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ボストンで13年働いた研究者が、アカデミック・キャリアパスで切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
アルゴアの元スピーチライターで作家のダニエル・ピンクの最新刊は漫画風のビジネス書「The Adventures of Johnny Bunko: The Last Career Guide You'll Ever Need」です。漫画風で短時間で読めるのですが、この本を5分でわかるようにしたスライドショーを見つけました。
ダニエル・ピンクの提唱する6つのキャリア・アドバイスは:

1)There is no plan.(キャリア・パスはふりかえって初めて見えるーSteve JobsのConnecting dotsー)

2)Think strengths, not weaknesses.(弱点の克服ではなく、強みに投資せよ)

3)It's not about you.(他人をハッピーにして、自分もハッピーになる)

4)Persistence trumps talent.(才能は継続してはじめていかされる)

5)Make excellent mistakes.(恐れるべくは失敗ではなく、失敗することを恐れること)

6)Leave an imprint.(仕事で意味あることを成す)


米国では「島耕作」のような漫画風のビジネス書はほとんどないので、この本は注目されています



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大学/大学院の使命の一つがイノベーティブ(innovative)な人材を育て、社会に送り出すことであると私は考えています。(強調したいのはイノベーティブは必ずしも即戦力を意味しません。むしろ即戦力でない場合が多いのです。)ではイノベーションをどう評価/測定するべきでしょうか(もし、評価する必要があるとすれば....)。

ニューヨークタイムズに連載のブログfreakonomicsの”How Can We Measure Innovation? ”でのセスのコメントを私なりに解釈すると:

イノベーションを数値化しようとする試み自体が間違っている。数値化でできるような”イベント”が認識されるのは、イノベーションが起こった遥かに後である。また、その定義上イノベーションにはひとつとして同じものがない。「これはイノベーションに違いない、なぜなら同じものを過去に見たことがあるので」というステートメントは矛盾である。イノベーションとは”プロセス”であり、イノベーションの真の価値は、「イノベーションは長期的には必ず良き結果をもたらす」という信念自体にある。つまり、イノベーションは”プロセス”であり、目の前の1つの試みがたとえ失敗であっても、それが次の成功につながると信じることにある。

イノベーションの本質がプロセスを重視することである以上、大学/大学院の使命とは「即戦力」となる人材輩出を要求する社会からの近視的な圧力(と俵糧攻め)に耐え、ひたすらイノベーションというプロセスを信じることにあると思います。

以上週末の雑感でした。



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自己啓発と大人の英語勉強に使えます。



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「好きなことを仕事にすべきか」という今までに何度も取り上げられたキャリアにおける永遠の問いに、中村うさぎさんはノーと言います:


(ひとは)好きだったことを、突然嫌いになることは(しばしば)あるが、得意なことが、突然苦手になることはめったにない。ー執筆前夜



好きなことを仕事にしたばかりに、嫌いになってしまうことが往々にしてあるでしょう。ですから、むしろ得意なことをまず仕事にして、周りから認められてその仕事を好きになるというポジティブフィードバックを利用するのがStrengths-based approachの考え方。

それでは、その仕事が得意なんだけどなかなか好きになれない時にはどうするか。仕事を変える前にすべき対処法はいくつもあると思いますが、私の案を2つほど:
1)得意であること(高いパフォーマンス)を褒めてくれる人を探す(見つかるまで探す)。そして褒めてもらう。
2)自分がどれだけ達成したかを紙(またはブログなど)に書いて読み返して、自分が成し遂げたことの棚卸しをして、自分で自分をほめる。

つまり、好きになる対象を「仕事」から「仕事をしている自分」に移してみるのがいいかもしれません。


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Glumbert 「Lost Generation」より:

この文章上から普通に読めば「絶望」を表しますが、下から逆に読めば「希望」になります。

最後の一節にあるように:

「絶望」へのプロセスは引き戻そうとしないかぎり現実のものとなる。
And all of this will come true unless we choose to reverse it.



