ボストンで13年働いた研究者が、アカデミック・キャリアパスで切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
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羊土社のウェブ連載「研究者のための英語コミュニケーション」では、英語を話すことよりも、書くことが重要であると主張してきました。時間、資金、精神力・体力なのどリソースが無限にあるのならば英語を話すことと書くことの両方に磨きをかけることができますが、リソースに限りがあるのならばプライオリティーを決めなければなりません。

そういう前提のもとで、研究者は、英語を話すことを磨くことに比較して、独学の効く英語を書く能力を磨くことにまず専念したほうがトータルな「仕事力」を高める上では効率がよいというのが、私の考えです。

また、英語を話すこと・英語を書くこといづれにせよ、上達のための最大のドライビング・フォースは「緊急性」と「具体性」です。将来的にいつか役立てるために英語のスキルを高めておくというのでは「緊急性」も「具体性」もありません。しかし、一ヶ月後に英語のスピーチをしなければならないとか、2週間後に英語の申請書を提出しなければならないという状況には「緊急性」と「具体性」があります。

「緊急性」と「具体性」を兼ね備えた英語ライティングのトレーニングの場として適したものに、英文メールを書くということがあげられます。メールではある期日までに(緊急性)、あるメッセージを伝えなければなりません(具体性)。例えば、英語でメールを返信するために数年かけて英語力を高め、十分に準備してから返信するわけにはいきません。今ある力を駆使して、今日(もしくは明日までに)返信しなければなりません。上手い英語をめざすのではなく、伝わる機能的な英語を目指さなければなりません。

羊土社のウェブ連載「研究者のための英語コミュニケーション」第5回「英文メールの書き方-2」がアップされました。

あなたは自分のメールの後半が読まれていない事実を知っていますか?....メールで数回やりとりをしていると,前回のメールで自分が詳しく書いたはずの事項を,相手がまるで初めてのことのように質問してくることを経験したことはありませんか.メールの全文がいつも読まれているわけではないのです.とくに後半に書いたことは全く読まれない(スルーされる)と考えた方がよい場合が多いのです.私自身も忙しい時には,長いメールは最後まで読まないことがよくあります(*)....



「伝わる英文メール・ライティングのトレーニング」を具体例をあげて解説していますので、どうぞこちらをご覧ください。


YC-V2


(*)追記:コメントをくださったボストン「プロ研究者への道」のKayさんも、メールの後半は読まないことがよくあるとご自分のブログで告白されています。





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”読みやすくて、知識が蓄えられる科学に関する書籍を厳選して紹介”しているポッドキャスト「ヴォイニッチの書棚」の52冊目で「研究者の仕事術」が紹介されました。

ヴォイニッチの書棚:52冊目 「研究者の仕事術」(6分39秒)

 本当のプロフェッショナルな研究者とは終身雇用とは縁のない世界に身を置き、研究費を自ら枷がなければ次の年の食が保証されず、自らのキャリア戦略を自ら立案して研究に取り組む科学者のことです。


