ボストンで13年働いた研究者が、アカデミック・キャリアパスで切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
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留学を始めたときに、自分の研究分野にはまったく関係のないノンフィクションの洋書を一冊読み通すのを目標にしたが、それが始めて達成できたのは3年目であった。現在は audible.com も利用して月洋書3冊を目標にしている。何を読むかはランキングと書評を参考にする。Amazon.comの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」という関連ある本を紹介するサービスも利用する。

ところで、LibraryThings では Book Suggester (この本を買った人はこんな本も買っています)に加えて UnSuggester (この本を買った人はこんな本は買いません) というおもしろいサービス (?) も提供している。

例えば、

人を動かす:デール カーネギー (著) (How to win friends and influence people by Dale Carnegie)
を購入した人には:
Suggester:7つの習慣:スティーブン・R. コヴィー(著) (The seven habits of highly effective people : restoring the character ethic by Stephen R. Covey)
UnSuggester :ゾンビサバイバル・ガイド (和訳未発売)(The zombie survival guide : complete protection from the living dead by Max Brooks)

また、

ヤバい経済学 悪ガキ教授が世の裏側を探検する:スティーヴン・レヴィット (著) (Freakonomics : a rogue economist explores the hidden side of everything by Steven D. Levitt)
を購入した人には
Suggester:ティッピング・ポイント―いかにして「小さな変化」が「大きな変化」を生み出すか :マルコム グラッドウェル (著)(Blink : the power of thinking without thinking by Malcolm Gladwell )
UnSuggester :フルーツバスケット (12) (コミック): 高屋 奈月(著) (Fruits Basket, Vol. 12 by Natsuki Takaya)

タイトルを英語で入れなければならないので、洋書 (または英語に翻訳された本) にしか対応していないが、興味のあるひとはお試しあれ。

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昨日のエントリーでテニアトッラクのアシスタント・プロフェッサーのポジションへ応募する際の研究計画 (Research Proposal) は、ボスドクの研究テーマの延長ではなくImaginationを働かせた、ユニークでチャレンジングなプロポーサルでなくてはならないと書いた。

さらにもう一つ大切なこととして、研究計画はある程度、既存のファカルティーメンバーとの相補性があり、プロダクティブなコラボレーションができることが望まれる。しかし、トリッキーなところは既存のファカルティーが、新しく来るアシスタント・プロフェッサーからベネフィットを得られるかどうかは選考に非常に重要であるが、逆に新しく来るアシスタント・プロフェッサーが、既存のファカルティーからベネフィットを得られるかどうかは選考基準の上位に来ない場合がある。

選考ではむしろ、独力で新しい分野を切り開き、将来その分野のリーダーになれる人物をトップの大学・研究所では求めている。したがって、「私のラボではコラボレーションを生かしたプロジェクトを推し進める」というような研究計画はよく受け取られない可能性がある。

PIとして長年やってきたファカルティーは皆エゴが強い (エゴが強くないと生き残れない)。彼ら/彼女らはあなたとのコラボレーションで自分の研究にベネフィットを得たいが、あなたには独立してすばらしい研究をして欲しい。(もちろん、多くのファカルティーはメントーとしてリサーチやポリティクスでサポートしてくれるが、最初からそれを当てにしたような態度は見せない方がよい。

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テニアトッラクのアシスタント・プロフェッサーのポジションは、多くはオープンサーチ(全世界公募)であり、英語ができれば国籍は基本的には関係ない。募集の広告がScienceやNatureに掲載されると1つのポジションに対して通常50以上 (しばしば100以上) の応募がある。選考の基準は:

1) 今までの研究業績(発表論文の質)
2) 推薦状
3) 独立してからの研究計画 (どの問題を,どんなアプローチで)



1)業績:論文の数はあるにこしたことはないが、基本的には質勝負である。ファーストオーサーの論文しかカウントされないと考えた方がよい。博士課程の業績よりも、ポスドクの(より最近)の業績が大切である。2~3本のファーストオーサーの論文で、ひとつのストーリーを作り出せれば強い。

2)推薦状:シングルスペースで2枚以上の詳細で強力な推薦状を書いてくれる人物が少なくとも3人以上必要である。通常はポスドク時のボス、博士課程での指導者、ポスドク時の共同研究者などである。推薦状は日本で考えられているよりもはるかに大きなインパクトを持ち、強力でない推薦状 (半ページ程度の形式的な手紙) は、むしろネガティブなインパクトさえもある。

3)独立してからの研究計画:実はこれがポスドクにとって最も難しい。多くの米国のラボでは、ポスドクでの最初の数本の論文は大抵8割方はボスの研究能力と発想に負うところが大きい。トップジャーナルに数本ファーストオーサーとして論文を発表している人でも自分ひとりで魅力的な研究計画を書ける人は少ない。そして、うまく書けたとしても多くのひとがポスドクでの仕事の延長線上の研究をしたいと書く。あるハーバードの教授はこれを、ポスドクの仕事の"unimaginative follow-up"と呼び、痛烈に批判している。

研究計画には Imagination が大切である。

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ハーバード大学 (Harvard University Extension School) のMINI-MBAコース「Biotechnology Project Management 」で新薬開発のプロジェクトマネージメントについてのグループワークが始まった 。YahooのDiscussion Group (クローズドの掲示板) を使って、メンバー7人でディスカッションしている。一つ新鮮だったのは、コーポレート (製薬会社・バイオテク) 出身のメンバーは掲示板でのディスカッションに自分の主張をまとめたPowerPointファイルをどんどんアップロードしてくる。アカデミアではセミナー形式のプレゼンテーション以外は、普段の文章 (グラントやプロポーサル) はWordが中心である。以前、朝日新聞の「タカシの外資系物語」で読んだ話は本当であると確認できた。

(引用)さて、本題に戻りましょう。今回のお題は『パワーポイントを極める』です。前にも書いたことがありますが、外資系企業における文書のほとんどはパワーポイントを使用して作成されます。最近では日系企業においてもかなり使用されているようですが、それでもまだ、ワープロソフトの「Word」の方が多く使われているのではないでしょうか。外資系企業の場合は、契約書等の正式文書以外は、すべてパワーポイントで文書化されるといっても過言ではありません。ータカシの外資系物語ー

PowerPointでの文書化によるインフォーマルであるがプレゼンテーションを前提としたスタイルはぜひアカデミアでも取り入れたい。

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ハーバード大学(Harvard University Extension School)の "MINI-MBA コース"「Biotechnology Project Management 」で新薬開発のプロジェクトマネージメントについて学んでいる 。このコースのコアカリキュラムはグループワークであり、チームで 新薬開発のモック(疑似)プロジェクトを立ち上げ、マネージメントの方法を体験して学ぶ。異なったバックグラウンド(私以外全員コーポレート出身)を持つ人たちとの共同作業は非常に刺激的であり、普段気づかないいろいろなことを学べる。

クラスを担当する教授のLyndaが、個人のバックグランドを考慮してグループ分けを発表した。私の所属するグループの7人のメンバーの名前(一部仮名)とバックグランドは:

Barbara: 小さなコンサルティング・ファームでマネージャー

Christine:製薬会社の研究者

Virginia:科学雑誌のエディトリアルスタッフ

Andrew: 製薬会社の研究者

Geoff:バイオテクの研究者、フランスで医師として臨床経験あり

Mic:薬局の管理部門勤務

Motomu (私):アカデミアの研究者 、日本で医師として臨床経験あり

このチームで数ヶ月間グループワークをするわけであるが、ロールプレイングゲームとしてのプロジェクトでの役割は、話し合いの末以下のように決まった。

Barbara: Project Manager

Christine: Discovery/Research Representative

Virginia: Commercial Representative

Andrew: CMC (chemistry, manufacturing and controls) Representative

Geoff: Pre-Clinical Representative

Mic: Regulatory Representative

Motomu (私): Clinical Representative

この1週間でプロジェクトの概要を決め、 Target Product ProfileとProject Proposalを書き上げるのが宿題である。メンバーの半分がボストンから離れたところに住んでいることもあり、7人全員が集まって話し合うのは無理があるため、 Barbaraの提案でYahooの Discussion Group (クローズドの掲示板) を使って話合うことにした。

研究留学ネットの研究留学フォーラムなどオープンな日本語の掲示板に参加したことはあるが、クローズドの掲示板を使って英語でディスカッションしたのはこれが始めてであった。そして、これは非常におもしろいということがわかった。リスニングとスピーキングのハンディがない分、ほぼ同じ土俵でディスカッションできるので、とても快適である。私自身は多少ライティングに問題はあるが、たぶん多くの理系研究者と同様にスピーキング・リスニング・ライティングのなかでは、ライティングが最も苦手意識が少ない。

クラスでは7人がの中では、私が一番無口であったが、掲示板でのディスカッションでは一番饒舌なうちのひとりだった。以前のエントリー「中年日本人男性研究者のためのサバイバル英語学習術」で書いたように、自分の人間力を示すことの出来る機会が英語上達には重要である。掲示板やメールでのコミュニケーションの機会を利用して、自分の知識や経験の深さをグループ内やラボ内で示すことで、中年日本人男性研究者は英語を話す機会(遮られずに、他人が喜んで話しを聞いてくれる時間) が増えるはずだ。


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インパクトファクターについて「めざせネイチャー、ハーバード大学、研究留学」で重要なことが論じられていた。
http://boston2.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/post_c1f4.html

引用:誤解のないように、付記させていただくが、インパクトファクターはあくまで、その科学雑誌の「平均」引用回数であり、そこに掲載される論文がどれだけ引用されたという実質的な科学への貢献度を示すものではないということだ。(中略)インパクトファクターは「雑誌の視聴率」であり、「個々の論文自体の視聴率」ではないということは注意しておきたい。


まさに、その通りであると思う。少し言い方をかえて、American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine (AJRCCM) のエディター Martin J. Tobinは:

Despite serious limitations, this citation metric (= Impact Factor) has become the most widely used index for ranking the overall quality of biomedical journals. (Impact Factor and the Journal -- AJRCCM 2003. 168 (6): 621

つまり、インパクトファクターは「ジャーナルのクオリティーの指標である」と議論している。

それでは、ジャーナルのクオリティーのクオリティーを決めるのは何か? 大きく分けて3つある。
1)ジャーナル運営者としてのエディター、スタッフ、ハード面や広告宣伝を担当する出版社
2)Contributorsとしての研究者(Authors & Reviewers)
3)CitationするReadersとしての研究者

したがって、インパクトファクターは必ずしも個々の論文のクオリティーの指標でないが、個々の論文のクオリティーは「ジャーナルのクオリティーの指標である」インパクトファクターの重要な決定因子のひとつである。

参考に、2005年の約6000のジャーナルのうち、インパクトファクター10以上のバイオメディカルジャーナル(総説を除く)のランキングを示す(インパクトファクター10には、ただ単に切りがよい以外に特別な意味はない)。

1. CA-CANCER J CLIN 49.794
2. NEW ENGL J MED 44.016
3. SCIENCE 30.927
4. CELL 29.431
5. NATURE 29.273
6. NAT MED 28.878
7. NAT IMMUNOL 27.011
8. NAT GENET 25.797
9. LANCET 23.407
10. JAMA 23.332
11. NAT BIOTECHNOL 22.738
12. NAT CELL BIOL 19.717
13. CANCER CELL 18.725
15. GENE DEV 15.610
16. NAT NEUROSCI 15.456
17. J NATL CANCER I 15.171
18. IMMUNITY 15.156
19. J CLIN INVEST 15.053
20. MOL CELL 14.971
21. PLOS BIOL 14.672
22. DEV CELL 14.609
23. NEURON 14.304
24. J EXP MED 13.965
25. ANN INTERN MED 13.254
26. AM J HUM GENET 12.649
27. ARCH GEN PSYCHIAT 12.642
28. GASTROENTEROL 12.386
29. NAT SMB 12.190
30. LANCET NEUROL 12.167
31. J CLIN ONCOL 11.810
32. CURR BIOL 11.732
33. CIRCULATION 11.632
34. PLANT CELL 11.088
35. J CELL BIOL 10.951
36. LANCET INFECT DIS 10.521
37. SYST BIOL 10.327
38. PNAS 10.231
39. GENOME RES 10.139
40. BLOOD 10.131
41. EMBO J 10.053

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Ph.D.での仕事が結果的にあまり満足のいくレベルではなく、ポスドクでは全く違ったことをやりたいと考えるひとは少なくない。米国ではポスドクは 独立に向けての武者修行のステップと見なされるので、Ph.D.の時とは異なったラボ (多くの場合、別の大学) で研究をするのが普通である。従って、 Ph.D.と違った分野の研究をするのは全く問題ないし、むしろそうすべきである。しかし、ジョブ・インタビューでは「Ph.D.での仕事があまりおもしろくなかったので、ポスドクではもっとレベルの高いエキサイティングなことをやりたい」と (本心では思っていても) 口に出さない方がいい。

ジョブ・インタビューではどんなことであれネガティブなコメントは避けた方がよい。どのPIもネガティブな人を自分のラボに入れたいとは思わない。実験はうまくいかない時の方が多いので、そんなつらい時期を乗り越えられるポジティブな精神の持ち主を雇いたいと思うのが普通のリーダーであろう。

ラボのある建物に朝10時に入ってから夕方5時に出るまでは、昼食の時間も雑談の時間もすべて公式のジョブ・インタビューである。その間はポジティブに振る舞わなくてはならない (少なくともポジティブに振る舞う努力をしなくてはならない) 。これが学生ではなく、プロフェッショナルとしてのポスドクのとるべき行動である。

どんなに自分のPh.D.の仕事が退屈であると感じても、何か一つ良いところを見つけ、それを誇りを持って話そう。ポスドクで研究分野を変えるのに、自分の過去を否定する必要は全くない。新しいことに挑戦するのに情熱は必要だが、理由はいらない。むしろ、挑戦しない場合に言い訳が必要である。


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ハーバード大学(Harvard University Extension School)の MINI-MBA コース「Biotechnology Project Management 」で新薬開発のプロジェクトマネージメントについて学んでいる 。今日の授業はケーススタディで、人々の怠け癖 (laziness) を治療する架空の新薬 Lazipureの開発戦略のプロジェクトマネージメントである。

例えば、リスクアセスメントのケーススタディのひとつとして:
リスク:この薬を飲むことは自ら怠け者 (Lazy) であると認めることになるので、社会的に怠け者 (Lazy)というレッテル (stigma) を貼られるのを皆嫌って、新薬 Lazipureのマーケットへの浸透が遅れるのではないか。
対策: Lazy (怠け者 )のかわりに Activity challenged (活動性での困難に立ち向かっている者)というような肯定的な呼び方をする啓蒙PRをしてはどうか。