「下から逆に読むこと」=「we choose to reverse it」を実際に(規模は小さいながら)体験できる仕掛けになっています。



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サイエンス4月18日号のエディトリアル「New Career Paths for Scientists」より:

”ちゃんとしたトレーニングを受けた科学者が政策策定など幅広い分野で活躍できるようにすることは、双方にとって価値のあることだ”
... I stressed the benefits to both science and society of transitioning well-trained scientists into a broad array of endeavors, in research and in other roles. Here I suggest two strategies that could help achieve this goal.
         ーBruce Alberts, Editor-in-Chief of Science.ー



サイエンスの出版者でもあるAAAS(American Association for the Advancement of Science) では、このミッションのもとthe Science and Technology Policy Fellowshipsを30年以上にわって続けています。このフェローシップは、学生から大学教授まで(25~72歳におよぶ)の科学者を毎年100人以上、数ヶ月から1年程度ワシントンのCapitol Hill(霞ヶ関)の政府機関でインターンシップすることをサポートしています。

研修する分野は、NIH、FDAからエネルギー・外務・国防総省やFBIまで幅広く、専門分野の知識と知恵をもったPh.D.ホルダーが、米国の政策策定現場で広く活躍できる可能性を示しいます。

After their stints in Washington, D.C., scientists and engineers head in one of three directions: They go back to academia, they stay in the policy world, or they decide to do something completely different.ーCynthia Robinson, Dir. Science and Technology Policy Fellowships at AAAS



研究終了後はアカデミアに戻るもの、政策の現場に残るもの、全く別のキャリアを選ぶものなどさまざまなようです。

ちゃんとしたサイエンスのトレーニングを受けた科学者(well-trained scientists)はアカデミアだけでなく政治の現場や、ビジネスの世界でも幅広い需要があるはずです。しかし、その需要に見合うようなサイエンス以外のトレーニングを現在の大学・大学院で行うのは現実的ではありません。もっとストレートに言えば大学・大学院で即戦力の人材をつくることを要求するのは現実的でないと思います。

むしろ、AAASのTechnology Policy Fellowshipsのように大学・大学院外でのトレーニングインターンシップをサポートする機会をつくることに予算を使い、遠回りでもアカデミアから政治の現場へのコンスタントな人材のフローとコネクションをつくることが"”理系と社会のWin-Winの関係”に向けて必要なのではないでしょうか。

2005-06 AAAS Science & Technology Policy Fellows
aaas1





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フランスの哲学者モンテーニュ曰く(The Happiness Projectより

教育により、ひとは本来もっている”自分”を強化することはできるが、まったく新しい”自分”やより良い”自分”になるわけではない。
"Natural inclinations are assisted and reinforced by education, but they are hardly ever altered or overcome.” -- Montaigne



これは弱点の克服よりも、強みのさらなる強化に主眼を置くキャリア戦略”Strengths-based approach”の根底にある考えかたと同じです。

ただ、やっかいなのが、本来の自分(”Natural inclinations”)は実際に引き出されるまで、自分もはなかなかわからないということです。したがって、Natural inclinationsが完全に表面化するまえに、誰かによって見いだされることがあれば、それは非常に幸運なことなのです。(自分のNatural inclinationsを指摘してくれる親切/お節介な人との出会いは大切!)

ではいかに学ぶか/いかに教えるかですが、多くの生徒を相手にする学校教育では生徒ひとり・ひとりのNatural inclinationsを見いだすことは非常に困難でしょうが、究極のマンツーマン教育である自己啓発の過程では、「XXが自分のNatural inclinationsであろう」という仮説に基づいて、常にNatural inclinationsを強化する方向にもっていくのがより効果的な学び方でしょう。

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ニューヨークタイムズの記事「In a New Generation of College Students, Many Opt for the Life Examined」によると、米国の大学では哲学を専攻する学生が最近増えているそうです。どうしてかというと、その一つの理由が:

...a new generation of college students who are drawing modern-day lessons from the age-old discipline as they try to make sense of their world, from the morality of the war in Iraq to the latest political scandal. The economic downturn has done little, if anything, to dampen this enthusiasm among students, who say that what they learn in class can translate into practical skills and careers....