パーソナリティー樽町野久栄乃(Tarumachino Kueno)さんの一度聴いたら忘れられない癖になるナレーションを是非聴いてみてください。




ちなみにこれまでのヴォイニッチの書棚のラインナップは以下のとおりです。

51冊目 「マンガでわかる確率入門」
50冊目 「137億光年のヒトミ」
49冊目 「なぜ生態系を守るのか?」
48冊目 「身近な雑草のふしぎ」
47冊目 「食べ物はこうして血となり肉となる」
46冊目 「細胞の意志」
45冊目 「宇宙に知的生命体は存在するのか」
44冊目 「リサ・ランドール 異次元は存在する」
43冊目 「疑似科学入門」
42冊目 「食品汚染はなにが危ないのか」
41冊目 「世界で最も美しい10の数学パズル」
40冊目 「ありえない 生物進化論」
39冊目 「元素周期 萌えて覚える化学の基本」
38冊目 「はじめてのGTD ストレスフリーの整理術」
37冊目 「ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた驚きの宇宙 銀河」
36冊目「アストロバイオロジー」
35冊目「巨大高層建築の謎」
34冊目「からだビックリ!薬はこうしてやっと効く ―苦労多きからだの中の薬物動態―」
33冊目「アキレスとカメ」
32冊目「原子力ルネサンス」
31冊目 「化学物質はなぜ嫌われるのか」
30冊目 「ビールボーイズ」
29冊目「実験医学増刊・再生医療へ進む最先端の幹細胞研究」
28冊目「キカイはどこまで人の代わりができるか」
27冊目「南極大図鑑」
26冊目「科学力のためにできること」
25冊目「ゴリラの子育て日記」
24冊目ニュートン別冊「連動して発生する巨大地震」
23冊目「別冊日経サイエンス 温暖化危機 地球大異変 Part2」
22冊目「中国の環境問題 今なにが起きているのか」
21冊目「人類の足跡10万年全史」
20冊目「よみがえる恐竜・古生物」
19冊目「奇跡の新薬開発プロジェクト」
18冊目「日本人の褥瘡(じょくそう)危険要因」
17冊目「世界を変えた天才科学者50人」
16冊目「図解宇宙船」
15冊目「すばる望遠鏡の宇宙」
14冊目「ココまで進んだ細菌利用 人を助けるへんな細菌すごい細菌」
13冊目「魚の発酵食品」
12冊目「遺伝子できまること、きまらぬこと」
11冊目「賢くはたらく超分子」
10冊目「車の渋滞・アリの行列」
9冊目「砂漠化ってなんだろう」
8冊目「やっぱりペンギンは飛んでいる!! 拝啓、ホントに鳥ですか?」
7冊目「不都合な真実」
6冊目「暗黒宇宙の謎」
5冊目「クマムシ・小さな怪物」
4冊目「大人のためのロボット学」
3冊目「眼の誕生・カンブリア紀大進化の謎を解く」
2冊目「クラゲのふしぎ」
1冊目「恐るべき旅路 ―火星探査機「のぞみ」のたどった12年」









羊土社ウェブ連載中の「研究者のための英語コミュニケーション」では”グローバル化の進んだ今こそ研究者は英語ライティングの学習に時間をかけることが重要である”という主旨のもと、第1から3回では英文アブストラクトの書き方を、そして第4回目からは英文メールの書き方を解説しています。

このウェブ連載の第1回で,英語ライティングに重点を置いた英語学習法を推す根拠として,英語を書く(ライティングでのコミュニケーション)能力は,英語を話す(口頭コミュニケーション)能力に比べて独学で磨くことにより適している,そしてライティングでのコミュニケーションが今後のグローバル化にともないますます重要になってくることを挙げました.

ここでもうひとつライティングを真剣に学ばなければならない重要な理由を挙げますと,米国では,“話し言葉としての流暢でない英語”(とくにアクセントや発音)に対してはかなり許容度が高いのですが,“書き言葉としての流暢でない英語”に関しては許容度が低いという背景があるからなのです

第4回 英文メールの書き方①
~伝わるメールを書いて,英語ライティング・スキルを高める



この話し言葉と書き言葉に対する許容度の差は、日本語の下手な外国人を例に考えてみると実感しやすいかもしれません。

例えば、見知らぬ外国人がカタコトの日本語と身振り手振りであなたにメッセージを伝えようとしている場合には、仕事中でも何とか話しを聞いてやろうという気持ちになることも多いでしょう。

しかし、見知らぬ相手から、カタコトの日本語で書かれたメールを仕事中に受け取った場合に、どれだけの人がそのメールの”真意の解読”に時間を割くでしょうか。

このような背景を踏まえて、「研究者のための英語コミュニケーション」の連載では読まれる・伝わる英文メールの書き方を数回に分けて解説していきます。詳細はどうぞこちらをご覧ください。