また、マーケットアナリシスでは、 新薬Lazipure の競争相手はシベリア虎の脳みそ(?)であるが、シベリア虎 は絶滅の危機にあるのでLazipureがCompetitive Advantageがある

などであった。

遊び心のある楽しい授業であった。

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本日2月の第3月曜日はアメリカ初代大統領 George Washington の誕生日1732年2月22日にちなんでPresidents’ dayと呼ばれる祝日である。私は平日と同様に出勤しオフィスとラボで働いたが、私のラボも周りのラボもほぼ半分程度のポスドクが仕事をしていた。

米国で理系研究者はどれくらいの時間働いているのであろうか。2003年のNational Science Foundationの調査によると、アカデミアではポスドクは平均週50.33時間働いている。しかし、テニアトラックのアシスタント・プロフェッサー (と一部アソシエート・プロフェッサー) はポスドクより2時間あまり長い平均週52.51時間働働いている。そしてテニアを取ると約1.5時間減り51.13時間になる。これに比べ、ノン・テニアトラック (リサーチアシスタント・プロフェッサー など) では48.72時間と短い。

%93%A4%93d%8B%85テニアへのインセンティブは機能しているようだ。

NSF working hour

出典:http://www.nsf.gov/statistics/infbrief/nsf06302/

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医学生が卒業後 (または研修終了後)、どのを専攻するかの選択には自分の興味や性格、労働条件、の将来性、人間関係など様々な要素が影響する。その中でも自分の性格との向き・不向きは大きな要因であり、参考にできる心理テストがあれば便利である。エール (Yale) 大学医学部のレジデントDr. Boris Veysman は「医学生が性格に基づいて専攻するを決定するためのアルゴリズム」を作成し、British Medical Journalで発表された。このアルゴリズムは、少し毒があるが、なかなか納得させられた。ちなみに私は麻酔 (Anaesthesia) 専攻である。

<専攻する科を決定するためのアルゴリズム-BMJ 2007->
picture4-1

http://www.bmj.com/cgi/reprint/331/7531/1527.pdf
http://scienceblogs.com/signout/2007/02/hates_adults.php

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実験医学2007年3月号の News&Hot Paper DIGESTで「ニューロサイエンスからみた創造性とはー米国定番サイエンスコミュニケーション番組より」と題して、アイオワ大学精神科教授のDr. Andreasenのインタビューを紹介した。詳細は実験医学を見てもらうとして、ブログでは研究者の創造性について書きたい。

ここでは、「創造性」のバーをかなり下げて、「研究者がグラントをとるための研究のアイデア」に限定するが、これが日々の研究者の生活に関しては最も大きな問題である。多くの人が研究のアイデアに悩み、次のグランドの更新時にアイデアが尽きてしまたっらどうしようかという漠然とした不安を持っているのではないか。私はそうであった。

そこで、アイデア創出法についての(そういうものがあると仮定して)文献を探してみると、いくつかのヒントを与えてくれる本をサイエンスの分野ではなく、広告の分野で見つけた。 広告の分野でのスタンダード&クラシックであるJames Webb Young 「A Technique for Producing Idea」によると:

Ideas are new combinations (of old stuff). [注:(of old stuff) 私見]

この言葉は私のこころのよりどころである。「天才でなくとも、出版された論文(old stuff)を読み、それらを新たに組み合わせることで、全く新しいことを作り出すことができる」と私は理解している。こう考えることにより、アイデアが尽きてしまうことに対する不安はずいぶんと和らいだ。

アートディレクターの佐藤可士和氏は、楽天のロゴやSMAPやMr.Childrenのアートワークなど斬新なデザインのアイデアで有名であるが、NHKのプロフェッショナル仕事の流儀で、佐藤氏もかってアイデアが尽きてしまうことに対する不安があったが、「答えは対象(宣伝すべき商品)のなかにすでにある」と信じることで乗り切ったと語っていた。

「多くの場合、答えはすでに目の前にある」と信じたい

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レスター大学の心理学者が178ヶ国の国民の主観的な幸福度を調査し (自分がどれくらい幸福だと感じるか)、ランキングを発表した。社会心理学者Adrian White博士がUNESCO, CIA, WHOなどの100以上のリサーチをメタアナリシスした結果、 国民の幸福度が最も高いのはデンマークで、2位 スイス、3位 オーストリアと続き、23位 アメリカ、82位 中国、90位 日本、125位 インド、167位 ロシアであった。

幸福度は健康 (相関係数0.62)、冨 (0.52)、教育 (0.51) と大まかに相関を示した。幸福度がアジア諸国 (中国、日本、インド) で低くかったのは、驚きであったようだ。

プロジェクト管理で少なからず経験することであるが、Negative thinkingはNegativeな結果を、Positive thinkingPositiveな結果を長い目でみれば誘導する傾向にあると思う。日本でも玄田有史氏の提唱する「希望学」のようなプロジェクトを通じて、Positive thinkingのトレーニングを教育のカリキュラムに組み込む必要があると思う。

国民の主観的な幸福度ランキング
1. Denmark
2. Switzerland
3. Austria
4. Iceland
5. The Bahamas
6. Finland
7. Sweden
8. Bhutan
9. Brunei
10. Canada
11. Ireland
12. Luxembourg
13. Costa Rica
14. Malta
15. The Netherlands
16. Antigua and Barbuda
17. Malaysia
18. New Zealand
19. Norway
20. The Seychelles

23. USA
35. Germany
41. UK
62. France
82. China
90. Japan
125. India
167. Russia

176. Democratic Republic of the Congo
177. Zimbabwe
178. Burundi


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ポスドクのジョブインタビューで、非英語圏から特にアジアからの候補者は文化的な違いも影響し、Shyであるとか積極性に欠けるというようなマイナスの印象を与えてしまう行動をしばしば見かけるので、そのひとつを参考に紹介する。

典型的なポスドクのジョブインタビューの1日は次のようなスケジュールである。

10:00―研究室に到着、アシスタント(秘書)が候補者をPI (Tom) のオフィスに案内
10:00―11:00 Tom と1対1で面談 (インタビュー
11:00―11:30 PIが候補者をラボに案内し、研究室でポスドクKenと面談
11:30―12:00 Kenが候補者をセミナー室に案内。プレゼンテーションの準備
12:00―13:00 ラボメンバーの前でプレゼンテーションと質疑応答
13:00―14:00 ポスドクJeoとカフェテリアで昼食を取りつつ歓談
14:00―14:30 ラボに戻り、 Tom のコラボレーターTakaと面談
14:30―15:00 ラボで、大学院生Simoneと面談
15:00―15:30 ラボで、テクニシャンMingと面談
15:30―16:00 ポスドクThomasがカフェでコーヒーを飲みながら面談
16:00―16:30 ラボに戻り、ポスドクMaryと面談
16:30―17:00 Maryが候補者をTom のオフィスに案内し、そこでTomと締め括りの面談 (Wrap-up)


ジョブインタビューの結果は Wrap-upで知らされることもあるが、たいていは後日にEメールで通知される。

この中でもプレゼンテーション (ジョブトーク) は最も大きなウエートを持つジョブインタビューのクライマックスである。プレゼンテーションはたいてい小さなセミナー室で、インフォーマルな形式で机を囲み10人程度の聴衆に対してパワーポイントで行うことが多い。ここでは研究内容ももちろん大切であるが、プレゼンテーションの仕方が、その候補者の応募先のラボに対する情熱やコミットメントを印象づける重要な要素である。