つまり、世の中が大きく揺れるなか生き方の指針となるものが欲しいという”哲学的’な理由プラス、哲学で学んだことが就職/転職に役立つだろうという”現実的”な意図もあるようです。

ところで哲学とは何でしょう? 中島義道の「哲学の教科書」によると:

非常に単純化していいますと、哲学とはあくまでも自分固有の人生に対する実感に忠実に、しかもあたかもそこに普遍性が成り立ちうるかのように、精確な言語によるコニュニケーションを求め続ける営み、と言えましょう。



おそらく、この哲学の定義を拡大解釈すれば、学生が求めているもの半分は、「問題解決能力」や「コニュニケーション能力」を磨くトレーニングのツールとしての”哲学”ではないでしょうか。このような形で”哲学”が消費されることでポピュラリティーがあがるという点では哲学にとってはプラスでしょう。それにくわえて、コアな学問としての哲学が今後どう発展していくか興味のあるところです。

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ニューヨークタイムズのMaira Kalmanのイラストレーションコラム”The Principles of Uncertainty”の2007年4月の最終回コラム”finale”より:

NYT_K_2


4/12/2008 追記:Maira KalmanがTEDで自分の生き方を美イラストレーションとともに語ったトークがあったのを思い出したので紹介しておきます。彼女の描く犬のイラストは最高です。










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アル・ゴアがTEDで披露した地球温暖化に関するのbrand-newスライドショー:
brand-newメッセージは:

いかにオプティミズムを貫くか(How dare we be optimistic?)



「オプティミズムを貫くとは単なるマインドセットの問題ではなく、積極的に未来に目を向け、問題を直視し、行動する"Active Citizen"であれ」というのがアル・ゴア流

レイ・オーディエンスに巧妙にフレイミングされた素晴らしいプレゼンテーションです。

プレゼンテーションの勉強としても一見の価値ありです。





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Chad Orzel教授(Department of Physics and Astronomy, Union College, NY)のブログUncertain Principlesより:

サイエンスについて知っておくべき3つの”定理”
(What Should Everyone Know About Science?)

1)サイエンスとはプロセスであり、単なる実験結果の集積ではない(Science is a Process, Not a Collection of Facts)ーサイエンスの本質とは”世界”がどうゆう仕組みで動いているかをシステマティックに解明するアプローチである(The essence of science, broadly defined, is that it is a systematic approach to figuring out how the world works)ー

2)サイエンスはひとをひとたらしめる営みである(Science is an essential human activity)ー芸術がひとをひとたらしめるのと同じく、サイエンスもひとをひとたらしめるー

3)サイエンスはすべてのひとのためにある(Anyone can do science)



3つとも政治的に正しいポジティブなステートメント(梅田さんふうに”定理”としました)です。

サイエンティストは一般にはスペシャリスト集団と見られがちですが(事実そうなのですが)、この”定理”のようにサイエンスを思い切ってジェネラリゼーションしてしまうアプローチも、理科教育とかサイエンスリテラーシーなどの論点で”文系的”オーディエンスに語りかける切り口としては有効ではないでしょうか....


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ここではじめて知ったのですが、ダヴィンチの素顔は実はよく分かっていなかったらしいのです。これはイラストレーター Siegfried Woldhekがイメージアナリシスと1000人以上の人の顔を描くなかで培ってきた”知恵”を使って、若き日のダヴィンチの素顔を探る少しアカデミックな4分間の小旅行です。







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プロフィール

Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:三重大学医学部・分子病態学講座教授 10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務後, ボストンへ研究留学し、ハーバード大学医学部・准教授としてラボ運営に奮闘する. 2011年に帰国、大阪府立成人病センター麻酔科・副部長をつとめ、臨床麻酔のできる基礎医学研究者を自称する. 専門は免疫学・細胞接着. また研究者のキャリアやスキルに関する著書に「プロフェッショナル根性・研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」(羊土社)がある. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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