ボストンで13年働いた研究者が、アカデミック・キャリアパスで切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
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当たり前に聞こえるかもしれませんが、質の高い論文や原稿を書くためのコツは、何回も書き直すことです。通常は初稿があがった時点で同僚や共同研究者に見せてコメントをもらいたいところですが、ここではあえてそれを薦めません。というのは初稿は通常非常に陳腐なアイデアや表現が詰まっていることが多いからです。

なぜでしょうか。実は、論文を書くという行為はプレインストーミングとよく似ています。ブレインストーミングの仕掛けは「アイデアはどこにあるか:Tim Hurson著 Think Better」で書いたように:

ークリエイティブな素晴らしいアイデアは後半1/3に出てくるークリエイティブな素晴らしいアイデアは頭の奥底に眠っている。しかし、普段はほかの簡単に思いつくような「陳腐なアイデア」で頭がいっぱいで、「素晴らしいアイデア」の出てくる余地がない。したがって、すべきことは「素晴らしいアイデア」を積極的に考え出すことではなく、「素晴らしいアイデア」が自然に出てこられるように多くの「陳腐なアイデア」を頭から追い出すことである。ブレインストーミングで出てくる最初の2/3のアイデアを紙(頭の外)に書くのは、後半1/3のアイデアを導き出すスペースを頭の中に作り出すための仕掛けである。



初稿から第10稿程度までは「陳腐なアイデア」を出し尽くすための創造的破壊のプロセスです。その後、第30稿ぐらいになるとやっと面白いアイデアや切り口、的を射た表現が生まれ始め、さらそれらを壊したり、成熟させたりして第50稿ぐらいで鑑賞に耐えうるような作品になるように思います。

第50稿(時には第100稿)までの過程はいわゆる”産みの苦しみ”をとともなう、時として非効率的で、過酷な精神修養ですが、これが『論文力』をつける絶好のトレーニングであると考えます。この過程で常に人とディスカッションすることは必須ですが、クリティカルポイントである”後半1/3”に達するまでは、原稿を人に渡すべきではありません。

補足ですが、第50稿まで人に見せずに書くというのは個人の『論文力』を高めるよいトレーニングですが、チームプレー(効率よく短時間でチームとして論文発表する)という観点からはいえば、初稿をすぐに何人かに読んでもらいフィードバックをもらい、それらを指標に書き直して行くと方法は、ストレスも少なく好んで用いられます。結論から言えば両方できる必要がありますが、なるべく早いうちに”産みの苦しみ”を通過し、自力でアイデアを生む自信をつけておいた方が良いと思います。


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米国では:

30秒毎に106,000個のアルミ缶を消費している
6ヶ月毎に200,000人が喫煙が原因で死んでいる
6時間ごとに100万個のプラスティック製コップを航空機で消費している
1ヶ月に32,000件の豊胸手術が行われている
毎日426,000個の携帯電話が破棄されている



写真家 Chris Jordan はこれらの米国の消費社会を表す数字をビビッドでインスパイヤリングなイメージに込めて表現しています。数字とイメージを融合させ強烈なメッセージを作り出すTED でのプレゼンテーションも合わせてご覧ください。







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セス(Seth Gordin)のブログより:

批判するのはあまりにも容易いが、シニカルなだけでは物事は好転しない。
It's too easy to criticize hope And in the end, cynicism is a lousy strategy.



人の発言を、提案を、アイデアを、作品を批判するのは実は難しいことではありません。しかし、ただひたすら批判するだけでは相手はつぶれてしまいます。相手がつぶれても短期的には自分に被害はないでしょうが、長期的には廻り廻って自分にそのネガティビティーがぶりかかってくると私は考えています。ではポジティブになればよいのでしょうか。

私はポジティブよりもう半歩進んで、少しだけクリエイティブに”批判の後には、オルタナティブ(代わりの提案)を忘れずに”を心がけています。これは決して義務ではないですが、オルタナティブのない批判(=cynicism)は戦略的には良いとは言えません。

オルタナティブがないのなら批判も控える。批判したければ(時として批判すること自体が何となく楽しいのは認めますが)必死で相手のために(そして自分のために)オルタナティブを考えましょう。


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羊土社「実験医学」で執筆しています「プロフェッショナル根性論」関連のコラム「第6回 人生のプライオリティーを決める」がアップロードされました:

1979年のハーバードビジネススクールの学生のうち

・3%は将来の目標を紙に書いていた
・13%は将来の目標を持っていたが,紙には書いていなかった
・84%ははっきりとした目標を持っていなかった

さて10年後の彼ら/彼女らの収入を見てみると、続きはこちらで




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ともにプロジェクトに取り組んでいるMITでPh.D.をとった若手の博士の質問力の凄さ