そして犯してはならない重要なミスは、聴衆が机を囲み座っているからといって、自分も座ったままプレゼンテーションしては絶対にならないとういうことである。今まで座ったままプレゼンテーションした候補者を数人見たが、誰もジョブをオファーされていない。

プレゼンテーションとは情熱とコミットメントを示すところである。座っていてはそれらは滅多に伝わらない。さらに、10時から17時まで候補者はずっと評価されていることを忘れてはならない。情熱とコミットメントをボディーランゲージで示すことな簡単ではないが、少なくともそれらを示そうとする努力と誠意は必ず伝わり、相手にも自分にもポジティブなインパクトを与えるはずだ。

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ハーバード大学(Harvard University Extension School)の MINI-MBA コース「Biotechnology Project Management 」で技術者(サイエンティストやエンジニア)がコーポレート(製薬会社・バイオテク)でキャリアを積み成功するために必要なスキルについて学んだ。コーポレート・ラダーとアカデミック・ラダーを登るためのスキルは同じではないが、共通する部分はかなりあると思う。

技術者からプロジェクト・マネージャーへとキャリアアップするには(1) サイエンスやテクノロジーに関するTechnical skillsだけでなく,(2) Behavioral skills や (3) Process skills という3つの領域のスキル・セットが必要になる (表1)。このうち赤で示したものは、アカデミアにおいて、アシスタント・プロフェッサー (PI) としてラボの運営に必要なスキルでもある。

表1-Project Leader/Manager Skills-
(1) Technical
・ Drug development
・ IT tools
・ Scientific feasibility
・ Laboratory knowledge
・ Analytical thinking
・ Quality

(2) Behavioral
・ Communication
・ Facilitation
・Conflict management
・ Development of trust
・ Empowerment
・ Building accountability
・ Problem solving

(3) Process
・ Program management
・ Financial
・ Risk management
・ Requirement gathering
・Time management
・ Working in a matrix
・ Contracting
・ Resourcing

ポイントは、コーポレートでもアカデミアでも競争の激しい最先端の領域に行けば行くほど、サイエンスやテクノロジーに関する深い知識と高い技術もつ人材が集まるので、 Technical skills ではほとんど差がつかず、トータルなパフォーマンスに差をつけるのはむしろ (2) や (3) のいわつる「ヒューマンスキル」や「ソフトスキル」と呼ばれる Non-Technical skills である。Technical skills と同様に Non-Technical skills であるヒューマンスキルも一朝一夕に身に付くものではなく、継続したトレーニングを要する。

ヒューマンスキルは、いわゆる「社会常識」や「大人度」とも重なる部分が大きいが、これと関連して2/8の朝日新聞で若い研究者は社会常識に欠けるという記事を見つけた。

********************************************
若い研究者は世間知らず? 文科省の意識調査 (Asahi.com より引用)
 最近の若い研究者は常識がない?――文部科学省が大学や企業に勤める理系の研究者を中心にアンケートしたところ、若手研究者の3割前後が、社会常識や一般教養に欠けるというイメージで見られていることがわかった。その一方で、専門分野の知識は豊富とみられるという。調査は昨年、2000人を対象に実施し、1024人から回答があった。有効回答率は51.2%。20代前半~30代前半の若手研究者の能力15項目について尋ねたところ、高い評価が目立ったのは「専門分野の知識」。「高い」が48.8%、「非常に高い」が6.7%あった。しかし、「社会常識」について尋ねたところ、「低い」が26.5%で「非常に低い」が5.6%と、辛口評価が目立った。一方で「非常に高い」「高い」という評価はそれぞれ1.1%、9.1%。「一般教養」も評価は低く、やはり「低い」「非常に低い」が23.5%、4.1%あった。「非常に高い」「高い」は0.9%、12.5%だけだった。そのほか「課題設定能力」「創造性」「国際性」に対する評価も低かった。アンケートの対象は論文データベースから、年齢や専門分野などを無作為に選んだため、若手の回答も入っている。02年度には若手を指導するベテラン研究者に同様の質問をしたが、同じような結果が出たという。文科省の担当者は「若者が常識に欠けるとみられてしまうのは、研究の世界に限ったことではなく一般的なことなのかもしれません」といっている。
********************************************

「社会常識」というのはあまりにも漠然としているが、具体的には表1の (2) と (3) に上げた 「ヒューマンスキル」や「ソフトスキル」を年齢に関係なく理系研究者もビジネスパーソンと同様に生涯をとおしてを磨かなくてはならないであろう。

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マサチューセッツ州ボストンケンブリッジ周辺は通称Genetownと呼ばれ、バイオテクカンパニーのメッカである。GenetownではハーバードMIT産学協同をすすめ、さらにベンチャーキャピタル、コンサルティング・パテントローファームなども集まり、数多くのジョブ・オポチュニティーがある。
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昨日のエントリーで医学研究者のジョブマーケットは2007年はホットであると書いたが、それを裏付けるようにノバルティスが地下鉄のPark Street 駅の構内一面に求人広告を出している。これはノバルティスが米国政府より5,500万ドルのコントラクトを得て、インフルエンザなどのパンデミックに備えるためのワクチン開発に向け、Vaccine & Diagnostic のheadquarterをケンブリッジに移転させるためである。

Novartis1

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novartis3

novartis4

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理系研究者という職業の将来性が経済アナリストにどう見られているかは気になるところである。元ハーバードビジネスレビューの Alan Webber と Bill Taylorが1995年に創刊したFast Companyはそのforward-thinking attitudeで定評のあるイノベイティブなビジネス誌であるが、同誌が選ぶ2007年の最も有望な職種の堂々第2位に医学研究者(medical researcher)が選ばれた

「今後、基礎医学研究は進歩し、ますます高度な知識が必要になるのと同時に、高齢化が進み医療分野のマーケットは拡大するため、基礎医学と医療の分野の双方の知識と経験をもった人材が必要とされる」というのが理由である。

これは経済アナリストの分析と予想であり、どの程度信憑性があるかはさておき、この楽観的な予想自体がマーケットを刺激し、医学研究者ジョブマーケットに好影響を与える可能性が十分あると思う。

ちなみに、そのほかのホットジョブは
1. Experience designer
2. Medical researcher
3. Web designer
4. Security system engineer
5. Urban planner
6. Viral marketers and media promoter
7. Talent agent
8. Buyer and purchasing agents
9. Art director
10. News analyst, reporter, and bloggers

である。他の職業は漢字を当てにくいが、このなでは医学研究者はよく頑張っていると思う。

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Yahoo の元副社長(VP of Direct Marketing)でマーケティングのカリスマであるセス・ゴーディン(Seth Godin)は、ズーム [Zoom] の提唱者でもある (1/28のエントリー参照)。彼のマーケティング論はビジネスパーソンのみならず理系研究者のキャリア・パス形成にも応用できる。彼のメディアとブログに関する最新刊「Everyone is an Expert (about something)」(Amazon.comで$9.99、約¥1,200) がセスのサイトから無料でダウンローできる。英語であるが、絵入りで32ページと短く1日で読める。
(http://sethgodin.typepad.com/seths_blog/2007/02/please_dont_buy.html)

Seth Godin要旨は:
#1. 「small is the new big」で述べているように、インターネットとブログの出現により、巨大であること(巨大企業、そして私見では巨大医局、巨大研究室も)の優位性は消滅し始めている。 個人または小さい組織であることが今後は有利になる。

#2. インターネットのサーチエンジンで人が探しているのは情報ではなく、meaning (= what makes sense to you)である。

#3. Meaningへの“道しるべ”としてレンズ[Lense]という概念を提唱し、かれのサイトsquidoo.comで個人がexpertとなり発信できるページ[Lense]を誰でも開設できる。


