必ずしも米国の生徒の多くが「偉くなりたい」わけではない: 財団法人「日本青少年研究所」の行った調査結果の原本を購入していないので詳細はわからないが、アメリカの高校生の多くが「偉くなりたい」と答えるとは考えにくい。Junior Achievementが2007年に中・高校生を対象に行った調査で将来の職業を選択する理由として、次のように回答している。 1. 情熱(I am passionate about this career:56.6%) 2. 人の役に立つ(A career in this field will allow me to help people:21.3%) 3. お金(The amount of money that I can learn :12.4%) 4. その他(5.4%) 5. 無理せず楽に暮らしていける(Esay way to make a living :2.6%) 6. ステータスが高い(Having a prestige among my peer :1.7%)
Open Secret: エンロンは巨額の不正経理・不正取引をひた隠しにし企業破綻したために、株主や従業員に莫大な史上最大規模の損害を与えたと一般には思われている。しかし、Malcolm Gradwellのニューヨークタイムズのコラム「Open Secret」では、まったく新しい視点が示されている;エンロンが不正経理・不正取引をしていた証拠はすべてタイムリーに公的にアクセスできる刊行物に記載されていた。しかし、その内容が膨大であまりに複雑であるため、内部告発以前にだれも不正を公の資料から指摘することができなかった。「秘密は公になっていたが、誰も(当事者以外は)知ることができなかった」
Science&Technologyの高等教育・研究(主として大学)をすべて英語で行ことのポイントを整理すると: 1)授業はすべて英語で行い、教科書、レポート、試験などもすべて英語で行う。英語の上質な教科書例えばMoleculer Biology of the Cellなどを使う限りこれは十分に実現可能であろう。英語のフレームワークの方が理論的な文章には向いていると思う。教官も学生も必ずしも上手な英語を話す必要はない。教官が臆することなく日本人英語(私の場合は大阪弁英語)を披露すれば、学生は必ずついてくる。
Virginia Techでのmass shootingの犯人がメディアに送りつけた映像がセンセーショナルに流れている。また、30人以上の人間を死に至らしめた過程の詳細もストーリーのようにメディアに現れつつある。もちろん事実を伝えるのがメディアの使命である。しかし、ここで高橋祥友著「自殺予防」(岩波新書)から私が学んだひとつの論点を的はずれかもしれないが投げかけたい。
1999年にColumbine High SchoolでのSchool shooting が起きたのは私が米国に来てまもなくのことであった。8年後の2007年4月16日、 Virginia州BlacksburgにあるVirginia Polytechnic Institute and State University(Virginia Tech)で最悪のmass shootingが起こった。多くのメディアがgunmanの心の闇や警察・大学の対応の不備を報じ始めているが、やはり最大の問題点はGun controlであろう。Gun controlに対する現時点でのメジャーな米国新聞社の対応は様々であるが、BBCがやや冷静に各社の社説を比べている。
New York Timesは強くGun controlの不備を指摘している:
......the gravest dangers Americans face come from killers at home armed with guns that are frighteningly easy to obtain.
Los Angeles Timesは逆に護身のための拳銃保持の議論を持ち出している:
......Or, conversely, for the right to bear arms because Virginia Tech is a 'gun-free zone', and the Virginia Legislature last year killed a bill that would have allowed students to carry guns on campus.
Washington PostはGun controlのSchool shooting防止効果に疑問を投げかけるニュアンスである:
"Should metal detectors be ubiquitous in American classrooms and dormitories? And why are gunmen so apt to carry out their lethal rampages at American schools?"
新しいアイデアを継続的に提案していく力は、研究者としてサーバイブしていくために不可欠な能力である。しかし、いつかはアイデアが枯渇してグラントが書けなくなるのではいう漠然とした恐怖感があるので、新しいアイデアを継続的に提案していくスキル(but not 能力・才能)を身につける方法を模索している。そのなかで以前のエントリーでも書いたが、佐藤可士和氏の「答えは対象のなかにすでにある」という方法論に注目している。佐藤氏はSMAPのCDの広告やNTTドコモのシンプルな携帯電話のデザインを手がけた新進気鋭のアートディレクターである。Asahi.com フロントランナー(3/31)で佐藤氏をとりあげた記事は非常に興味深い。
1/23日のエントリー「研究者としての独立:Change or Die」で「Ph.D.~Postdoc」と「 Postdoc~P.I.」へのキャリアの節目では違った環境で違った研究テーマに取り組み研究者として武者修行することの重要性について書いた。したがって、「学部~大学院」でのキャリアの節目での環境の変化を促す提言は長期的に日本のScience&Technology分野での競争力を高める可能性があり、基本的には賛成である。
いったん人生・仕事・生活が安定してしまうと、その状態(Status Quo)を変えることには、常に恐怖と痛みが伴う。Alan Deutschmanは著書「Change Or Die」で、高脂血症と肥満のため狭心症でバイパス手術を繰り返し、食生活を改善しなければ、次の発作で確実に死に至るという死の恐怖を目の前にしても、多くの患者は「変化の恐怖と痛み」を受け入れられず、食生活を改善できないと述べている。
Richard Rileyによると2010年に最も必要とされる職業のトップ10は、2004年の時点では存在すらしていない。今私たちは、「今は発明すらされていないテクノロジー」を使って「今は問題であるということすら知りえない問題」を解決するための「今は存在すらしない職業」に向けて学生を教育しているのだ。(ムービーShift Happensより)
According to former Secretory of Education Richard Riley...
the top 10 jobs that will be in demand in 2010 didn't exist in 2004.
We are currently preparing students for jobs that don't yet exist...using technologies that haven't yet been invented...in order to solve problems we don't even know are problems yet.
Most of the time, if you fail to become the best in the world, it’s either because you planned wrong or because you gave up before you reached your goal.
米国の研究者はさぞかしサイエンス・コミュニケーションが上手であると思われるであろうが、実際には米国ではサイエンス・コミュニケーションは危機的状態にあるとMatthew C. NisbetとChris Mooney博士らはサイエンス誌2007年4月号「Framing Science」で訴えている。「科学的に正しいニュース解説を、メジャーなニュースソースを通して伝えればいずれは一般のひとにわかってもらる」と信じる(正義はいづれ勝つ的考えの)サイエンティストはあまりにナイーブであると警鐘を鳴らす。実際には(少なくとも米国では)多くの人々は政治的、宗教的にバイアスがかかっており、メジャーなニュースソースからサイエンティストが期待するような’正しい’情報を仕入れたりはしない。サイエンス・コミュニケーションの失敗により、国家が危機に瀕しつつある(瀕している)例として: Global warming Evolution & Intelligent design ES cell の3つを例に挙げている。
Global warmingに対してはpolitician アル・ゴアのキャンペーン「不都合な真実」は成功を収めているが、Global warmingに対しての米国においてのPublic Awarenessは現在十分に高いとはいえない。またbiologist Randy Olsonの反Intelligent designキャンペーン映画「Flock of Dodos」(パロディー)はサイエンス・コミュニケーションとして大失敗であった。
Nisbet & Mooney博士らの提案は:
In short, as unnatural as it might feel, in many cases, scientists should strategically avoid emphasizing the technical details of science when trying to defend it.