ボストンで13年働いた研究者が、アカデミック・キャリアパスで切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
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米国の権威あるドキュメンタリーFrontlineの最新番組「Nuclear Aftershocks」は、福島原発災害の現在までの状況を総括し、米国の原子力政策に与える影響をレポートしている。米国の権威ある報道番組が福島で起こったことをどう報じているかを知ることは、日本にとって重要な意味があるでしょう。



理系の研究者の強みを活かして、絵画の基礎知識がなくとも、それなりに楽しく絵画を鑑賞する方法を考えてみました。

オフィスの近辺にミュージアムがあるのはいいものです。ボストンではMuseum of Fine Arts, Bostonがありました。今は三重県立美術館があります。全国をまわっている「藤島武二・岡田三郎助展」がいま三重県立美術館にきています。藤島武二と岡田三郎助とは:

日本の近代洋画の基礎を築いた藤島武二(1867-1943)と岡田三郎助(1869-1939)。それぞれ曾山幸彦の画塾で洋画を学び、時期を異にしてヨーロッパへ留学したのち、東京美術学校の教授として活躍。1912年には本郷洋画研究所を設立し後進の指導に努めるなど、明治末から昭和戦前期にかけて、同世代の洋画家としてともに切磋琢磨し、日本洋画の発展に大きく貢献しました。



藤島武二・岡田三郎助展とは:

共通点の多い二人の経歴・画業を振り返りながら、それぞれの目指した方向が彼らの活躍した時代に、どのように反映されていったのかを探ろうとするものです。



このように2人の画家の絵を同時に一つの展覧会でみせるというフォーマットは、ボストンではあまりありませんでした。今回、藤島武二・岡田三郎助展で気づいたのですが、比較するペアーが適切であれば、この2人の画家の作品を比較しながら鑑賞するというフォーマットは、絵画初心者にはとても教育的なのです。

最近読んだ安宅和人さんの「イシューからはじめよ」では、

”分析の本質とは比較である”



と述べていますが、大いに納得できる部分があります。少なくとも、比較から始めることが最も手軽ですし、おそらく何らかの形で比較を持ち込む以外に分析する方法はないと思います。

これと同様に絵画を自分の主観に頼って鑑賞するよりも、藤島武二と岡田三郎助の作品を比較することで、専門家のガイドがなくとも、作風についての参照点が自然に設定され、漠然と鑑賞するよりはずっと深い”分析”ができて、絵画を鑑賞するという行為夫を能動的に楽しめました。おそらくこの展覧会の企画者&キュレーターのもくろみが大当たりしたのでしょう。

藤島武二と岡田三郎助の作品の比較は、理系研究者にはお奨めの”分析的絵画鑑賞”を実践・トレーニングするよい場です。

Fujishima1

数日前たまたま久しぶりにジョブスのスタンフォードスピーチをiPod nanoで聴いていました。いま思い出すのは、あの有名な”Stay Hungry. Stay Foolish.”ではなく、彼の死に対する哲学です。


Death is very likely the single best invention of Life. It is Life's change agent. It clears out the old to make way for the new. 

死とは人生における最も優れた発明だ。人生を根底から変える力を持つ。古い者たちを一掃し、新しく来た者たちに道をひらく



ノーベル賞受賞者のRalph Marvin Steinman博士 (January 14, 1943 – September 30, 2011)が、2010年にHeineken Prizeを受賞した後に、自らの研究者としのキャリアパスとモチベーションやDendritic Cell研究の素晴らしさを、わかりやすい英語で語った。

國澤 純 先生(東京大学医科学研究所・炎症免疫学分野・講師)に大学院医学セミナーでのレクチャーをしていただきました。

タイトルは:
Lipids and vitamins in the maintenance of immunological homeostasis in the intestine

國澤 純 先生は東京大学医科学研究所・所長 清野 宏 教授のラボの講師を務め、日本の粘膜免疫学の分野での新進気鋭の若手研究者です。食物や腸内細菌と粘膜免疫の関係など、食・ビタミンの科学とハードコアな免疫学をつなぐ新境地をひらくお話しをしていただきました。学生・教官の方々の多数のご参加をいただき、盛況のうちに終了しました。