理系研究者にとっても#1を認識することは非常に大切で、いったん大学や研究所で常勤の職に就けば、上司に従い、その組織内での昇進のみに集中していればよい時代は完全に終わってしまった。組織での経験が長いひとにとっては、個人でのキャリア形成の必要性を認識することはストレスであるが、セスの言葉は刺激的かつ個人を勇気づけてくれるので、ぜひご一読を。


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ポスドクは独立した研究者に向けての重要なステップであり、3~5年程度の限られた時間のなかで二つの重要なことを成し遂げなければならない。第1には優れた論文のPublish、第2に独立して研究できる能力とユニークな研究テーマを見つけ出すことである。第1のインパクトの高い論文を、CellNatureScienceなどの有名誌に載せるごとは競争率の高いアイビー・リーグの大学にポジションを得るためには非常に重要なファクターである。第一と第二の点はオーバーラップする点も多いが必ずしも一致しない。例えばボス (PI)の指示通りにテクニシャンのように膨大な量の実験をこなし、その結果一流紙に論文が出ても、ユニークでオリジナルなアイデアを出す能力が育たないとでファカルティーのジョブインタビューで見抜かれてしまうだろう。

したがって、ポスドクの少なくとも後半では多少リスクを冒してでも、自分のユニークな研究テーマにつながる布石が必要である。ただ、前半ではインパクトの高い仕事になりそうなテーマなら、ポスから与えられたプロジェクトに全力投球すべきである (自分の頭で考えることを放棄してはならないが、)。

私はポスドクでは接着分子インテグリンの結晶構造解析がテーマであった。渡米する際に日本の医局での送別会で「CellNatureScienceのどれかに必ず論文を出します。もし出なかったら残りの人生はすべて臨床に捧げます。」と宣言した。自分でも100%自信があるわけではなっかたが、言葉にすれば自分を鼓舞できると思った。研究の中身を論じずにCellNatureScience論文を出すことを目標にすると言うのは議論のあるところであるが、万人に結果を判断しやすい形で提示できるという利点がある。

であるから、例えば「めざせネイテャー、ハーバード大学、研究留学」のように高いかつ具体的目標を掲げ、それを言葉にし、ブログで人目に触れるようにするのは、自分を鼓舞する非常によい方法だと思う。これは、お正月の絵馬に目標を書くのに似ている。

ちなみに私はポスドク2年目に最初の論文Natureに投稿したが2対1でレジェクトされた、しかしNature Structural Biology (現在のNature Structural and Molecular Biology)にアクセプトされたので、情熱は冷めなっかた。その後3年目に第二の仕事をCellに投稿するが3対0でレジェクトされ、PNASに救われる。そして4年目に第3の仕事をCellに投稿し、これが最終的にアクセプトされ、5年目にして宣言を現実のものとすることができた。

次の目標はもちろん、自分がラストオーサーである論文をCell、Nature、Scienceに載せることである。

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ニューヨークタイムズによるとハーバード大学はDrew Gilpin Faust (59歳、写真)を、その371年の歴史ではじめて女性の学長として任命する。 Faust氏は現在ハーバード大学の Radcliffe Institute of Advanced Studyの学部長で、歴史学の教授である。
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Prof. Drew Gilpin Faust (Photo by Tony Rinaldo)

ハーバードの学長選は、有力候補であったノーベル賞受賞者で Howard Hughes Medical Instituteのトップである生化学者のThomas R. Cechが自ら学長選を降りるなど波乱があった。

最終候補には、Faust氏のほかに、スタンフォード大の副学長John W. Etchemendy氏、ハーバード・ロースクールの学部長Elena Kagan氏、ケンブリッジ大学の副学長 Alison F. Richard氏らが挙がっていた。

Faust氏の正式な任命はこの日曜日2月11日の予定。

ニューヨーク・タイムズの記事:http://www.nytimes.com/2007/02/10/education/10harvard.html?hp&ex=1171170000&en=1b199add11143bd2&ei=5094&partner=homepage

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アメリカ大統領のスピーチ暗記するというのは、昔からある正攻法の英語勉強法のひとつである。簡単なことではないが、覚えれることが出来れば何より自信がつくし、ほんの少し研究以外のことで教養がついたような気になり、米国に馴染んだ気になれる。これも重要な成功体験のひとつである。映画の会話を覚える方法もあるが、会話は相手がいないと成立しない欠点がある。その点スピーチは一人で黙々と練習するのに向いている。

スピーチのソースとしてはAmerican Rhetoric, Online Speech Bankがよい。
(http://www.americanrhetoric.com/speechbank.htm)
American Rhetoric, Online Speech Bank は米国歴代の大統領やキング牧師など著名人の有名なスピーチの音声ファイルとトランスクリプトを無料で手に入れることができる。 American Rhetoricのスピーチベスト10は:

1. Martin Luther King, Jr. "I Have A Dream"
2. John Fitzgerald Kennedy “Inaugural Address”
3. Franklin Delano Roosevelt “First Inaugural Address”
4. Franklin Delano Roosevelt “Pearl Harbor Address to the Nation”
5. Barbara Charline Jordan “1976 DNC Keynote Address”
6. Richard Milhous Nixon "Checkers"
7. Malcolm X "The Ballot or the Bullet"
8. Ronald Wilson Reagan “Shuttle ''Challenger'' Disaster Address
9. John Fitzgerald Kennedy “Houston Ministerial Association Speech10”
10. Lyndon Baines Johnson "We Shall Overcome"

この中でもわたしのおすすめは、8位のロナルド・レーガン大統領のスピーチである。私見ではあるが、レーガンは歴代の大統領のなかでもすばぬけてスピーチがうまい。レーガン大統領の言葉は力強く、それでいて温かい。彼のスピーチは聞くものを勇気づけ、癒してくれる。8位の “Shuttle ''Challenger'' Disaster Addressは、1986年に起きたスペースシャトル・チャレンジャーの空中爆発事故の際に、レーガン大統領が宇宙飛行士とその家族への追悼と、全国民に向けた宇宙開発への不退転の意志を表すメッセージである。スピーチは4分14秒と短いが珠玉である。 音声ファイルを聞きながらトランスクリプトを暗記する価値があると思う。わたしは、この“Shuttle ''Challenger'' Disaster Address とベルリンの壁のまえで「Mr. Gorbachev, open this gate. Mr. Gorbachev -- Mr. Gorbachev, tear down this wall! 」と演説した“Remarks at the Brandenburg Gate”の2つのレーガンのスピーチをiPODに入れて暗記した。

“Shuttle ''Challenger'' Disaster Address
(http://www.americanrhetoric.com/speeches/ronaldreaganchallenger.htm)
“Remarks at the Brandenburg Gate”
(http://www.americanrhetoric.com/speeches/ronaldreaganbrandenburggate.htm)

(注意)2/2と2/4のエントリーで書いたように「中年日本人男性研究者のためのサバイバル英語学習術:娯楽編」は余裕と時間のある人のための遊びであり、そうでない人は2/2のエントリーに書いたように「人間力を生かした研究室内での会話」をおすすめする。
(http://harvardmedblog.blog90.fc2.com/blog-entry-11.html)

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娘はハーバード大学の免疫学の教授、父は骨を診るハーバード大学医学部整形外科教授、この二人のコラボレーションによる文字どおりの骨免疫学Osteoimmunology」の仕事を紹介したい。

