倒的に多いのではないでしょうか。実際、Simple lifeのようなキャッチコピーはマーケットにあふれています。(John MaedaはSimplicity-driven marketing strategyに一役かっています。)

テクノロジーの発展・情報量の肥大化・消費生活の多様化などで、ひとは表面的には”過飽和”していてもそれらを十分に咀嚼することができず、内面的には”空虚感”があり、自分で十分に咀嚼できるものでその空虚な部分を満たしたいという欲求があるのではないでしょうか。したがって、"Simple"という言葉は無駄なものを取り払い表面的な過飽和を緩和し、内面を本質的な最低限のもので満たすという感覚につながるからこそ”Simplicity”がこれほど注目を集めるのでしょう。

John MaedaのSimplicityとは:

Simplicity is about having life with more enjoyment and less pain.



であり、”Simplicityに到達するための10の法則”とは:

1. REDUCE ーThe simplest way to achieve simplicity is through thoughtful reduction
2. ORGANIZE ー Organization makes a system of many appear fewer.
3. TIME ー Savings in time feel like simplicity
4. LEARN ー Knowledge makes everything simpler.
5. DIFFERENCES ー Simplicity and complexity need each other.
6. CONTEXT ー What lies in the periphery of simplicity is definitely not peripheral.
7. EMOTION ー More emotions are better than less.
8. TRUST ー In simplicity we trust.
9. FAILURE ー Some things can never be made simple.
10. THE ONE ー Simplicity is about subtracting the obvious, and adding the meaningful.

”Simplicityに到達するための10の法則”の1~4までは基本的には時間管理術と共通するものであり、エントロピーに逆らってSimplicityを達成するためにはメンタル/フィジカル両面のエネルギーをかける必要があると理解できます。

5番の「DIFFERENCES ー Simplicity and complexity need each other」ではSimplicityとComplexityは常に共存し、Simplicity達成のためにComplexityをなくしてしまうことはできない。必要なのは”状態としてのSimplicity”ではなく"Feeling of Simplicity (in the presence of complexiety somewhere)"であり、本当にComplexityを本当に消し去ろう(文明や高等生物の否定)と考えるべきではないということでしょう。

6番の「CONTEXT ー What lies in the periphery of simplicity is definitely not peripheral」に関連してはMITメディアラボの所長NegroponteがJohn Maedaに言った言葉”become a light bulb instead of a laser beam(レーザービームより電球になれ)”に込められているように、自分の軸は定めつつも、焦点外の無数の事象にこそ本質が宿ることを忘れてはならないということでしょう。

7番のEMOTIONーMore emotions are better than lessとは、一見Simplicityの概念と対立するようにみえますが、"Feeling of Simplicity"のコアにあるものは"Sense of Meaning"であり、多くのemotionが"Sense of Meaning"として結晶化するとき"Feeling of Simplicity"を感じると考えられます。

8番のTRUST ー In simplicity we trustとは寿司を食べるときに、店は自分で選ぶが、何を食べるかはその店の大将に”おまかせ”するというスタイル...

9番のFAILURE ー Some things can never be made simple:例外のない法則なし...

以上をまとめると10番のTHE ONE ー Simplicity is about subtracting the obvious, and adding the meaningfulということになります。

おそらく、これらは西洋人が一般に理解する禅の思想に近いのではないでしょうか。

また、かなり飛躍しますが、『Simplicity is about subtracting the obvious, and adding the meaningful」とはサイエンスでのストーリーテリングに相通ずるものがあります。(参考:”サイエンス・コミュニケーションとは国家の将来をかけた戦いであり、その肝はTechnical detailsを抑え、ストーリーを語ることである” [サイエンス・コミュニケーションとは戦いである:サイエンス誌2007年4月号])。また柳田充弘氏が「論文のお話し性」で指摘されているようにストーリーテリングは一流科学雑誌に論文を投稿する際の重要なストラテジーですので、The Laws of Simplicityから学ぶべきことは多いにあると思います。

時間のある方は『Talks John Maeda: Simplicity patterns」をご覧ください。









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テーマ:研究者の生活 - ジャンル:学問・文化・芸術


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Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:三重大学医学部・分子病態学講座教授 10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務後, ボストンへ研究留学し、ハーバード大学医学部・准教授としてラボ運営に奮闘する. 2011年に帰国、大阪府立成人病センター麻酔科・副部長をつとめ、臨床麻酔のできる基礎医学研究者を自称する. 専門は免疫学・細胞接着. また研究者のキャリアやスキルに関する著書に「プロフェッショナル根性・研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」(羊土社)がある. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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