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ボストンで13年働いた研究者が、アカデミック・キャリアパスで切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
社会起業家Jeffrey Skollが「Humanity 2.0」を語ったTED (Technology, Entertainment, Design) Talkはとてもよかったのでここで紹介します。Jeffrey SkollはeBayの初代社長でしたが、そこで得たビジネススキル・人脈・資金をもとに社会起業家に転身した人物です。

社会起業家としてのJeffrey Skollの提唱するHumanity 2.0とはOpportunity GapとHope Gapという2つの社会のギャップを埋めていくプロセスです。Opportunity Gapを埋めるとはすべての人に機会が平等に与えられるように、機会の不平等を是正しいくプロセスであり、「Everyone can make a difference」のためのインフラや物理的なサポートと考えられ、当然その重要性が広く認識されています。しかし、彼は特にHope Gapを埋めることを重要視しています。Hope Gapとは「希望格差」とも訳されていますが「Everyone can make a difference」を信じることすらできなくなるという状態を指すのでしょう。

Opportunity Gapを埋めるためにはunder-appreciateされた社会問題に資金を「投資(Invest)」したり、ミーティングやフォーラムの人々の「連携(Connect)」が有効なアプローチでありますが、Hope Gapを埋めるためには「人々のこころに響く物語を提供する(Celebrate a story)」が必要であるというのがJeffrey Skollの持論です(ストーリーテリングの重要性)。そのために、かれはParticipant Productionsという映画スタジオを立ち上げます。(スタジオ立ち上げの背景には、彼が「ガンジー」や「シンドラーのリスト」に感銘を受けたことがあるようです)

Participant Productionsは、そのモットー「Movies have the power to inspire. You have the power to act.」にあるとおり、映画を通じてPublic Awarenessを高め、社会に変革をおこし、その結果としてHumanity 2.0を達成すること(特に、Hope Gapを埋める)を使命としています。

Participant ProductionsはAn Inconvenient Truth(アル・ゴアの不都合な真実)、Fast Food Nation、Good Night, and Good Luck(グッドナイト&グッドラック)などの注目された作品を送り出しています。映画の社会に対するインパクトは「不都合な真実」によく表されていると思いますが、Jeffrey Skollは一般にはあまり注目されなかった「North Country(邦題:スタンドアップ)」に言及ししています。「North Country」シャーリーズ・セロン(Charlize Theron)主演の女性に対する暴力をテーマにした映画であり、興業的な成功作品ではありませんでしたが、この映画の上映期間中に議会でthe Violence Against Women Act法案の更新の審議があり、法案更新成功に「North Country」が形成した世論が強い後押しとなったことをJeffrey Skollは強調しています。

Jeffrey Skollは現在40歳余りの若さでありながら、eBayでの成功のあと社会起業家として第二の人生をおくっているわけですが、この人生の急ピッチな展開の背景には、彼が14歳の時に父親がガンを宣告され「死ぬこと自身はそれほど怖くないが、人生でやり残したことがあることがつらい」といった言葉から「人生をいつ終わるかもしれない有限なもの」として受け入れる達観したところがあるようです。

Jeffrey SkollのTEDでの軽快なトークを楽しんで下さい。




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テーマ:研究者の生活 - ジャンル:学問・文化・芸術

フランスの哲学者アランは(「幸福論」などで)目先の出来事にあくせくする警視総監を、最も幸福な人間だと皮肉っている........アランによれば、行動は思考を弱めるのである。警視総監は最も幸せな人間であるが、考える人間ではない。自分では考えていると思っていても、単に外界の刺激に対して反応しているにすぎない。
-矢部正秋著「プロ弁護士の思考術」より-


