ボストンで13年働いた研究者が、アカデミック・キャリアパスで切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
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「博士余り」解消へ「20%ルール」!?物理学会が提言
 若手の研究者は、仕事時間の20%を自由に使って好きな研究を――。日本物理学会(坂東昌子会長)が、こんなユニークな提言を発表する。「20%ルール」は米企業「グーグル」などが取り入れて、社員のやる気を引き出しているが、学会が呼びかけるのは異例。背景には、博士号を取得しても、希望する研究職につけない「博士余り」の問題がある。若手博士の視野と発想力を広げ、企業など幅広い分野で活躍させるのが狙いだ。(2007年7月16日3時4分 読売新聞



この提言に対して5号館のつぶやきのstochinaiさんが示された「違和感」に私も同意する。

まず、この提言にネガティブなコメントを2点:

1)多くの優れた伝説的戦略は「たった1つのキーワード」で語り継がれるので、一見シンプルに見えるが、実際には複数のクリティカル・コンポーネントからなるものである。
グーグルの「20% Free time」戦略も、その前提にあるものが(a)最高に優秀で創造性の高い人材をリクルートし、 (b)インタラクティブで知的刺激にあふれた労働環境を与えることである。
(a)Google Labs Aptitude Testなど、単なる秀才以上の人材をリクルートすることにグーグルは莫大なエネルギーを注いでいる。
(b)グーグルは"small, focused teams and high-energy environments"の提供にコミットしている。(参考:Top 10 Reasons to Work at Google

2)どのような優れた戦略でも弱点や問題点があり、長所のみを取り入れることは基本的にはできない。清濁合わせ飲まなくてはならないのだ。
グーグルの「20% Free time」戦略は玉石混合のアイデアを生み出すブレインストーミングである。この戦略をProductiveなものにするめには、玉石混合したなかからダイヤモンドを見つけ出す能力をもったマネージャーの存在がキーである。(キャリア・デベロップメントの点からも、せっかくのアイデアを否定されればもティべーションは低下するが、むやみにほめるだけでは生産性は上がらない。)

したがって、この物理学会の提言成功のキーは「若手博士」の”ブレインストーミング力”だけでなく、むしろ、マネージャーである教官の審美眼にかかっているといえる。

最後にポジティブなコメントをひとつ(精神論ですが...):
一般的に”トップダウン”式の提言や戦略の多くは現場にマッチしていない。しかし、(正しいか別にして)”トップダウン”が惹起した第一歩(=Free time)をレバレッジにして、若手博士は自分の独立心を磨くことはできるはずだ。


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 物理学会(会長が女性のようで、それは素晴らしいと思いますが)では、「若手の研究者は、仕事時間の20%を自由に使って好きな研究を」という提言をするそうです。研究者の多くはその持てる時間のできるだけ多くを「好きな研究」にあてているはずなので、すぐにはこの提
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プロフィール

Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:三重大学医学部・分子病態学講座教授 10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務後, ボストンへ研究留学し、ハーバード大学医学部・准教授としてラボ運営に奮闘する. 2011年に帰国、大阪府立成人病センター麻酔科・副部長をつとめ、臨床麻酔のできる基礎医学研究者を自称する. 専門は免疫学・細胞接着. また研究者のキャリアやスキルに関する著書に「プロフェッショナル根性・研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」(羊土社)がある. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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