アカデミック・キャリアパスで研究者が切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
サバティカル(sabbatical)

A sabbatical is a period away from your normal routine - a time to immerse yourself in a different environment, a chance to see your life from a different perspective.
thesabbaticalcoach.com



梅田望夫さんの「人と違うことをする」でサバティカルについて取り上げられていたので、私の身近で最近数年の間にサバティカルをとった2人のプロフェッサーAとBの例を紹介する。

プロフェッサーAとB2人ともボストンの有名大学のテニア付きのフル・プロフェッサー. PIとして20年以上非常にプロダクティブな研究室を率いてきた。その間自分はベンチから離れ、プラニング、グラント・論文書き、研究員の教育と指導に情熱を注いできた。新しい分野への挑戦は他のグループとのコラボレーションまたは新しい技術を持った研究員を新たに雇うことにより取り入れてきた。そして、2人ともここ数年のあいだに1年間のサバティカルをとった。

プロフェッサーAは新しい技術を自分で身に付けるために、西海岸の友人の研究室に研究員として参加し、大学院生やポスドクとベンチをならべ1年間実験にあけくれた。ボストンに戻ってきてからも自分で実験を続け、時には土曜の早朝にやってきて深夜まで実験しているようだ。

プロフェッサーBはサバティカルを自分の研究室でとった(?)。つまり、一年間教育とアドミニストレーションのDutyから完全に解放され、その時間を新しい研究プロジェクトのための思索の時間にあてた。

また別に本人から聞いた例であるが、サバティカルをバイオテク企業で過ごしビジネスの勉強をしたプロフェッサーCもいる。

以前のエントリー「プロフェショナル 仕事の流儀:コンピューター研究者 石井 裕」でMITメディアラボの前所長は、ブレークスルーのためには「incremental」(=着実に一歩一歩進む)ことだけではだめで、過去の業績を捨てて新しいことを始める覚悟が重要であると語った。サバティカルはこの「incrementality」のサイクルから自由になる効果的な仕掛けであろう。

それでは、プロフェッサーをサバティカルへと導くドライビング・フォースは何であろうか。知への飽くなき探求心や限りない向上心のような”崇高”なものかもしれない。しかし私はそこに”Mid-life Crisis"のような魂の叫びが果たす役割が大きいのではないかと感じる。

(補足)米国の大学では定期的にサバティカルを取る権利を認めているが、実際的に問題になるのはグラントと研究室の維持の問題であろう。

(追記8/17)
関連ブログ:
梅田望夫氏―My Life Between Silicon Valley and Japan―より「サバティカル・コーチ」
<http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20070816/p4>


テーマ:研究者の生活 - ジャンル:学問・文化・芸術

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Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務. その後, Harvard 大学医学部への研究留学を期に, 非常に迷った末に医局を離れBoston で独立することに挑戦し, 現在ラボ運営に奮闘する.「実験医学」 に”プロフェッショナル根性論”を執筆. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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