アカデミック・キャリアパスで研究者が切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
医学部は医者を造るところではなく、臨床医である「医療者」と科学者である「医学者」を両方造るところであるとは、九州大学の中山先生のお考えであり、私も同感である。しかし、最近は医学部を卒業したひとに「医療者」でも「医学者」でもない、第3のキャリア・パスが少しづつではあるが認められつつある。

[例:David O氏] 昨年の暮れに友人の紹介でDavid O氏とケンブリッジで食事をする機会があった。Davidはハーバード・カッレジを卒業後、ハーバード大学医学部ーMITのジョイントプログラムでM.D.と Ph.D.を取得したのち、すぐにマサチューセッツ・ケンブリッジにあるコンサルティングファームに入り、現在プリンシパルとしてバイオファーマの経営戦略を担当している。カジュアルなスーツを着こなし、会話も非常にうまい。

ここ数年理系のPh.D.やポスドク、M.D.を求めて数多くのコンサルティングファームがハーバード大学医学部でキャンパス説明会を行っている。この中にはマッキンゼーやボストンコンサルティンググループなど日本でよく知られた大きなファームも含まれている。詳細は実験医学を見ていただきたいが<http://www.yodosha.co.jp/book/4758100205.html>、コンサルタントの仕事の魅力は給料が高いこと(マッキンゼーでは年収1000万円以上から)、知的であり、自分の仕事の経済に対するインパクトがすぐに体感できる、などなどである。

少し前までは、MBAホルダーを中心にした文系集団がコーポレート・ラダー(出世街道)を上っていき、理系はアナリストやエンジニアとして重宝がられてもマネージメントの中心には食い込めないことが多いと考えられてきた。しかし、製薬会社やバイオテックのコンサルティングを行っているファームではM.D.や理系Ph.D.出身者がMBAホルダーと同等の上級マネージメントのポジションに就くことが多くなってきているらしい。

少なくともこのように理系研究者のキャリア・パスが多様化するのはよいことだと思う。見かけの華やかさにとらわれてコンサルタントを目指すのは得策であると思わないが、アカデミックなポジションを目指す理系研究者にもビジネスセンス、とくにセルフ・キャリアマネージメントは身につける必要があると思う。

テーマ:研究者の生活 - ジャンル:学問・文化・芸術

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Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務. その後, Harvard 大学医学部への研究留学を期に, 非常に迷った末に医局を離れBoston で独立することに挑戦し, 現在ラボ運営に奮闘する.「実験医学」 に”プロフェッショナル根性論”を執筆中.

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