アカデミック・キャリアパスで研究者が切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
小飼 弾氏の「速水健朗著 自分探しが止まらない」への書評より:

「自分探しが止まらない」は、著者を含めた多くの若者が「ハマる」、「自分探し」という「病」の症例集。ただし処方箋は書いていない.....

それでは、なぜ著者も含め自分探しが止まらない人々はそれを止められないのか。
自分を決めるのが、怖いからだ。
そして社会も、自分を決めることを若者たちに強いなくなったからだ。


「社会が自分を決めることを若者たちに強いなくなった」のは、(社会学者風に言えば)意識的にせよ無意識にせよ「昔のようにいったん自分を決めればそれで最後まで行けた」時代が終わりつつあることを大人たちが感じているのが、一つの理由ではないでしょうか。

職業人のキャリアはますます広い意味でのプロジェクト式になっています。短いときには数ヶ月、長くても数年の単位で成果を出し、その成果に基づいてさらなる次のプロジェクトに移っていきます。新しいプロジェクトの自分は、前のプロジェクトの自分ではありません。もちろんプロジェクトを通じて”自分”は常に成長過程にあるので、新しい”自分は”必ずしも全く別の”自分”である必要はありませんが、全く同じ”自分”ではおそらくプロジェクトを成功に導けないでしょう (ここでは”プロジェクト”を”ルーチン”に対峙するものとして意味付けています)。

今のプロジェクトが終わるまでには、次の自分の少なくともヒントぐらいは見つけだしていないと、次のプロジェクトをタイムラグなく立ち上げることはできません。したがってこれからは”自分探しの旅”はMUSTなどではないでしょうか(もちろん私の意味する”自分探し”は速水氏の”自分探し”とは量的に/程度が違うかもしれませんが、おそらく質的には同種のものであると思います)。

”自分探しの旅”の最中は、何者でのない自分を皆苦しく、おさまりの悪いものと感じるはずです。しかし、これはべつに悪い事ではありません。”自分探し”は今の自分を完全に否定しないかぎりは”成長”とか”Re-invent”とかおさまりの良い言葉に置き換えてもよいでしょう。”生みの苦しみ”と言うのも悪くないでしょう。

”もう自分を探さなくてよい”と思い込むほうが問題となる時代がやがてやってくるのでは....


テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

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Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務. その後, Harvard 大学医学部への研究留学を期に, 非常に迷った末に医局を離れBoston で独立することに挑戦し, 現在ラボ運営に奮闘する.「実験医学」 に”プロフェッショナル根性論”を執筆. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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