先日のエントリーでとりあげた、竹中平蔵・上田晋也のニッポンの作り方「消費しない20代が日本を滅ぼす!?-若者はサクセスストーリーを経験して積極的になれ!-」など、若者の消費の減少を問題視する記事を最近よく目にします。しかし、この現象はけっして新しいことではなく、社会学者Zygmunt Bauman教授が10年前(1998年)に発表した「
Work, Consumerism and the New Poor(和訳:
新しい貧困、青土社)」で、「労働」から「消費」に価値観の焦点がシフトしていくことをすでに指摘しているようです。実際に本はまだ読んでいませんので、要旨から抜粋しますと:
働くことよりも消費することに価値と意味が与えられる時代。消費すらできない人たちは、社会的な役割をもちえない自由競争の敗北者として、福祉からもコミュニティからもそして 「人間の尊厳」 からも排除される・・・・・・
If "being poor" once derived its meaning from the condition of being unemployed, today it draws its meaning primarily from the plight of a flawed consumer......
わたしは(そして多くのひともおそらく)、この価値観の変化には同意できそうにありません。なぜなら、働くことにおいては、経済効果には直接的には結びつかない(ソフィアバンクの田坂氏がおっしゃるように)「個人の成長という報酬」と、それを通じた「社会への貢献(感)」が大きな意味を持つと信じているからです。労働によってお金を得て、自分や家族に必要なもののために消費することはあくまでも二次的なものであると思います。
お金はあるにこしたことはないと言いたいところですが、億万長者でない一個人が、現在の自分を肯定するための生き方のひとつが、お金や消費は最も重要な物ではないと、やせ我慢しながらでも言い張ることですので....