「行動は思考を弱める」はExperimental Biologist(私)が時として陥りやすい罠ではないでしょうか。Experimental Biologistは実験データの積み重ねの向こうに(論文にできる)真実があると信じてひたすら実験にはげみます。多くのバイオメディシンのプロジェクトは仮説を実験的に証明することに主眼をおいているので、腕力が必要とされるのは事実です。また、ある程度腕力がないとExperimental Biologistはつとまらないでしょう。しかし、うまく行かないときには、行動が思考を弱めている可能性を考える事は価値があるのはないでしょうか。これは、いったん研究室を出てリフレッシュすること奨めているのではありません。いったん実験(行動)を止めて、(一時的に)その時間とエネルギーをすべて思索に投入する、そして汗をかくくらい考え抜くということです。

頭が熱くなり、汗をかくまで考え抜く」は現在も私の目標です。

関連エントリー:
研究は汗の結晶だ
<http://harvardmedblog.blog90.fc2.com/blog-entry-47.html>

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climate自分の専門外の地球温暖化についても「子供に聞かれた時には答えられるぐらいの知識は身に付けていたい」と考えている。そこで、最新の一次情報にアクセスするためのポータルとして使い始めたのが科学雑誌Natuteで名高いNature Publishing Groupの提供するオンラインリソースNature Repeort Climate Changeである。プロ編集スタッフによる地球温暖化に関する最新の科学論文の解説とリンクや、情報提供やディスカッションの場としてのブログ, またWeb 2.0式オンライン抄読会としてユーザーが論文を紹介し、みんなでコメント・投票する仕掛けもある。



Blackleたとえば、ブログ「Google turns to the dark side」では(すでに、ご存じの方も多いと思うが)、モニターの消費電力を抑えるためにバックグラウンドを黒にしたグーグルBlackleのことが取り上げられている。

Blackleは750メガワット時/年の節電になるとのふれこみであったが、the Wall Street Journalの調査では、LCDスクリーンでは(色は消費電力にほとんど影響しないので)Blackleによる節電効果は誤差範囲内であり(つまり、実質ほとんど期待できない)、ブラウン管タイプのモニターでのみ5~20%の節電効果がみられるらしい。





また、最新の科学論文としては、南太洋(the Southern Ocean)のCO2吸収能が予想を大きく下まわるという2007年6月にScience誌に掲載された論文が解説されている。

Southern Ocean saturated
Around half of all human-produced CO2 is removed from the atmosphere by the oceans, slowing global warming. Now, a study shows that the Southern Ocean, one of the largest carbon sinks, is absorbing less CO2 than expected relative to atmospheric levels of the greenhouse gas......



参考に同様のオンラインリソースとして、鳥インフルエンザに関する「Nature Report Avian Flu」、幹細胞に関する「Nature Report Stem Cells」がある。

PS: 関連エントリー
分野は違えど科学者が「地球温暖化」をよく知らないとはいえない
<http://harvardmedblog.blog90.fc2.com/blog-entry-90.html>




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サバティカル(sabbatical)

A sabbatical is a period away from your normal routine - a time to immerse yourself in a different environment, a chance to see your life from a different perspective.
thesabbaticalcoach.com



梅田望夫さんの「人と違うことをする」でサバティカルについて取り上げられていたので、私の身近で最近数年の間にサバティカルをとった2人のプロフェッサーAとBの例を紹介する。

プロフェッサーAとB2人ともボストンの有名大学のテニア付きのフル・プロフェッサー. PIとして20年以上非常にプロダクティブな研究室を率いてきた。その間自分はベンチから離れ、プラニング、グラント・論文書き、研究員の教育と指導に情熱を注いできた。新しい分野への挑戦は他のグループとのコラボレーションまたは新しい技術を持った研究員を新たに雇うことにより取り入れてきた。そして、2人ともここ数年のあいだに1年間のサバティカルをとった。

プロフェッサーAは新しい技術を自分で身に付けるために、西海岸の友人の研究室に研究員として参加し、大学院生やポスドクとベンチをならべ1年間実験にあけくれた。ボストンに戻ってきてからも自分で実験を続け、時には土曜の早朝にやってきて深夜まで実験しているようだ。

プロフェッサーBはサバティカルを自分の研究室でとった(?)。つまり、一年間教育とアドミニストレーションのDutyから完全に解放され、その時間を新しい研究プロジェクトのための思索の時間にあてた。