質問せよ、その人が答えられなければ、別のエキスパートを紹介してもらえ。納得する答えにたどり着くまでこれを繰り返せ


について書きました。

彼女の質問するエネルギーは相変わらず強烈で、この木曜と金曜日は午後3時間以上、合計6時間以上マンツーマンで質問に答えることに費やしました。彼女の質問をガイドに私も問題の本質を考え直すためのよい機会を持てたと感じています。よい質問に答え続けることで自分の考えがまとまり(結晶化)し金曜日にオフィスを出るころには、自分の頭の中がかなりスッキリしました。

なかでも、キーとなった質問は「2年で5億円の研究費を与えられれば(金に糸目をつけなければ)、あなたは自分の研究領域で何を(what)どのように(how)研究するか」でした。ほとんどの研究は限られた予算で成果を出すように日々工夫していますが、逆に予算がないことを、最も重要な課題に取り組まない理由にしがちです。そして、そのうち「すべきこと」と「できること」をすり替えてしまうようになります。ですから、「5億円の研究費」で「すべきこと」をとことん考えることは、自分が本当に重要な問題に取り組んでいるのか、(または、本当に重要な問題の方向に向けて進んでいるのか)を改めて考える上で非常によい思考トレーニングになりました。予算の枠をはずして(しかし、期限の枠ははずさず)研究すべき対象と方法を再検討するトレーニングを定期的に持つことは、通常予算の限られたアカデミアの研究者には必要ではないでしょうか。

あともう一つ彼女の質問のスキルで優れたところは、私が質問に答え続けてそのうち、本質に迫る答え(結晶)にたどりついた時には、本当に喜びと感謝に満ちあふれた表情をすることです。頭の中がスッキリし、相手にも感謝されることこそ回答者の最大の贅沢です。

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AはAuthentic (Be Real) 、BはBrief (Be Simple) ....そして、 J はJapan(Be 20/20)



20/20とは”20枚のスライドを一枚20秒のペース”で6分40秒でまとめたコンサイスでクリスピーなパワーポイントプレゼンテーションのフォーマット. Astrid KleinとMark Dythamが2003年に東京で立ち上げたデザイナー/クリエーターのためのミーティング”Pecha Kucha (ペチャクチャ,)”で使われ始める。デザイナーはよくしゃべりプレゼンテーションが長くなりすぎる傾向があったため、20/20のフォーマットを取り入れたらしい。

ーPecha Kucha: Get to the PowerPoint in 20 Slidesー




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フューチャリスト・パネル:「次の30年のライフサイエンスにおける問題とは」と題したシンポジウムに参加してきました。フューチャリストとしてパネルに選ばれたのは:
   フィル・シャープ(MIT/ノーベル賞受賞者)
   ジム・コリンズ(ボストン大学)
   ドリュー・エンディ(MIT)
   アラン・クレン(テンポバイオ)

各フューチャリストの話したことで印象に残ったことは:
ーフィル・シャープー
次の30年はナノテクノロジーがライフサイエンスを牽引するプラットフォームになるだろう。しかし30年前に現在のライフサイエンスの姿を全く予想できなかったのと同じように、今から30年後のライフサイエンスの姿を予想することは出来ないだろう。

ージム・コリンズー
次の30年はバイオロジストとケミストの時代になる。今から30年後にはライフサイエンスの複雑性の、そのわずかしか我々が知り得ないことを我々は知るであろう。

ードリュー・エンディー
次の30年もバイオテクノロジーがライフサイエンスの中心であろう。バイオテクノロジーのオープンソース化が次の30年の課題。その取り組みのひとつが彼のBioBricks Foundation.

ーアラン・クレンー
ライフサイエンスのヘルスケアー(医療)への応用はゆっくりであるが次の30年間に確実に進むので、楽観的であると同時に、忍耐力が要求される。

以上、フューチャリスト・パネルの意見をまとめることは簡単ではありませんが、ライフサイエンスの次の30年とは:
・バイオロジー/エンジニアリング/ケミストリーの融合分野でイノベーションが起こる
・しかし、そのイノベーションが実際に役に立つようにパッケージされるまでには途方もない時間(~20年)がかかるのでオプティミスチックであると同時に、その間サーバイブするために必要な資金を注入する法的なサポートが必要
・無味な競争によるテクノロジーの囲い込みを防ぐためにバイオテクノロジーのオープンソース化を真剣に検討する必要あり。

などが参考にすべきフューチャリストからのメッセージです。




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プロフィール

Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:三重大学医学部・分子病態学講座教授 10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務後, ボストンへ研究留学し、ハーバード大学医学部・准教授としてラボ運営に奮闘する. 2011年に帰国、大阪府立成人病センター麻酔科・副部長をつとめ、臨床麻酔のできる基礎医学研究者を自称する. 専門は免疫学・細胞接着. また研究者のキャリアやスキルに関する著書に「プロフェッショナル根性・研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」(羊土社)がある. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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