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ボストンで13年働いた研究者が、アカデミック・キャリアパスで切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
米国のアカデミアの研究者が、特に大きなストレスを感じる月が年に3回あります。それは、1月、5月、9月です。これは政府の大型研究費申請書R01グラントの締め切りが2月5日、6月5日、10月5日であるからです。自分を含めスタッフ全員の給料とすべての研究費を外部資金から調達することを要求される米国の主要大学の場合には、グラントの合否は死活問題です。私はアイデアや予備実験、共同研究者との交渉など通常1年以上かけて下準備しますが、締め切り2ヶ月前あたりから強いストレスがかかりはじめ、締め切り前1ヶ月はグラントのことが全く頭から離れない状態になります。

現在私はそのストレスのまっただ中にいるわけです。R01グラントはシングルスペース25ページのサイエンスに関する部分に、予算・設備・スタッフの構成などを含めると100ページ程度になります。頭の中にある漠然としたサイエンスのアイデアを、25ページの文書にして、向こう5年間このプロジェクトに自分の仕事人生の一部(%エフォート)を捧げますと宣言するに至る第1ドラフトを書き上げるまでの生みの苦しみが最も苦しいところで、研究者は毎回この苦しみに正面から向き合わねばなりません。

グラント・ライティングに限らず、目の前の白紙に自分のアイデアを書いて、人にわかってもらえるようなメッセージに落とし込むという作業は、程度の差はありますが、つねに創造的ですが、そしてつねに生みの苦しみをともないます。それは英文アブストラクトを書く場合にも言えることです。

羊土社のウェブ連載「研究者のためのひとりで学べる英語コミュニケーション」第3回「第3回 アブストラクトの書き方③~【実践編】優れたアブストラクトへの道のり」では、第1ドラフトを書き上げる「生みの苦しみ」を少しでも軽減するためのフレームワークを実例を引いて提唱しています。


アブストラクトを完成させる過程で人は2度の「生みの苦しみ」に向き合わなくてはなりません.無から第1ドラフトを生み出す過程が「最初の生みの苦しみ」であり,第1ドラフトをセルフ・エディティングして人に見せられるレベルにまで磨き上げる過程が「第2の生みの苦しみ」です.

―「羊土社:研究者のためのひとりで学べる英語コミュニケーション」―


「最初の生みの苦しみ」を軽減するために,ここで私案ではありますが,「快適に第1ドラフトを書き始めるためのフレームワーク」を提案します.このフレームワークに乗っ取って,とにかく第1ドラフトを仕上げましょう.第1ドラフトは同じような表現を繰り返し使ってしまうことなど無駄な部分や,また逆に言い足りない部分もあると思いますが,それらはのちに訂正しますので,気にせずに書き上げましょう.

―「羊土社:研究者のためのひとりで学べる英語コミュニケーション」―



詳細はこちらをご覧ください。



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テーマ:研究者の生活 - ジャンル:学問・文化・芸術

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プロフィール

Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:三重大学医学部・分子病態学講座教授 10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務後, ボストンへ研究留学し、ハーバード大学医学部・准教授としてラボ運営に奮闘する. 2011年に帰国、大阪府立成人病センター麻酔科・副部長をつとめ、臨床麻酔のできる基礎医学研究者を自称する. 専門は免疫学・細胞接着. また研究者のキャリアやスキルに関する著書に「プロフェッショナル根性・研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」(羊土社)がある. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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