また別に本人から聞いた例であるが、サバティカルをバイオテク企業で過ごしビジネスの勉強をしたプロフェッサーCもいる。

以前のエントリー「プロフェショナル 仕事の流儀:コンピューター研究者 石井 裕」でMITメディアラボの前所長は、ブレークスルーのためには「incremental」(=着実に一歩一歩進む)ことだけではだめで、過去の業績を捨てて新しいことを始める覚悟が重要であると語った。サバティカルはこの「incrementality」のサイクルから自由になる効果的な仕掛けであろう。

それでは、プロフェッサーをサバティカルへと導くドライビング・フォースは何であろうか。知への飽くなき探求心や限りない向上心のような”崇高”なものかもしれない。しかし私はそこに”Mid-life Crisis"のような魂の叫びが果たす役割が大きいのではないかと感じる。

(補足)米国の大学では定期的にサバティカルを取る権利を認めているが、実際的に問題になるのはグラントと研究室の維持の問題であろう。

(追記8/17)
関連ブログ:
梅田望夫氏―My Life Between Silicon Valley and Japan―より「サバティカル・コーチ」
<http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20070816/p4>


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5号館のつぶやきさんでの「ポスドク問題」に関する熱い議論を拝見させていただいいた。そして大隅さんが参加される「学術会議のシンポジウムでポスドクが講演するというのはどうでしょう」に関して少しでもお役に立てればと思い意見を付け加えさせていただく。

まず、6/10のエントリーで取り上げたNature Medicine2007年6月号のエディトリアルで

Only a small minority of today's PhD graduates can realistically expect long-term careers in university research



と述べられているように、日本の「労働問題としてのポスドク問題」は、理系のキャリアパス全体にそして世界的に広がりつつある(グローバリゼーションに関連した)構造的問題の一部であるととらえるべきである。この問題が構造的問題であることは山田昌弘氏の「希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く」のなかの記述とも一致する。したがってこれを個人の自己責任論として取り扱うことは適切ではない。「ポスドク問題:5号館のつぶやきでの議論(7/29追記)」での提言

米国に比べ企業の中途採用の難しい日本では、理系大学のPh.D./Postdocに対する就職支援機能を高めることは非常に重要である。個々の研究室レベルではなく大学のカリキュラムとして体系的に行うできであると思う。個々の研究室では「研究の方法」を全体のカリキュラムでは「仕事の方法」をトレーニングし、「事務」で就職支援をする。



は、大学が現実的にできるおそらく最大限のことであり、連帯を強め、また雇用のミスマッチを防ぐという点では十分に意義があるが、構造的な問題にはやはり政府主導で対応するしかないと思う。米国のまねをすることには賛否両論あると思うが、先日のエントリーで書いたNational Academy of Science(NAS)の提言「Rising Above The Gathering Storm」が法案America COMPETESとなり可決され430億ドルの予算がついたこの事例から学ばない手はないと思う。

NASは米国のScience&Technologyの競争力を弱めつつある構造的問題を早くから認識しており、これを解決するには簡単に言えば2つのことをするしかないと言い切っている。その2つとは:

科学者のために良い職を創出する
Creating high-quality jobs for Americans

エネルギー問題を解決する
Clean, affordable, and reliable energy




そのために、4つの分野(初等中等教育、研究、高等教育、経済)で計20の重要な提言を行っている(詳細はこちらを)。そしてこれらに注ぐ430億ドルはすべて「科学者に新しい職を与え」「エネルギー問題を解決」し、中長期的に米国がグローバルな覇権を握るためのものである。

「グローバルな覇権」→「エネルギー問題 or X」→「より多くの優れた科学者のポジション」

Xは人類の健康や食料問題や地殻変動でも文脈は通るであろう。節操がないかもしれないが、「いかにメッセージを伝えるか」で書いたように「ポスドクの雇用問題」だけを全面に出していては「ニート」問題の戦略的失敗のように、自己責任問題として片付けられてしまう。「ポスドク」に「”ニート”」のようなstigmaを負わせないためにも、戦略的に上の3段論法を提言したい。