また、英語教育の一貫として、 演者:國澤先生(カリフォルニア大学バークレー校留学経験あり)には英語でレクチャーをしていただきました。さらに、レクチャーに先立ちホストの島岡が「英語プレゼンテーション上達のための3分間講義」を行いました。


國澤先生による英語でのご講演「Lipids and vitamins in the maintenance of immunological homeostasis in the intestine」
大学院セミナー2


島岡の「英語プレゼンテーション上達のための3分間講義」
大学院特別セミナー1



國澤先生のセミナーの前座で行いました島岡の3分間英語セミナーのスライドです。






テーマ:語学の勉強 - ジャンル:学問・文化・芸術

クラークの三法則(Clarke's Three Laws)とは、SF作家アーサー・C・クラークのよる3つの未来予測の法則(lows of prediction)(Wikipedia)

1. When a distinguished but elderly scientist states that something is possible, he is almost certainly right. When he states that something is impossible, he is very probably wrong. (高名だが年配の科学者が可能であると言った場合、その主張はほぼ間違いない。また不可能であると言った場合には、その主張はまず間違っている。)

2. The only way of discovering the limits of the possible is to venture a little way past them into the impossible. (可能性の限界を測る唯一の方法は、不可能であるとされることまでやってみることである。)

3. Any sufficiently advanced technology is indistinguishable from magic.(充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない。)





今週のTwitterのまとめ


今週のオフ:ヤマザキマザック美術館
(名古屋)を訪問。

ヤマザキマザックのメセナ、ヤマザキマザック美術館はすばらしい。ルーブルを彷彿とさせる内装と、印象派以前のロココ時代の絵画・アールヌーボの家具に特化した展示が非常にユニーク。マザックは奥山KのK.O.7の部品を作った会社。



モネやルノワールの手法について学ぶ

印象派の「色彩分割」とは:.............”自然の色彩をキャンバス上に定着させる絵画技法。太陽の光を構成する七色のプリズムを重視し、キャンバスの上にその七色を混ぜずに描く。ルノワールが『陽光のなかの裸婦』における裸婦の肌の上に紫色を散らしたのは典型”



ガラス工芸家エミール・ガレのコレクションは圧巻


”偉大なる作家は、死が近づくほど作品の質が上がります”(ヤマザキマザック美術館のエミール・ガレの作品の解説の一節)




今週のビデオニュースのトピックは「鉢呂経産大臣」と「3・11後の漁業と水産資源」

鉢呂経産大臣辞任に関して知っておくべき事

当事者が初めて語った「放射能失言」の裏側!鉢呂経産大臣は原発村を揺るがす「原発エネルギー政策見直し人事」の発表寸前だった



3・11後の漁業と水産資源

勝川俊雄氏(三重大学・生物資源学部・准教授)ビデオニュースに出演。3.11後の漁業・水産資源について科学者として発言。Interesting & Remarkable !! ぜひ医学部・病院でも講演をして欲しい。


 


公共と権力:”公共性維持(例えば資源を守る)には国家権力の発動が必要ということが意外に理解されていない”(萱野稔人)




今週のネットで興味を引いた言葉

「臨床哲学」とは:”医療や介護、教育や貧困など、社会で生じているさまざまな問題を、専門家ではなく市民の<対話>のなかで考えていく活動。阪神大震災を機に鷲田清一が提唱。学説よりも問題発生の現場でのフィールドワークを重視。”




"世の中は経済と生命のトレードオフで動いている" (池田信夫)



今週のScience から:

米国の特許制度、大きな転換:“first to invent” から他の多くの先進国と同じ“first to file” へ



今週のNatureから:

大地震を予知できなかった伊科学者を起訴。Natureが詳しく解説。余震が続くなか大地震の噂が流れ”パニック”を誘発する危険があった、科学者は自分の発言がオフィシャルな安全宣言と見なされるとは考えていなかった、など状況は非常に複雑。