ハーバード大学教授で免疫学の第一人者のひとり Laurie H. Glimcher博士が、本日CBR Institute で行った講演 "Schnurri-3: a Regulator of both Bone cells and B cells"についてお話したい。この仕事は昨年サイエンス誌に掲載された素晴らしいブレイク・スルーであるが、今回はこの研究にまつわる非常に面白いエピソードも聞くことができた。

研究の要旨は、「免疫系の細胞に発現している細胞内分子(アダプタータンパク) Schnurri-3の機能を調べるために、ノックアウトマウスを作ったところ、免疫系の欠損はたいしたことはなかっが、予想に反して骨に大きな異常(骨量の著しい増加)が認められた。詳細な検討の結果、Schnurri-3は(E3 ubiquitin ligase WWP1 と Runx2を介して)骨を作る骨芽細胞を負に制御している事がわかった。この発見は骨粗相症などの新しい治療法の開発に役立つ可能性がある。」というものである。

エピソードであるが、最初はこのノックアウトマウスはこれと言った異常を示さず、研究を担当する大学院生は苦労していた。免疫系の細胞を調べるためには骨髄から細胞を採取するが、彼はなかなかうまく骨髄細胞を採取できずにいた。彼は自分のやり方が悪いと思っていたようだが、それを聞いた Laurie H.Glimcher博士に骨の異常の可能性がひらめいた。すぐに整形外科医でハーバード大学医学部教授の父 Melvin J. Glimcher博士に相談し、ノックアウトマウスのレントゲン写真をとったところ、異常に亢進した骨の石灰化・骨量の増加とそれによる骨髄腔の著しい減少がみられた(骨髄細胞が採取できないわけである)。これが一連のブレイク・スルーの経緯である。

Laurie H. Glimcher博士は成功の鍵は「自分の研究領域がなんであれ、そのノックアウトマウスの最も顕著な異常所見に焦点を当てること」と言った。これは研究者の側からでなくノックアウトマウスから見たStrength-basedアプローチである。

参考:
Jones DC, Wein MN, Oukka M, Hofstaetter JG, Glimcher MJ, Glimcher LH. Regulation of adult bone mass by the zinc finger adapter protein Schnurri-3. Science. 2006 May 26;312(5777):1223-7. (http://www.sciencemag.org/cgi/content/full/312/5777/1223) (Click Free Abstract)

Laurie H. Glimcher (http://www.hsph.harvard.edu/faculty/LaurieGlimcher.html)

Melvin J. Glimcher (http://www.childrenshospital.org/cfapps/research/data_admin/Site176/mainpageS176P0.html)

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給料を含めた研究費のほとんどを外部から獲得することを要求される現在の米国のシステムでは、アメリカ政府からの研究費であるNIHグラントを得る事は研究運営の死活問題である。NIHのリサーリグラント(R01など)には大学・研究所に100%に近い間接経費が支払われる。例えば、年間5000万円のNIHグラント直接経費)を獲得すれば、別にほぼ同額(100%)の5000万円が間接経費としてNIHから施設に支払われる。したがって、グラントの獲得できる優秀な研究者が増えれば、それだけ大学・研究所は財政がよくなるので、どこの施設もグラントの獲得できる研究者を欲しがる。

2005年度NIHより研究費を得ている研究所(大学、病院を除く)は273あり、そのベスト25は以下のようになる。(http://grants1.nih.gov/grants/award/trends/resins05.htm)

1. SCRIPPS RESEARCH INSTITUTE
2. FRED HUTCHINSON CANCER RESEARCH CENTER
3. SLOAN-KETTERING INSTITUTE FOR CANCER RES
4. WESTAT, INC.
5. BURNHAM INSTITUTE FOR MEDICAL RESEARCH
6. SALK INSTITUTE FOR BIOLOGICAL STUDIES
7. JACKSON LABORATORY
8. RESEARCH TRIANGLE INSTITUTE
9. NATIONAL CHILDHOOD CANCER FOUNDATION
10. NORTHERN CALIFORNIA INSTITUTE RES & EDUC
11. COLD SPRING HARBOR LABORATORY
12. WHITEHEAD INSTITUTE FOR BIOMEDICAL RES
13. FOX CHASE CANCER CENTER
14. CITY OF HOPE/BECKMAN RESEARCH INSTITUTE
15. INSTITUTE FOR GENOMIC RESEARCH
16. SOUTHERN RESEARCH INSTITUTE
17. CBR INSTITUTE FOR BIOMEDICAL RESEARCH
18. RAND CORPORATION
19. BATTELLE MEMORIAL INSTITUTE
20. WISTAR INSTITUTE
21. OKLAHOMA MEDICAL RESEARCH FOUNDATION
22. JOSLIN DIABETES CENTER
23. KAISER FOUNDATION RESEARCH INSTITUTE
24. SOUTHWEST FOUNDATION FOR BIOMEDICAL RES
25. WADSWORTH CENTER


私の所属するCBR Institute for Biomedical Researchも小さな研究所としては17位と健闘している。そして、ハーバード関連の研究所としては規模も大きく知名度も高いジョスリン糖尿病センター(Joslin Diabetes Center)(22位)に勝っている。(これが本日の最大のポイントというわけではなく、またこのようなランキングにはあまり意味がないが、比べたくなるのがひとの性である。)

もちろん、これが原因と言う訳ではないが、ジョスリン糖尿病センターのPresident(所長)が医師で研究者でもあるDr. Kahnから、元Boston Consulting Group出身で前マサチューセッツ州労働局局長のMr. Ranch Kimballにかわった。ハーバード大学医学部の研究所・病院のトップは医師・または研究者でハーバードの教授が多い中、この人事は注目されている。Mr. Ranch Kimballは製薬会社やバイオテクと太いパイプを持っており、その経営手腕と寄付金・研究資金の調達能力を期待されていると思われる。(http://www.joslin.org/1148_3857.asp)

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2/1のエントリーで書いたが、Harvard University Extension Schoolの’ミニMBAコース’に毎週通っている。(http://harvardmedblog.blog90.fc2.com/blog-entry-10.html) 今日はマサテューセッツのケンブリッジ市に本社を置くバイオテクのBiogen IDECからRegulatory Issueのディレクターを講師に招いての2時間のレクチャーであった。Biogen IDECは多発性硬化症に対する治療薬Interferon beta-1 (AVONEX)で有名であるが、より最近はIntegrin VLA-4に対する抗体 natalizumab (TYSABRI)が多発性硬化症に対して劇的な効果を示しつつも、少数の患者を Progressive Mutifocal Leukoencephalopathy (PML)で亡くしたために、一時的に販売中止になった事が記憶に新しい。(http://www.fda.gov/cder/drug/advisory/natalizumab.htm)

本日の講義ではAVONEXやTYSABRIには直接触れずに、pre-clinicalからphase I, II, III clinical trialの過程で regulatory agencyであるFDAといかに交渉するかについての実践的な内容についてのレクチャーがあった。さて、授業中には積極的に質問することが大切である。このコースの成績は、授業中の発言(15%)、試験(20%)、宿題(15%)、レポート(25%)、グループワーク(25%)で評価される。よい成績を取ることは自己満足としても大事であるが、最低でも「可」の成績を取らないと授業料は全額自腹になる。(ハーバード大学医学部関連の多くの病院や研究所では、福利厚生の一環として年間3-5000ドル程度を生涯学習のために使える。ほとんどの場合「可」の成績をとることがreimbursementの条件である。)

