ボストンで13年働いた研究者が、アカデミック・キャリアパスで切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
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サイエンス誌7月号は大学の学部レベルでのScience Educationに関する特集「The World of Undergraduate Education」を組んでいる。同誌は6月号で米国での理科教師育成に関する特集をしているが(参照:いかにして優秀な理科・数学教師を育てるか: 米国でのとり組み)、今回は海外(米国以外)での学部教育への革新的な取り組みも数多く紹介している。

オーストラリア(AUSTRALIA: 'A Crisis in Student Quantity and Quality'
米国(UNITED STATES: 'This Is the Front Line ... Where I Can Really Make a Difference'
イギリス(UNITED KINGDOM: 'Much of What We Were Doing Didn't Work'
フランス(FRANCE: Opening Up to the Rest of the World
ブラジル(BRAZIL: 'I Do Not Make a Distinction Between Teaching and Research'
ロシア(RUSSIA: 'The Teacher Is Still the Central Figure'
南アフリカ(SOUTH AFRICA: 'I Wish ... I Could Give [Them All] Computers'
オーストリア(AUSTRIA: 'Can't Have a Career... Without English'
インド(INDIA: Beyond Islands of Excellence
中国(CHINA: 'It's Important to Ask Students To Do Some Work on Their Own'
韓国(SOUTH KOREA: 'A Strong Voice' For Course Reform
日本JAPAN: Spreading Knowledge of Science and Technology



日本では科学者(Biophysicist)秋山 豊子氏(慶応大)がPCRなど分子生物学のラボ・クラスを交えて、文学や政治経済学を専攻する文系の学部生に自然科学を教えるユニークな授業が紹介されている。同誌によると授業を受けた文系学部生の80%が自然科学を学ぶことは価値があり(worthwhile)、90%がラボ・クラスは有意義である(meaningful)と考えているようだ。

これは、非常に面白い取り組みであり、将来的に大きな可能性とインパクトを秘めているとオプティミスティックなビューを私はもっている。
1)プライマリーにはサイエンス誌のエディターDonald Kennedy氏が言うように

ノン・サイエンティストに現代社会で生きていくために必要な”サイエンス・リテラシー”を吹き込むことであるが...
how well we instill in the others enough curiosity and basic understanding to qualify them as useful citizens of the modern world


それ以外にも:
2)サイエンスの「クール: cool」な部分を選択的に(戦略的に)文系の学生にすり込むことにより、中長期的に社会での「文系 v.s. 理系」の心理的ギャップ(お互いが理解不可能な別世界の人種であるかのごとく思いこむ)を埋めていけるのではないか。そして、サイエンスの「クール」さを将来の官僚、政治家、シニアマネージメント候補生にすり込むことは研究費拡大やポスト増加の布石となり得るのではないか。

サイエンス(とくに実験科学)は「クール」な部分だけではないが、「文系学生への自然科学教育」では、戦略的に「クール」な部分を十分に理解してもらえるように教えるべきである。バランスは重要であり嘘はつくべきではないが、ともすれば陥りがちな「自嘲的な」メッセージは避け「politically correct」なストレートなメッセージを伝えたい。学生の誰かは将来科学研究費配分に影響を何らかの形で与える可能性があるかもしれない。もちろん、だれも日々そんなことを考えて授業はしないであろうが、フレームワークを作る時点では”戦略的”でありたい。


関連エントリー:
いかにして優秀な理科・数学教師を育てるか: 米国でのとり組み
<http://harvardmedblog.blog90.fc2.com/blog-entry-91.html>




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分子生物学  【2007/08/18 Sat】
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Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:三重大学医学部・分子病態学講座教授 10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務後, ボストンへ研究留学し、ハーバード大学医学部・准教授としてラボ運営に奮闘する. 2011年に帰国、大阪府立成人病センター麻酔科・副部長をつとめ、臨床麻酔のできる基礎医学研究者を自称する. 専門は免疫学・細胞接着. また研究者のキャリアやスキルに関する著書に「プロフェッショナル根性・研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」(羊土社)がある. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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