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ボストンで13年働いた研究者が、アカデミック・キャリアパスで切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
4月2日の小出裕章氏(京都大学原子炉実験所助教)が、神保氏の電話インタビューで福島原発の展望についてコメントしています。前回のエントリーで書いたように、小出氏は1週間前のインタビューで2つの最悪のシナリオを提示していましたが、現在は「第2の最悪のシナリオよりは少しはましな状態」、すなはち「大きな爆発的事象はさけられるが、原発の安定化には、経済的にも人的にも高コストの冷却作業を、長期間にわたり必要とし、その間放射性物質が環境に垂れ流しになる」状態に近づきつつあると認識しています。福島原発は決して落ち着きつつあるのではなく、けんめいの冷却作業により何とか下り坂を転げ落ちるのをこらえている状態であるのです。この認識はIAEAが、ずっと「Overall at the Fukushima Daiichi plant, the situation remains very serious.」と評価していること一致します(IAEAが公表している福島原発1-6号炉の4月2日付けの評価スライドを下にしめします。)

また、炉心は2000度以上になり溶け出し、圧力容器、格納容器とも破損し、汚染した冷却は、だだ漏れ状態であると考えられます。4月2日のニューヨークタイムズも、米国政府や民間の「原子力鑑識(atomic forensics)」の粋を集めたシュミレーションの結果より、炉心は2,250度に達し、融解が始まっていると考えられると報じています。

大きな問題は、圧力容器や格納容器が破損している以上、閉鎖系で冷却水を循環させることは不可能であり、電源が復旧しても正常な冷却機能を期待することはできないということです。だだ漏れを承知で水を注入し、冷やし続けることしか方法はないのでしょう。この方法により大規模な水素爆発は阻止でき、大気中への大量の放射性物質の放散は避けられるかも知れませんが、その代償として、海水や地下水への汚染は継続されることになってしまいます。

小出氏が指摘するさらなる今後の問題は、この「最悪のシナリオよりは少しはましな状態」が、現場で働く十分な知識と技量をもった技術者の献身的な働きによってなんとか維持されており、将来的に被曝等の問題により、そのような上級の技術者を継続的に現場に派遣することが難しくなれば、この状態さえ維持できなくなる可能性があるということです。




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Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:三重大学医学部・分子病態学講座教授 10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務後, ボストンへ研究留学し、ハーバード大学医学部・准教授としてラボ運営に奮闘する. 2011年に帰国、大阪府立成人病センター麻酔科・副部長をつとめ、臨床麻酔のできる基礎医学研究者を自称する. 専門は免疫学・細胞接着. また研究者のキャリアやスキルに関する著書に「プロフェッショナル根性・研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」(羊土社)がある. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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