現代はバイオレンスの時代なのでしょうか?ひとはより暴力的になってきているのでしょうか?20世紀(+21世紀)を”恐怖の世紀”と形容した多くの文献やドキュメンタリー、毎日のようにCNNから伝えられるテロリズムや内紛による死亡者数の情報を聞くにつけ、この問い(ひとはより暴力的になってきているのか?)に対する答えはYESであると感じていました。今回のTED Talkでは、ハーバード大学の心理学教授で認知科学者でもあるスティーブン・ピンカー(Steven Pinker)氏がこの問いに挑みました。ピンカー氏は”A brief history of violence”と題したトークで、人類の歴史を千年、百年、十年というスケールでみたときに、ひとはより暴力的になってきているのかという問に”客観的”なアプローチで取り組んだ意欲的な内容です。
さらにもう一歩進んで、ピンカー氏の結論が正しいとすれば、どうして人間は非暴力的(平和的)になってきているのでしょうか。彼は一つの可能性としてインターネットなどのテクノジーの進歩の影響をあげています。かっては他者から何かを奪うことにより、自分が利益を得るという”Zero Sum 社会”でしたが、現在はウィキノミクス(Wikinomics)で指摘されているようなマス・コラボレーションが可能になり、他者と争うよりも協調することで両者とも利益を得ることができるWIn-WInの”Non-Zero Sum 社会”に移行しているためであると考えられます。テクノロジーは世界を平和にするということでしょうか。