補足:米国のNASの3段論法が成功した背景には数年に及ぶ綿密で勢力的なロビー活動があったことを忘れてはならない。

追記(8/20)
科学政策ニュースクリップで榎木さんがブロガーの意見を「政府対応重視」と「自己責任重視」にうまく分類してまとめておられます。
[ポスドク問題]自己責任と政策のハザマに(科学政策ニュースクリップ)




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優秀な理科・数学教師の育成を最優先課題としたサイエンス・エデュケーション促進のための法案が米国議会で可決され、ブッシュ大統領が8/10の午前にサインをした。この法案America COMPETES (Creating Opportunities to Meaningfully Promote Excellence in Technology, Education, and Science) は3年にわたり430億ドルを科学研究と研究者の養成・トレーニングに関連したプログラムに使用することを可能にする。

この法案America COMPETES のもとになったものが、6月4日のエントリー「いかにして優秀な理科・数学教師を育てるか: 米国でのとり組み」で取り上げたNational Academy of Scienceが2005年に発表した564ページにわたる詳細な提言「Rising Above The Gathering Storm」である。「Rising Above The Gathering Storm」は

米国がScience&Technologyの分野で世界を凌駕し、21世紀でも引き続きグローバルな覇権を握るためのトップ10の戦略とは何か?


に答えた形をとり、米国のコンペティティブネス維持のために、理科・数学教育リフォーム(優秀な理科・数学教師の育成)をその最重要課題に位置づける。これは、一人の優秀な教師を育成すれば、その一人から将来的に1,000人の優秀な科学者が育ち、その数だけ新しい仕事を生み出すというスローガンのもと、”ひとり年間2万ドルの奨学金(返済不要)を4年間あたえる”などのサーポートで1万人の理科・数学教師を育成し、1,000万人の科学者(とそれに相当する新しい職)を作り出すことにより米国がScience&Technologyの分野でグローバルな覇権を将来にわたって維持するという非常に長期的視野に立った、また非常にambitiousな政策である。

科学研究や教育のために予算をつけるような多くの法案の多くが今まで廃案になってきたが、このAmerica COMPETES法案の大成功の理由として、予算委員のひとり Norman Augustine氏(前ロッキードCEO)は語る。

抽象的にサイエンスの価値を語るかわりに、その雇用面への実際的な効果を訴えることにしたのだ
"We quit talking about the virtues of science in the abstract and started talking about its impact on jobs, Everybody understands jobs."



提言「Rising Above The Gathering Storm」が法案America COMPETESとなり可決されるこの歴史的なサイエンスの政治的勝利から学ぶことは非常に多い。

関連エントリー:
いかにして優秀な理科・数学教師を育てるか: 米国でのとり組み
<http://harvardmedblog.blog90.fc2.com/blog-entry-91.html>

関連ブログ:
Framing Science "It's the Economy, Stupid! Framing Propels Major Science Bill"
<http://scienceblogs.com/framing-science/2007/08/its_the_economy_stupid_framing.php>

テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

quinnThis I Believeは"米国版・青年の主張”のようなNational Public Radio (NPR) のショートプログラムであり、一般の視聴者から投稿されたエッセイのうち選ばれた作品一つを毎週本人がラジオで朗読するというものである。時折一般の視聴者に混じって芸術家や政治家など有名人が自らのエッセイを読むこともあり、以前のエントリーでパウエル前国務長官のThis I Believeをとりあげた。

今週2007年8月5日のThis I Believeは米国バーモント大学の学生Michelle Gardner-Quinn(右写真, NPR)のエッセイ”A Reverence for All Life(すべての生物に対する畏敬)”であった。このエッセイは彼女が2006年10月誘拐・殺害される2日まえに大学のクラスの課題として書いたものである。エッセイは彼女の大学の先生であるCecilia Danksにより朗読されている。Michelle Gardner-Quinnのエッセイの最後の

In honor of all life, I am dedicating myself to preventing this worldwide ecological crisis.



