ボストンで13年働いた研究者が、アカデミック・キャリアパスで切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
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山田ズーニーさんの本はたいてい読んでいますし、「大人の進路教室」もポドキャストで欠かさず聞いています。山田ズーニーさんはベネッセを辞めてフリーランスになったエピソードやその間の心境を著書で語っておられる様子から「10数年努めた企業をやめてフリーランスで現在やっていること」が現在のアイデンティティーとセールスポイントになっているように感じます。「5号館のつぶやき」さんが「独りで生き抜くために必要なこと」でおっしゃるように「(アカデミアの)研究者という職業はフリーランスに限りなく近いもの」(特に米国では)と感じていますので、自分も「10数年努めた病院をやめてフリーランスで現在やっていること」をアイデンティティーとセールスポイントに思っているところがあり、山田ズーニーさんに共感できる部分が多くあります。

それでは(大学の研究者をフリーランスと呼んでよいかについてはここでは賛否あると思いますが、ここでは議論しないことにして)フリーランス研究者にとって最も大事な心得とは何なのでしょうか。エントリー「ダニエル・ピンクが語るフリーエージェント:雇われない生き方」のなかでヘレン・ケラーの言葉を引用したように、”失敗”を不要に恐れずに「リスクを取る勇気」はもちろん重要でしょう。これは「5号館のつぶやき」さんがとりあげている「大人の進路教室」でも同様のことが強調されています。

一般にフリーランスの魅力は「様々なコネクションやしがらみから解き放たれ自由に(自己責任で)自分の進路を決定できること」と思いがちですが、実はフリーランスほど「様々なコネクションやしがらみのなかに積極的に自分を置かなければならない」ということを最近とくに感じています。当然のことですが一人で研究することはできません。研究という複雑な活動はほとんどが共同作業であり、評価はそのコミュニティー中での相互評価によってのみ意味を持ちます。そして、”実験”という性格上研究(実験科学)という活動は”失敗”を避けて通るわけにはいきません。失敗からはい上がるすべなしには”実験科学”をすることは実際にはできないのです。

したがって、フリーランスに必要なものは単純に「リスクを取る勇気」ではなく、(失敗したときに這い上がれるように)リスクをヘッジするために周到に根回したり、コネクションを利用することを臆することなくする「勇気」であると現在は思っています。

独立した研究者として”independent”でありたいと願えば願うほど、”inter-dependent”であることの重要性を感じずにはいられません。

そして、”independent”と”inter-dependent”とは同時に成立するのです。


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テーマ:研究者の生活 - ジャンル:学問・文化・芸術


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 久々に山田ズーニーの「おとなの進路教室。」から話題を頂きます。8月後半から第十一章「フリーランスという生き方」が始まっています。高橋真裕美さんというフリーランスの構成作家の方の話は、ここで話題になっているポスドクの仕事探しとかなりの共通点を持っていると
[ 5号館のつぶやき ]
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プロフィール

Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:三重大学医学部・分子病態学講座教授 10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務後, ボストンへ研究留学し、ハーバード大学医学部・准教授としてラボ運営に奮闘する. 2011年に帰国、大阪府立成人病センター麻酔科・副部長をつとめ、臨床麻酔のできる基礎医学研究者を自称する. 専門は免疫学・細胞接着. また研究者のキャリアやスキルに関する著書に「プロフェッショナル根性・研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」(羊土社)がある. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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