YC-V2




テーマ:語学の勉強 - ジャンル:学問・文化・芸術

研究者が自分の研究成果を世に問うときに最も恐れるものとはなんでしょうか。まず最初に思いつくのがレジェクションでしょう。自分の仕事のクオリティーや、時にはその存在価値に対する辛辣なネガティブコメントほどショックものはないでしょう。投稿した論文が大きなネガティブコメントなく、無事アクセプトされた時にはほっとするものです。確かに短期的には世間やコミュニティーのネガティブな反応が最も恐れることで、大過なくやり過ごすことで良しとすることもあるでしょう。

しかし、長期的に見て最も恐れるべきことは”全く反応がないこと”なのです。ネガティブなコメントをくれたレビュアーは少なくとも自分の仕事を貴重な時間を割いて読み・考え・コメントを書いてくれているのです。短期的には破壊的に思えるネガティブインパクがあったとしても、反応があるかぎりそこには成長のカギがあるのです。

例えばプレゼンテーションのリハーサルで問題点や短所を指摘しなければならないときには、「短所:areas of weakness」を「areas for improvement」や 「opportunities for improvement」と、相手に破壊的なネガティブインパクトを与えないように”政治的に正しく”言うように私はこころがけています。

これとは対照的に、無反応というのは短期的には大きな痛みを伴いませんが、長期的には”ゆでカエル”のように緩慢な死を意味することさえある病理であり、研究者だけでなく芸術家やビジネスパーソンなど”価値あるもの”を造り出すことを職業とするもの、また表現や発信することを目指すものが、真に恐れるべきものだと考えています。

今回「やるべきことが見えてくる研究者の仕事術」を出版させて頂いたときにも、やはり最も気になったことは読者の方々からの反応が全くないかもしてれないということでした。たとえネガティブなものであれ本を読んで反応していただければ、それで十分であるという思いがありました。幸いなことに現在まではネットと編集者さんをとおして知る限り、おおむね反応はポジティブであると感じています。また、たとえネガティブなコメントであれ貴重なお金で本を購入し、貴重な時間を割いて本を読み、コメント書いて頂いた方にも感謝しております。

そして、「藤野の散文-菊の花、開く」の藤野氏のように、

自分が「これ」と思った本と出会うと「徹底的にそれと向き合い、咀嚼し尽くす」というのは年に何度もないことだが、とても重要な行為だと今回気づく。



何回も読み返していただき、「研究者の仕事術、の活かし方」という連作で、新たな”価値”を生み出されている方もあらわれ、驚きと喜びを感じております。これは「研究者の仕事術」の前身である実験医学での連載「プロフェッショナル根性論」を書き始めた時には考えもしなかった広がりであります。

関連エントリー:「ビジネスパーソンが語る「研究者の仕事術」の活かし方



テーマ:創造と表現 - ジャンル:学問・文化・芸術

ビジネス書から得た叡智を研究者の経験をもとに研究者に向けて語った「やるべきことがみえてくる研究者の仕事術」が、ビジネスパーソンにはどういうふうに読まれるのであろうかと、私はとても関心をもっていました。そんななか「藤野の散文-菊の花、開く」のwhy-newton氏が、14回にわたる連作で書評を書いてくださいました。その書評は素晴らしく、もはや書評という枠を超えたwhy-newton氏による「研究者の仕事術」をモチーフにした「研究者の仕事術、の活かし方」と題された新たな作品であります。


「研究者の仕事術、の活かし方」by why-newton

その1「ヘタレ、からの脱出

その2「何のために仕事をするのか

その3「人生との対峙

その4「強みを伸ばせ

その5「プロダクティビティーを上げる時間管理術(または無題)

その6「自分の世界で一番になること

その7「フィードバック力

その8「自分のストーリーを語る、物語力

その10「英語力の向上について

その11「知識と知恵、そして情報

その12「創造の正体(または英語力の向上について)

その13「著作より学びしこと

その14「戦略、について


「あとがき」by Motomu Shimaoka

自分の強みにこだわる仕事術:Strengths-based approach」で、”ひとは自分の弱みの克服に多くの時間をさくのではなく、強みのさらなる強化に重点をおいてこそストロング・ライフをおくることができる。しかし、自分の強みを自分で見つけるのは簡単ではない。強みをみつける良い方法の一つが推薦状の開示などをとおして、人に見つけてもらうことである”と書きました。why-newton氏の”研究者の仕事術、の活かし方”に書かれた著者像(私)から、自分の「強み」を再発見することができたように思います。ありがとうございました。

