アカデミック・キャリアパスで研究者が切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
Scientific Publicationにおいては、動画による情報は今までは補助的な側面が大きく、科学論文がオンラインで発表されても、動画によるデータはSupplementalやSupporting Materialsとしてリンクとして表示され、特別に興味ある読者だけがダウンロードして観るような形式になっていました。最近になってWeb 2.0やYouTubeの影響もあってか、動画を主体にしたオープンアクセスScientific Publicationが現れ始めました。

Journal of Visualized Experiments
動画を主体にしたScientific Publicationの一つ目がjove (Journal of Visualized Experiments) です。joveのミッション・ステートメントのなかでも注目すべきことは:

動画によるビジュアルな情報で実験のプロセスを伝えることにより
1) 実験方法が不透明であったり、実験結果が (他の研究室では) 再現できない
2) 実験手技の習得に (不当に) 時間がかかる
という実験科学が抱える2つの大きな問題の解決に貢献する

Visualization.... contributing to the solution of two of the most challenging problems...:
(1) low transparency and reproducibility of biological experiments;
(2) time-consuming learning of experimental techniques.


とあります。したがってjoveは動画版実験プロトコールのアーカイブ的役割を果たしており、マウスの小腸移植手術手技臍帯からの血管内皮細胞(HUVEC)分離方法神経細胞のマイクロデバイスでの培養法蚊へのdsRNA溶液注射法など、文章を読んだり、写真やイラストを見ているだけでは完全に理解できない情報が、動画により提供されています。

joveは誰でも動画を投稿できますが、投稿動画はハーバードなどの科学者よりなるエディトリアルボードメンバーによりエディトリアル・レビュー(ピアー・レビューではない)されるようです(以下のように[適切であれば]従来の紙の論文中で引用することもできます)。

(例)Carlson JR and Shiraiwa T. "Proboscis extension response (PER) assay in Drosophila" (04/29/2007) Journal of Visualized Experiments, 3, http://www.jove.com/Details.htm?ID=193&VID=155


joveはコンテンツの質も高く動画版プロトコール集としての価値は非常に高いと思います。

各投稿作品にはYouTubeのようにコメント欄があり、双方向性のコミュニケーションができる仕組みはありますが、この部分は今はまだ余り活用されていないようです。

SciVee
もう一つがつい最近スタートしたSciVeeです。SciVeeはPLoS (Public Library of Science), NSF (National Science Foundation), SDSC (San Diego Supercomputer Center) らと協賛していますが、中心の仕掛けはPubcastと呼ばれる「過去にPLoSなどのオープンアクセス・ジャーナルに発表・出版された研究を著者(科学者)が自ら出演して画像でプレゼンテーションする」ことにあるようです。SciVeeはミッション・ステートメントにあるように

科学者によるマルチメディアを使ったサイエンス・コミュニケーションのためのサイト(SciVee is about the free and widespread dissemination and comprehension of science. SciVee allows scientists to communicate their work as a multimedia presentation incorporated with the content of their published article.)


を目指しているようです。Pubcastはオープンアクセス・ジャーナルの論文と内容的・物理的にリンクすることが売りですが、コンテンツは今のところまだまだであり、今後の発展が望まれます。

SciVeeは科学者(マルチメディアの素人)がつくったPubcast以外にも、NPOや商業メディアがプロフェッショナルに作成した動画も掲載しています(例:SDSCによる地震のシュミレーション研究の紹介カナダメディアによるサイエンティストを主人公にしたテレビドラマReGenesisの紹介)。

問題はプロの作成した動画との比較では、一般の科学者の作成した動画 (SciVee Pubcast) はあまりにもプリミティブ (and/or 専門的すぎて)であり、一般市民に向けたサイエンス・コミュニケーションとしては現時点では機能しないと思われます。マルティメディアによるサイエンス・コミュニケーションこそメディカル・イラストレーターのようなプロフェッショナルとの共同作業が必要でしょう。




テーマ:研究者の生活 - ジャンル:学問・文化・芸術

// HOME // 
Powered By FC2ブログ. copyright © 2005 ハーバード大学医学部留学・独立日記 all rights reserved.
プロフィール

Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務. その後, Harvard 大学医学部への研究留学を期に, 非常に迷った末に医局を離れBoston で独立することに挑戦し, 現在ラボ運営に奮闘する.「実験医学」 に”プロフェッショナル根性論”を執筆中.

最近の記事
はてなブックマーク
最近のコメント
最近のトラックバック
カテゴリー
月別アーカイブ
人気blogランキングへ
FC2ブログランキング
カレンダー

08 | 2007/09 | 10
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -

ブロとも申請フォーム
ブログ内検索

RSSフィード
リンク
By FC2ブログ