ボストンで13年働いた研究者が、アカデミック・キャリアパスで切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
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福島原発の最悪のシナリオとは、先日のVideonews.com「あえて最悪のシナリオとその対処法を考える」での飯田哲也氏(NPO環境エネルギー政策研究所所長)・小出裕章氏(京都大学原子炉実験所助教)によれば、一つは(可能性は低いが)再臨界による”爆発的事象”が起こり、チェルノブイリのように一気に放射性物質が大気中に放出されること。そして、もう一つの”より現実的な最悪のシナリオ”とは、大きな爆発はおこらないが、局所的で持続的な爆発的事象により、現場での作業が難航し、現在のように十分に冷却できない状態が長期間続き、その間放射能汚染が徐々に広がり、あらゆる面で国民の健康・生活を蝕み、国が衰退していく可能性である(長期間とは数年の可能性もあるが、チェルノブイリでは現在でも3000人以上の職員が施設の安定と維持のために働く必要があるらしいので、数十年から半永久的である可能性すらあるという)。

最悪のシナリオが語られない理由のひとつに、パニックや日本の将来性や経済的価値に与えるネガティブな影響の大きさを懸念するという動機は容易に想像できる。さらに神里達博氏(東京大学特任准教授・科学論)は文化系トークラジオ・ライフ「このメディア環境を生きる」で、日本に特有のある国民性・文化に言及している点は興味深い。

神里氏によれば、日本では危ないことや悪いことを語る人を責める傾向があるという。これは「悪い知らせを語る使者を斬る」という日本古来の慣習に見られるように、言霊(ことだま)思想に根ざしており、「語った事は現実になる」という思想が影響している。つまり、悪いことを言う人(つまり警鐘をならすひと)は、悪いことが起こることを願っているということになる。そのため、だれも最悪のシナリオを言い出せないのかもしれない。



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ワシントンDC経由で日本に帰ってきました。ボストンのローガン国際空港ではチェックインのときに、いつもビジネス・ライクで必要最低限のことしか話さないユナイテッド航空の職員が、パスポートを見て私が日本人だとわかると「Is your family OK?」と聞いてくれた。3・11後は米国の友人やハーバード大学の同僚だけでなく、見ず知らずの方から、日本のことは心配してるよと声をかけられる事がしばしばあります。

ボストンのタクシーでは、学生時代フットボール選手だという運転手は、最近の大相撲での賭博や八百長問題のこともよくフォローしている日本ファンだと言い、日本のことを心配してくれた。私が「原発が落ち着けば、日本に来ればいいよ」と社交辞令で言うと、彼は「仕事が休めるなら、復興後の日本ではなく、今現在の日本に行って、力になりたい」と言ってくれました。

日本の新聞やテレビのニュースには、福島原発の現状や展望については重要な情報はほとんどでてきません。政府が情報統制をしているのでしょう。官房長官の「直ちに健康に影響がない」というコメントに代表されるように、国民にパニックを起こさないようにすることに主眼が置かれているようです。宮台真司氏が言うように、本当のことはあまりにも恐ろしくて公には誰も口にできない。本当の事を言えば国内でのパニックだけでなく、対外的にも日本の経済的格付けが急落していまい、すべての外資が日本から一気に出て行ってしまう危険があるということでしょう。

現状はあまりにも不確定で複雑で、専門家以外には理解が難しいので、”わたしたち”は、つい一言で簡単にわかる結論やサマリーを欲してしまいます。テレビも時間制限や視聴率の観点かも”複雑で長時間に及ぶ大量の編集されていない”情報を流すことはできないのでしょう。テレビの本来は問題を深く検討するのが目的の討論番組でさえも、短くて印象的な”クリスピーなサウンド・バイト”を意識した発現が要求されます。

その点インターネットでの放送は”複雑で長時間に及ぶ大量の編集されていない”情報でも、重要と判断すればかなり自由に流すことができるのが強みです。前回紹介した神保哲生の主宰するVideonews.comが放送するプログラム「あえて最悪のシナリオとその対処法を考える」は飯田哲也氏(NPO環境エネルギー政策研究所所長)・小出裕章氏(京都大学原子炉実験所助教)らの専門家を招き、3時間以上の生放送で福島原発の現状と展望について、本当に重要な情報を提供してくれます。



ボストンでもハーバード大の多くの方々に「日本の原発は今どうなっているのか」と聞かれます。講演のために来日予定の教授も何人かいらっしゃるので、本当に他人事ではないのです。私は医学研究者であり、もちろん原発に関しては何の1次情報ももっていませんので、どのメディアの情報を信じるかと言うことが非常に重要になってきます。

私が今一番信頼しているジャーナリストはVideoNews.comの神保哲夫氏です。非常にバランス感覚にすぐれ、正義感・使命感が強く、行動力のある真のジャーナリストとわたしは見ています。神保氏らは今年のはじめには、インターネット・メディアとして日本の歴史上はじめて、現役の首相の生出演を実現しました。

3/20の時点では以下のビデオ・ニュースが原発に関して信頼できる情報と解説を(無料で)提供しています。これらは必見です。

予言されていた“原発震災” 広瀬隆氏インタビュー(3/20/2011)

日本の何が揺らいでいるのか(3/18/2011)


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プロフィール

Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:三重大学医学部・分子病態学講座教授 10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務後, ボストンへ研究留学し、ハーバード大学医学部・准教授としてラボ運営に奮闘する. 2011年に帰国、大阪府立成人病センター麻酔科・副部長をつとめ、臨床麻酔のできる基礎医学研究者を自称する. 専門は免疫学・細胞接着. また研究者のキャリアやスキルに関する著書に「プロフェッショナル根性・研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」(羊土社)がある. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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