梅田望夫・茂木健一郎の対談集「フューチャリスト宣言」の「グーグルを賢く」するという梅田氏のスタイルは多くの科学者にとっての社会貢献のスタイルでもある。
梅田 ........ なんか、取り込まれた感じがしたんです。茂木さんはブログを書いていて感じませんか? 僕は最初、グーグルにやられている感がありました。
茂木 グーグルに搾取されているということですか?
梅田 要するに、いいことをいっぱい書くと、グーグルが賢くなるんですよ。
梅田 ........ 僕がグーグルを賢くしてやるんだよ、と開き直った(笑)。「マトリックス」の電池になってやろうじゃないかと。それが僕の社会貢献の姿なんだとね。
Googleが検索を中心としてライフスタイルを一般の人びとに浸透させる何年も前から、われわれ医学・生物学系の科学者は
Pubmedにより世界の科学者が出版した論文をキーワードで検索するということを仕事の一部として行ってきた。われわれにとってはPubmedが論文検索のための主要なサーチツールである。
研究成果を論文にまとめ、Peer-reviewed Journal (審査付き科学雑誌)に掲載することがアカデミックで仕事をする科学者のアウトプットの最も主要でかつ重要なものである(プロモーションに)。Nature, Cell, Scienceなどの超一流科学雑誌や、各分野でのトップクラスの専門科学雑誌に掲載された論文は雑誌(Online or print)から直接読まれるが、その他約6,000ある科学雑誌(医学・生物系)に掲載された論文の大部分は主としてPubmedによる検索を通じて読まれることとなる。
少数のハイインパクトな論文は多くの科学者に読まれ高頻度に引用されるが、大部分の論文はほんの一部の人にしか読まれない。出版後何年にもわたって自分以外はだれも読んだことのない論文もかなりあるのではないか。
しかし、「論文を出版したという科学者の自己満足」以外に何の役にも立たないと一見思われるようなローインパクト・ロープロファイルの論文群がPubmedで検索可能な
ロングテールを形成している。
そして検索により他の科学者の目にとまり、論文を書いた当事者が予想もしなかった大きなインパクトに貢献することがあり得るのだ。科学の共通語である英語で論文を書き、Pubmedで検索可能な科学雑誌に掲載されるかぎり
、科学者個人の業績集 (CV) を良くし、さらにPubmedという知の総和の形成に寄与するという
Win-Winの社会貢献をしているのである。
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テーマ:研究者の生活 - ジャンル:学問・文化・芸術