授業中は質問をするにも競争が激しい。多くの生徒は米国での教育を受けてきているので、まったく「shy」なところがなく、どんな小さな事でも自分のペースでバシバシ質問する。私も自分のcomfortable zoneから出て、必死で手をあげるが、周りの勢いに圧倒されなかなか指名されない。しかし、根気強く手をあげ続けた末、2時間授業の終了5分前になってやっと初めて指名され発言することができた。どうしてか?それは多くの米国人は意外に持久力や根気がなく、終了5分前ごろには持久力を欠き、別のことを考えているからである。

私を含め多くの日本人研究者は「shy」で人前で発言するのに非常な努力をしいられ、積極性では米国人に見劣りする。しかし、持久力では負けない。多少理不尽な状況でもだっまて耐える力がある。ここでも重要なのはStrength-based アプローチである。(http://harvardmedblog.blog90.fc2.com/blog-entry-4.html) 非常な努力をすれば米国人と同じ程度に英語を話し、社交的になれるかもしれないが、それ以上になることはかなり難しい。それよりも「忍耐持久力」という多くの日本人がもつStrength=美徳に投資する方が、長期的にははるかにリターンは大きい。

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今日は4つの研究室が参加するジョイント・ラボミーティングであった。ハーバード大学医学部のロングウッドキャンパスにあるCBR Instituteと Dana-Faber Cancer Instituteからの4つの研究室で「Integrins and Modular Surface Proteins in Vasculature」というProgram Project Grant (PPG, 日本のCOEに相当)をNIHのNHLBIよりもらっている。年間数億円単位の研究費を使用しているのでプレッシャーも大きく、お互いの進行状況を月に一度集まって、データ・プレゼンテーションをしてプロジェクトの方向性を検討し合っている。お互いによく知っているメンバーなので、遠慮はなく時として質問やコメントは辛辣になることもある。

データ・プレゼンテーションを含めたPublic Speakingは、人が恐怖を感じる最大の物のひとつであ。統計では「人前で話す恐怖」は、常に「死の恐怖」より上位にくるらしい。「人前で話す恐怖」の大きな原因のひとつが、「批判される恐怖」である。自分のデータを否定されたり、まったく返答できないような質問をされたらどうしようかと多くの人は心配するのではないか。

しかし、少し視点を変えてみると、正当な批判ほど貴重なものはない。その批判にもとづきデータを修正・追加することで論文やグラントが改善され、アクセプトされやすくなり得る。それなのにどうして批判を怖がるのであろうか。それは自尊心が傷つくからである。しかし、自分の論文が改善される機会と、自尊心とどちらが大切であろうか。もちろん、研究者にとって大切なのは論文の質の向上である。

プレゼンテーションのまえに自分に言い聞かしていることがある。もし唯一の悪影響が自尊心が傷つくことであるならば、批判を進んで受けよう。正当な批判は改善のための貴重な機会である。(と言いつつも、いつも批判で蜂の巣になったあとは、しばらく放心状態になる。)

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ボストンハーバード大学医学部に近いスターバックスでもホットサンドの販売が1月31日より始まった。この日はどの店でも店員の数を増やしホットサンドの調理に対応していた。日本のスターバックスでは以前よりホットサンドを販売しているらしいので、とりたてて目新しいことではないと思われるだろうが、私は少し驚いた。
スターバックスのホットサンド

Photo credit (http://www.slashfood.com/2006/06/09/starbucks-breakfast-sandwich-taste-test/)

スターバックスのCEO Howard Schultzが1997年に書いた「Pour Your Hear into It: How Starbucks Built a Company One Cup at a Time」は、私が感銘をうけた本のひとつである。この本を読んで、Howard Schultzがいかにスターバックスコーヒーの味や香りにこだわりをもっているのかを知り、ますますスターバックスが好きになった。この本のなかで、彼は「店内ではホットドッグなど調理時に強いにおいのする食べ物は、コーヒーの香りを損なうので販売しない」と述べていた。

「Pour Your Hear into It」から10年、スターバックスは常に実験し変化し続けている。Core Valueを守り続けることは大切であるが、決して固執はしない。ホットサンドはコーヒーの香りを店内で楽しみたいスターバックスファンを失うかもしれない。しかし、スターバックスは変化や失敗をおそれず、[Zoom] / [Zoom Plus]している。


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2月1日のエントリーで中年日本人研究者の英語勉強法は、人間力(知識・経験)を生かして、ひとに話を聞かせる「研究室での会話」にのみ集中すべきである。そして自分が英語で話すのを、ひとが一生懸命聞いてくれる成功体験を重ねることが「研究室での会話」上達の最良の方法であると書いた。(http://harvardmedblog.blog90.fc2.com/blog-date-20070202.html)その主張はかわらない。したがって、「中年研究者のためのサバイバル英語学習術: 娯楽編」は趣味程度のものであり、時間の余裕のある方、もしくはすでに成功体験を重ね精神的に余裕のある方のみ参考にしてもらいたい。

「娯楽編#1」のポイントは中年日本人研究者の大部分は英会話は苦手であるが、英文法は大学入試で結構鍛えられているので、英文法には強いというStrengthをいかし、成功体験をさらに重ねるというものである。
Grammar Girl


前置きはさておき、アメリカ人つまりネイティブスピカーの間で、英文法をやさしく解説したポドキャスト「Grammar Girl's Quick & Dirty Tips for Better Writing」が大人気である。(http://grammar.qdnow.com/) 現在までに130万回以上のダウンロードがあり、音楽やニュースを含めた全米のポドキャストのランクで常にベスト10入りしている。CNNもGrammar Girlのプロデューサーであり声の主でもあるフリーランスエディターMignon Fogartyを写真入りで取り上げている。(http://www.cnn.com/2007/TECH/internet/01/22/grammar.girl/index.html)
この「Grammar Girl's Quick......」は英文法を勉強した日本人にとっては意外に簡単な内容なのである。しかし、実はネイティブスピカーほど、意外に文法をわかっていないものなのである。これは日本人が日本語を話している時と同じで、母国語は体系的に分布を勉強していなくとも普通に話せのだ。(例:私は形容詞と形容動詞の違いが、とっさに思い出せない)

「Grammar Girl's Quick......」で取り上げられる英分法程度なら、中年日本人研究者でもネイティブスピーカーと同じ程度に理解でき、小さな成功体験を築くことができると思う。一回の放送が5分程度と短いこともあり聞きやすい。時間的・精神的に余裕のあるかたのみ試してください。

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あなたが、自分のボスまたは部下と実験データ、プロジェクトの進行状況、プロモーションなどを一時間話し合うミーティングがあれば、前もっていくつの事項を話し合う準備をするだろうか。

Seth Godinは「 Just one more thing? 」で問う。(http://sethgodin.typepad.com/seths_blog/2007/01/just_one_more_t.html

最近わたしが、ポスドクとのミーティングでとくにこころがけている事は、一回のミーティングでは指示は極力ひとつだけにしようということである。データが非常によければつい興奮して、いくつも実験を要求してしまう。また、データが悪ければすぐに挽回しなければと思い、また多くの実験を要求してしまう。しかし、それらがすべて実行されることはほとんどない。

また、ポスドクの方からすれば私のオフィスに頻回に質問にくるのは遠慮しているのかもしれないが、多くの場合は、2つ以上の質問や要求を一度にする。

セミナーで一度に二つ質問するひとがいるが、往々にして演者はまず2番目の質問に答え、答え終わったあとには1番目の質問が何だったか思い出せないでいる。

Chip Heath & Dan Heathの「 Made to Stick: Why Some Idea Survive and Others Die」を読んでいるが、そのなかで「3つの事を言えば、何も言っていないのと同じである。」というフレーズがある。