にあるとおり、彼女のメッセージは地球環境保護のプロパガンダとしてNational Public RadioとYouTube(下)を伝わり広がっている。



テーマ:言霊(格言・名言・自分の考え) - ジャンル:学問・文化・芸術

生化学若い研究者の会のご招待で生命科学・夏の学校(8月3~5、国立女性教育会館、埼玉県)に、シンポジウム「所変わればラボ変わる?比べてわかる日本と世界?」のパネリストとして参加した。まず第一に、スタッフの学生さんたちの情熱と卓越した企画力にる非常に充実した内容と運営に感心させられた。シンポジウムも大盛況・大成功であり、その様子は参加者のひとりHILOKIさんのブログ「生命の理解、そして「理解」の理解。」にまとめられている。

それ以外で特に印象に残ったことは参加した学生さんの”プレゼンテーション力”の高さである。

研究交流会では10人程度のグループに分かれそれぞれが5分程度で自分の研究を紹介するという試みがなされた。基本的にはパワーポイントを使わずに1ページ資料のみを使っての”ローテク”オーラル・プレゼンテーションのフォーマットであり、あまりトリックが使えないので、高いコミュニケーション能力とプレゼンテーション能力が必要とされる。私はハーバードの学生のプレゼンテーションで”目が肥えている”ので、正直日本の学生さんのプレゼンテーションはどうかなと思っていたが、そんな心配はまったく必要なかった。

それぞれが自分の持ち味を生かした非常に良質のプレゼンテーションを披露してくれた。もちろん荒削りではあるが、要点はきっちり押さえている。つまり、自分の研究しているテーマの肝が何であるかをよく理解していて、それに対する情熱を言葉で他人に説明できる。米国のようなパンチを効かしたショーのようなしゃべりまくるスタイルではないが、決して印象が薄いというわけではない。おそらくそれほどプレゼンテーションのトレーニングを抜けていないと思われる日本の学生さんたちが自分のスタイルを生かした”日本的な”プレゼンテーションの軸を確立しつつあることに驚きと喜びを感じた。

もちろん夏の学校には特に優秀でモティベーションも高い方が集まっている可能性もあり、日本の理系学生全体を論じることはできないが、日本の理系学生の質の高さを確認できた有意義な3日間であった。


テーマ:研究者の生活 - ジャンル:学問・文化・芸術

成田行きの飛行機のなかで読んだ本田有明著「仕事に生かす<論理思考>」のなかに”いまの仕事が自分の天職とは思えません”と辞表を提出部下に対応する”危機管理”の方法論に重要な点のひとつとして、「言葉のイメージに惑わされない」ことの大切さをあげている。

天職とは「講談社国語辞典」によると:

生まれながらに身についている職務


とあり、自分を生かすために運命づけられた仕事であり、人生はその”天職”を求めて”転職”する自分探しの旅であることを暗にほのめかす。しかし、

天職とは「三省堂・新明解国語辞典」によれば:

その人が満足して従事している職業


とあり、多くの今やっている”普通”の仕事が、工夫やマインド・セットの違いで”天職”になりうることを示唆する。

さずがに、新明解国語辞典は面白い。人を説得するための論理に行き詰まったときには、キーワードを新明解国語辞典で調べてみよう。

関連エントリー:
好きなことを追求する贅沢
<http://harvardmedblog.blog90.fc2.com/blog-entry-97.html>

8/8追記:
日本に一時帰国中に購入した新明解国語辞典(第6版)によると「天職」とは:

自分の気質・能力にふさわしいものとして、その人が生きがいとしている職業



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プロフィール

Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:三重大学医学部・分子病態学講座教授 10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務後, ボストンへ研究留学し、ハーバード大学医学部・准教授としてラボ運営に奮闘する. 2011年に帰国、大阪府立成人病センター麻酔科・副部長をつとめ、臨床麻酔のできる基礎医学研究者を自称する. 専門は免疫学・細胞接着. また研究者のキャリアやスキルに関する著書に「プロフェッショナル根性・研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」(羊土社)がある. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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