ボストンで13年働いた研究者が、アカデミック・キャリアパスで切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
町山さんの「もしドラ」の映画評論はいつもながら素晴らしい。彼は単に好き・嫌いや、感動した・つまらなかったなどの素人的な感想や印象論に終わることなく、映画の背景を解説し、内容を分析し、その構造を解説し、問題点(または素晴らしい点)を指摘し、時には代案を示してくれる。”アカデミックな映画の見方”を教えてくれる。

町山さんによれば「もしドラ」は前田敦子のためのアイドル映画であるというのが映画としての目的であるべきであったのに、その目的を果たしていないのが、この映画をダメにしている根本的な問題であるという。

またその他の問題点としては、まったく笑いがないことで、映画のなかで使われるギャグがまったく笑えないらしい。そこで町山さんによれば、ハリウッド映画で人を絶対に笑わすためのプロトコールは:
1)笑わせる部分の脚本を書く専門家がいて、笑わすシーンの脚本はその専門家が書きなおす
2)プロのコメディアンを起用する(出演させる)
3)そのコメディアンにアドリブでギャグを言わせるシーンをたくさん撮影し、そのうち本当に面白かったもののみを使用する。

笑いという生命現象が惹起されるメカニズムはおそらく完全にはわかっていなでしょう。そんな不確実性に立ち向かうには専門家の集団を擁することは必要条件ではあるが、十分ではないはず。偶然性が大きく影響する領域では、歩留まりは低く、やはり数を打たなければならないのでしょう。




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ハーバードから三重大に移動するにあたり、最も大きな問題のひとつが、現地で雇用した米国人スタッフの行き先を見つけることでした。(先日は一人をのこしてすべての行き先が決まったと書きましたが、最後の一人もボストンの大手製薬会社のスタッフ研究者としてのポジションを得ることがでたという知らせを今日受け取りました。) ハーバードの知り合いのラボに紹介出来る例もありますが、アカデミアやコーポレートへのキャリア・アップを強く望む者もいます。その場合には個人的なネットワークを利用して、出来るだけ強力に推薦しますが、現在の米国の雇用は冷え込んでおり、簡単ではありませんでした。

アカデミアの場合は推薦状をメールで送ることが多いのですが(「研究者の英語術」の第5章「用紙2枚分の説得力のある強い推薦状を書く」など見ていただければ幸いです)、コーポレートの場合には、レターを書く代わりに、電話で人事担当者と20分程度直接話すことがほとんどでした。前もって電話の時間が指定できるので、英文で推薦する要点をまとめた”カンペ”を用意して、電話会議に挑みます。大抵は被推薦者の能力・性格・人となり・実績などに関してオープンエンドな質問をされます。具体例をあげて被推薦者の長所を強調するという点は推薦状を書く場合と同じですが、電話ではポジティブなトーンでゆっくりと大きな声で話すことが大切です。

キラー・クエスチョンは「被推薦者の短所は何か」です。うっかりのせられて、いろいろ語るのは御法度です(もし、被推薦者がジョブ・オファーされることを強く望むのなら)。「思い浮かばない」と言い張るのもおそらくありですが、「Too organized」(ちゃんとしすぎるところがある)など、短所と言いつつも、うまく長所をアピールするのがいいのではないでしょうか。


7月より三重大学大学院・医学系研究科・分子病態学講座の教授として赴任します。血管生物学の分野で多大な業績をあげてこられた鈴木宏治教授・副学長(現・鈴鹿医療科学大学・薬学部教授)の伝統ある研究室を引き継ぐことを、非常に光栄に感じています。私が赴任までの間、三重大でラボを運営してくれている助教の岡本先生と秘書の池田さんのすばらしい協力を得て、インパクトのあるいい仕事が日本でも出来ることを予感しています。

先日、ハーバードで盛大な送別会を開いていただき、研究所長のフレッド・アルト教授や恩師のティム・スプリンガー教授をはじめ、ハーバード大、フォーサイス研究所、マサチューセッツ工科大の多くの先生方に祝福していただきました。ハーバードのラボメンバーには多大な迷惑とストレスをかけましたが、多くの方々の援助をいただき、ラボは発展的に解消し、アカデミアまたはコーポレートへと一人を除き全員の行き先がきまりました。

また、大阪大学・眞下教授や大阪府立成人病センター・谷上部長らのご理解を得て、短期間ながら大阪府立成人病センター病院で、麻酔科医として13年ぶりに臨床に携わる機会を与えていただきました。ここでは臨床医として周術期患者の全身管理を担当することで、直に医療に貢献できる喜びを感じています。本当に麻酔科医でよかった。

これからは「ハーバード大学医学部留学・独立日記」の第二部として、「三重大医学部編」と題して、発信していきます。

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Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:三重大学医学部・分子病態学講座教授 10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務後, ボストンへ研究留学し、ハーバード大学医学部・准教授としてラボ運営に奮闘する. 2011年に帰国、大阪府立成人病センター麻酔科・副部長をつとめ、臨床麻酔のできる基礎医学研究者を自称する. 専門は免疫学・細胞接着. また研究者のキャリアやスキルに関する著書に「プロフェッショナル根性・研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」(羊土社)がある. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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