山田ズーニーさんの本はたいてい読んでいますし、「大人の進路教室」もポドキャストで欠かさず聞いています。山田ズーニーさんはベネッセを辞めてフリーランスになったエピソードやその間の心境を著書で語っておられる様子から「10数年努めた企業をやめてフリーランスで現在やっていること」が現在のアイデンティティーとセールスポイントになっているように感じます。「5号館のつぶやき」さんが「
独りで生き抜くために必要なこと」でおっしゃるように「(アカデミアの)研究者という職業はフリーランスに限りなく近いもの」(特に米国では)と感じていますので、自分も「10数年努めた病院をやめてフリーランスで現在やっていること」をアイデンティティーとセールスポイントに思っているところがあり、山田ズーニーさんに共感できる部分が多くあります。
それでは(大学の研究者をフリーランスと呼んでよいかについてはここでは賛否あると思いますが、ここでは議論しないことにして)フリーランス研究者にとって最も大事な心得とは何なのでしょうか。エントリー「
ダニエル・ピンクが語るフリーエージェント:雇われない生き方」のなかでヘレン・ケラーの言葉を引用したように、
”失敗”を不要に恐れずに「リスクを取る勇気」はもちろん重要でしょう。これは「5号館のつぶやき」さんがとりあげている「大人の進路教室」でも同様のことが強調されています。
一般にフリーランスの魅力は「様々なコネ
レクションやしがらみから解き放たれ自由に(自己責任で)自分の進路を決定できること」と思いがちですが、実はフリーランスほど「様々なコネ
レクションやしがらみのなかに積極的に自分を置かなければならない」ということを最近とくに感じています。当然のことですが一人で研究することはできません。研究という複雑な活動はほとんどが共同作業であり、評価はそのコミュニティー中での相互評価によってのみ意味を持ちます。そして、”実験”という性格上研究(実験科学)という活動は”失敗”を避けて通るわけにはいきません。失敗からはい上がるすべなしには”実験科学”をすることは実際にはできないのです。
したがって、フリーランスに必要なものは単純に「リスクを取る勇気」ではなく、(
失敗したときに這い上がれるように)リスクをヘッジするために周到に根回したり、コネクションを利用することを臆することなくする「勇気」であると現在は思っています。
独立した研究者として”independent”でありたいと願えば願うほど、”inter-dependent”であることの重要性を感じずにはいられません。
そして、”independent”と”inter-dependent”とは同時に成立するのです。
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