アカデミック・キャリアパスで研究者が切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
社会起業家Jeffrey Skollが「Humanity 2.0」を語ったTED (Technology, Entertainment, Design) Talkはとてもよかったのでここで紹介します。Jeffrey SkollはeBayの初代社長でしたが、そこで得たビジネススキル・人脈・資金をもとに社会起業家に転身した人物です。

社会起業家としてのJeffrey Skollの提唱するHumanity 2.0とはOpportunity GapとHope Gapという2つの社会のギャップを埋めていくプロセスです。Opportunity Gapを埋めるとはすべての人に機会が平等に与えられるように、機会の不平等を是正しいくプロセスであり、「Everyone can make a difference」のためのインフラや物理的なサポートと考えられ、当然その重要性が広く認識されています。しかし、彼は特にHope Gapを埋めることを重要視しています。Hope Gapとは「希望格差」とも訳されていますが「Everyone can make a difference」を信じることすらできなくなるという状態を指すのでしょう。

Opportunity Gapを埋めるためにはunder-appreciateされた社会問題に資金を「投資(Invest)」したり、ミーティングやフォーラムの人々の「連携(Connect)」が有効なアプローチでありますが、Hope Gapを埋めるためには「人々のこころに響く物語を提供する(Celebrate a story)」が必要であるというのがJeffrey Skollの持論です(ストーリーテリングの重要性)。そのために、かれはParticipant Productionsという映画スタジオを立ち上げます。(スタジオ立ち上げの背景には、彼が「ガンジー」や「シンドラーのリスト」に感銘を受けたことがあるようです)

Participant Productionsは、そのモットー「Movies have the power to inspire. You have the power to act.」にあるとおり、映画を通じてPublic Awarenessを高め、社会に変革をおこし、その結果としてHumanity 2.0を達成すること(特に、Hope Gapを埋める)を使命としています。

Participant ProductionsはAn Inconvenient Truth(アル・ゴアの不都合な真実)、Fast Food Nation、Good Night, and Good Luck(グッドナイト&グッドラック)などの注目された作品を送り出しています。映画の社会に対するインパクトは「不都合な真実」によく表されていると思いますが、Jeffrey Skollは一般にはあまり注目されなかった「North Country(邦題:スタンドアップ)」に言及ししています。「North Country」シャーリーズ・セロン(Charlize Theron)主演の女性に対する暴力をテーマにした映画であり、興業的な成功作品ではありませんでしたが、この映画の上映期間中に議会でthe Violence Against Women Act法案の更新の審議があり、法案更新成功に「North Country」が形成した世論が強い後押しとなったことをJeffrey Skollは強調しています。

Jeffrey Skollは現在40歳余りの若さでありながら、eBayでの成功のあと社会起業家として第二の人生をおくっているわけですが、この人生の急ピッチな展開の背景には、彼が14歳の時に父親がガンを宣告され「死ぬこと自身はそれほど怖くないが、人生でやり残したことがあることがつらい」といった言葉から「人生をいつ終わるかもしれない有限なもの」として受け入れる達観したところがあるようです。

Jeffrey SkollのTEDでの軽快なトークを楽しんで下さい。




テーマ:研究者の生活 - ジャンル:学問・文化・芸術


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Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務. その後, Harvard 大学医学部への研究留学を期に, 非常に迷った末に医局を離れBoston で独立することに挑戦し, 現在ラボ運営に奮闘する.「実験医学」 に”プロフェッショナル根性論”を執筆中.

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