追記:why-newtonこと藤野氏による「あとがき」

「研究者の仕事術、の活かし方」その後

その15「ブログの反響力

その16「著者からのメッセージに思う

その17「再び著作に返る


「研究者の仕事術、の活かし方」の周辺で

その18(外伝)「著作の背景

その19「再び、研究者の仕事術へ:浸透する思い

その20「総括:消化不良を解消すること

その21「ブログのレバレッジ:今回書評で起こったこと

その22「最近起こったこと:自分の価値


「研究者の仕事術、の活かし方」の余波

その23「アングル読書法

その24「ブログ考:異質、ということ








テーマ:研究者の生活 - ジャンル:学問・文化・芸術

オバマ大統領のアメリカの経済刺激対策のための大型予算The American Recovery and Reinvestment Act of 2009 (Recovery Act) の一環として、NIHはブッシュの時代には停滞していた医学研究の分野に2009年には大幅な投資を行いました。その目玉の1つが”オバマのチャレンジ・グラント”と呼ばれるNIH Challenge Grants in Health and Science Research、またはコードネームRC1グラントです。3月にアナウンスアナウンスされたときには総額約1億円のグラントを200件程度といわれていましたが、2万件以上の応募があり近年まれに見るきわめて厳しい競争になりました。締め切りの4月27日には電子投稿のシステムがパンクしてしまうほどに混雑し、2万件のグラントを審査する人材は米国内だけでは足りず、NIHは欧州各国から審査員をリクルートしたようです。

通常のグラントR01では上位15~25%程度につければ、研究費が獲得できるのですが、RC1の場合には単純計算すれば成功率は1%以下になってしまいます。審査のスコアは7月末には応募者には伝えられたので、自分が上位何%に位置するかはわかるのですが、どのレベルで切られるのか(ペイ・ラインpaylineと呼ばれる)はRC1の場合には前例がないため楽観論や悲観論などかなりの憶測がながれました。例えばあるブログのコメント欄では不安を抱えた米国研究者が250以上のコメントでペイ・ラインについて意見を交換し、本当に200件なのか、もう少し多くなるのかなどさまざまな噂が流れました。

ペイ・ラインにつてはNIHは8月中は沈黙を守りましたが、8月末には新しいNIHディレクターFrancis Collinsが就任の演説で、約600件程度になるという可能性をほのめかしました。しかし9月になりまた沈黙が続きました。NIHの年度予算が9月末日で終わるため、9月の最後の週に急速な動きがあると噂されていました。

その噂のとおり9月の終わりになってNIHから2度電話がかかってきました。ひとつ目は明日までにある書類を提出せよというもので、2つ目は1時間以内に別の書類をファックスせよというものでした。いずれにせよNIHから電話があるのはよいサインなので、他の仕事を一時的にすべて中止して書類の作製に集中しました。そして9月29日にチャレンジ・グラント受賞のオフィシャルな知らせを受け取りました。NIHのデータベースによると全米で800余りのチャレンジ・グラントが授与されたようです。そして、翌9月30日オバマ大統領がNIHを訪れチャレンジ・グラント他Recovery Actからのグラント受賞者に対する期待と、NIHスタッフの努力を讃えるスピーチを行い、予算獲得競争の戦いの第一幕は終わりました。




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プロフィール

Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:三重大学医学部・分子病態学講座教授 10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務後, ボストンへ研究留学し、ハーバード大学医学部・准教授としてラボ運営に奮闘する. 2011年に帰国、大阪府立成人病センター麻酔科・副部長をつとめ、臨床麻酔のできる基礎医学研究者を自称する. 専門は免疫学・細胞接着. また研究者のキャリアやスキルに関する著書に「プロフェッショナル根性・研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」(羊土社)がある. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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