どんなに忙しい世の中でも、長い目で見て最も効率的なのは、「一度にひとつのこと」だと思う。

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在米9年目になるが、英語には苦労した。アメリカに3年もいれば、結構うまくなると日本では思っていたが、あまかったようだ。私見ではあるがハーバード大学医学部にくる外国人研究者が英語(会話)で苦労するリスクファクターは:
1)日本人
2)男性
3)30歳以上
4)立食パーティーが苦手だ
であり、私は不幸にもすべてにあてはまる。英語を読む・書く・聞く・話す力はすべて大事であり、それぞれがinter-connectしているので総合的に勉強しなくてはならないというのが正論であるが、話す力が最も重要であり、多くの日本人男性にはこれが最も難しい。英語を読むことは自分のペースでできるし、書くことはエディトリアルサービスを利用することもできる。しかし、話せないと人からの信頼を得て、コミュニティーの一員になることはまずできない。

英語の勉強法に関しては、留学していらっしゃる方々皆さん一家言あると思う。たとえば、映画やテレビドラマで日常会話になじむ、CNNニュースやNY Timesを聞き流す、英会話学校へ行く、異性の友人をつくるなど人それぞれいろいろなアプローチがあり、どんな方法で続ければなんらかの効果はあると思う。

しかし、日本人中年男性研究者は英語を勉強するために米国に来たのではない。自分のキャリア・アップにきたのであり、英語でコミュニケーションする能力の習得は、自己実現のための手段であり、悠長なことはいってられない。そこで、私の信じるサバイバル英語学習術を紹介する。

この方法のロジックはいったてシンプルで、目的は「研究室で仕事をするための英会話力」をつけるためには「研究室で英会話をする」しかないということである。映画やニュースを使って遠回りする必要はない。「研究室で英会話をする」方法は正攻法と裏技の二つがある。

正攻法は自分の人間力を使う方法である。われわれ日本人中年男性研究者は英語が苦手なことを除けば、数多くの知恵と人生経験をもっている。まわりがそれを認識し、その知識を必要とするならば、人は話かけてくるし、日本人中年男性研究者の話をじっと聞く。たとえば、普段の雑談ではとりつく島もなく、聞き役専門の日本人中年男性研究者であるが、彼が詳しい実験の方法については、みんなが彼に教えを請い、彼の下手な英語をだっまて聞く。わかるまで質問し、感謝して帰って行く。中年男性研究者、自分の思っていることをトランスクリプトなしに話し、それをまわりが聞いてくれることがどんなに気持ちいいことかを体験する(日本にいて、当然のように日本語を話しているときにはわからなっかた)。この成功体験を繰り返すのが、日本人中年男性研究者が「研究室で仕事をするための英会話力」を磨くための最短の、そしてたぶん最良の方法である。

私は、テクニシャンを雇ってから、英語が上達した。私のテクニシャンはカッレジを出てすぐの社会人1年目であったので、私がすべて教えなければならなかった。どんなにゆっくり話しても彼女は私の話をメモを取りながら聞いてくれた(わたしがスーパーバイザーであるので当然ではあるが)。これは私には一つの成功体験である。

人間力に自信がないという人には裏技がある。英語を話す機会が少ない原因は、周りが自分より英語がうまく、つねに聞き役にまわってしまうことである。聞いているだけでは絶対にうまくならない。会話はキャッチボールなので聞くのと同じ以上に話さないとコミュニケーションの力はつかない。では、どうすればよいか。それは自分より英語の下手なひとをみつけて、その人にとにかく英語で話しまくることである。ひどいと思うかもしれないが、相手にもけっしてマイナスにはなっていない。(共にプラスであるが、たくさんしゃべったほうにより高いトレーニング効果がある。)

英語学習においても1/26 (http://harvardmedblog.blog90.fc2.com/blog-entry-4.html)のエントリーで話したStrengths-based アプローチが有効である。英語という弱点を補強しても決してネイティブの足元にもおよばない。しかし、日本人中年男性研究者は知識・経験ではハーバードの大学院生にあっさりと負けたりはしない。知識・経験というStrengthsの上に立てば、英語が完璧でなくとも、周りのひとは喜んで(または辛抱して)あなたの話を聞く、そしてあなたのキャリアはアップする:Mission Completed!!

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M.D.や Ph.D.がM.B.A.を取ることは研究者のキャリア・パスに有利にはたらくのであろか。また、M.B.A.で得られた知識・スキル・人脈はアカデミックキャリアにどれほど役に立つのであろうか。

まず、経済的に概算してみると、M.B.A.を取るための学費が年間6万ドルX2年=12万ドル、2年間フルタイムで通学するためには仕事を辞めなければならないので、ポスドクの給料を年間4万ドルX2年=8万ドルがOpportunity Cost として失われるので、トータルでの損出は12+8=20万ドル(以上)となる。

はたして、これに見合うだけのものがアカデミックキャリアでどれだけ得られるであろうか。これは、人それぞれであると思うが、例えばM.D., Ph.DがM.B.A.をとってM.D., Ph.D.,M.B.A.になればそれだけで今は希少価値があり、業界で注目はされるであろう。

こういう私も実はM.B.A.に興味があり、M.B.A.のマネージメントスキルが研究室や大学の運営に役に立つとと考え、Boston University, Northeastern University, Babson College などのM.B.A.説明会に参加したことがある。そして、Part Time プログラムで夕方からと週末の授業で3年でM.B.A.をとることを真剣に考えた。

今でも、M.B.A.のマネージメントスキルが研究室・研究所運営に役立つという考えは変わっていないが、時間と費用のことを考え、実際的にはHarvard University Extension Schoolでビジネスマネージメントのコース、いわゆるミニM.B.A.コースをとることにした。コースはDr. Lydia Harrisが教える「Biotechnology Project Management」である。授業は週一回ケンブリッジにあるMassachusetts Biotechnology Council のオフィスで行われる。

昨日が第一回目の授業であったが、定員25人のところへ50人以上が応募し25人以上がウエイティングリストにのるという大盛況ぶりである。一回でも休めばはじき出されて自分の籍はなくなる。参加者のほとんどがボストン・ケンブリッジ周辺の製薬会社やバイオテクの出身で、アカデミアからは私を含め数人だけであった。最初のクラスなので全員が自己紹介をしたが、多くの人がマネージメントスキルを身に付けることがキャリアアップにつながると考え、このクラスを受講している。

第一回のクラスでは、イントロとしてR&D (Research & Development) の概要とpre-clinical から Phase III & IV clinical trial の流れ、さらにこの過程におけるマネージメントの役割のレクチャーがあった。毎週宿題が出され、来週までにレポートと7編のマネージメントに関する課題論文を読まなければならない。半年のコースであるが、落ちこぼれずについていけるか、また本当に役に立つことが学べるのかなどブログで報告していきたい。

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プロフィール

Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:三重大学医学部・分子病態学講座教授 10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務後, ボストンへ研究留学し、ハーバード大学医学部・准教授としてラボ運営に奮闘する. 2011年に帰国、大阪府立成人病センター麻酔科・副部長をつとめ、臨床麻酔のできる基礎医学研究者を自称する. 専門は免疫学・細胞接着. また研究者のキャリアやスキルに関する著書に「プロフェッショナル根性・研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」(羊土社)がある. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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