今週のN Engl J Medから:

ゲノム医療と社会との関わりについて医療者が知っておくべき事 N Engl J Med 2011; 365:1033:1) Consent and Confidentiality, 2) Return of Research Results, 3) Regulation of Genetic Tests, 4) Pharmacogenetics, 5) Electronic Medical Records,ゲノム医療と社会 医療者が知っておくべき事 NEJM 2011..6) Genetic Discrimination, 7) Law Enforcement, 8) Pros and Cons of Gene Patents




今週見た映画「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」(GyaOで無料放送中):

映画の話:推薦・静かな佳作。トミー・リー・ジョーンズの初監督作品”メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬





8月26日に京都大学大学院・医学研究科の広田先生、椛島先生、陣上先生らのお招きで、キャリアセミナーで講演しました。その様子は広田先生椛島先生のブログで報告いただいています。またYoutubeにもアップされるかもしれません。

聴衆の方々との事前の打ち合わせなどまったくなかったのですが、私が話したかった重要な論点に直結する非常に良い質問が多数発せられましたので、充実したディスカッションになったと感じています。やはりコミュニケーション力とは話し手と受け手の双方の力のかけ算なのですね。

京大でのトークに関する最近の自分(@BostonIDI)のツイート:

京大でのキャリア・トーク

京大のトークでは聴衆からの数々のいい質問のおかげで、”ブラックスワン”、”留学という大きな物語の終焉”、”Scientific vs Promotional drive”など多くの重要な論点を話すことができました。感謝!



京大スタバにて

京大トークのあとは広田グループ・椛島グループの方々とディナーへ。論文の書き方やモチベーションの保ち方等で意見交換。その後、有志6人でスタバで2次会。キャリアにおける「”意味”と”強度”」について語る。



研究者論壇

”研究者論壇”とは「研究するという営み」に関して広く自由に議論するアカデミックな場。専門、業績、職種に関係なく発言する社交の場。研究者の活躍する領域の地平線を拡大するために発言できる論客を育てる。



7/22テロは「寛容」というノルウェイ国民の重要な価値感に対する挑戦とも考えられます。ノルウェイ首相Jens Stoltenbergは、プレスカンフェレンスで、”テロによりノルウェイは深く傷ついたが、我々の価値観は揺らぐことはない、政治家としての信念はぶれない”というメッセージを発しています。

"the Norway we will see after will be more open, a more tolerant society than what we had before."



また、Liberal International Party President Hans van Baalenは首相の言葉を引用しています。

"paradise turned into a hell but Norway must remain an open and democratic society and must not turn into a fortress”



揺るがない価値観をはっきりと国民に示す。そして国民にそれを単なるパフォーマンスではなく、本気であると感じさせる力がリーダーには必要だと教えられました。




13年ぶりに医師として臨床に復帰させていただきました。ハーバードでPIとして自分の研究室を始めたときには、もう臨床には戻らないだろうとと考えていました。当時のブログには「医者をやめる」ことについて書いています。

医者をやめる(2)


私も含め多くの医師(元医師)にとっては医者である(あった)ということは、とてつもなく大きなアイデンティティーのよりどころである。医師をやめたいと口では言いつつもアイデンティティーを失う恐怖に打ち勝つことは簡単ではない。

また、社会人になって最初に確立した職業観(これもアイデンティティに関係するが)の刷り込みは非常に強い(洗脳に近いかもしれない)。リプログラミングは難しく、結局ほかのことをやっても最初の職業にもどってくることが往々にしてある。



医者をやめる:キャリア・チェンジとプロフェッショナルのサイコロジー

「変化」に対する恐怖を克服し、前に進むための「一時的な」逃げ道はよいでしょう。しかし、まず「腐っても鯛」という仮定がまちがっています。専門知識や技術が急速に変化している現在、医者のような技術専門職では患者様に満足してもらえるパフォーマンスを発揮するためには「腐っても鯛」ではなく、「腐ったらだめ」なのです。医者には戻れるでしょうが、自分も他人も納得させるプロのパフォーマーには戻れないでしょう



ようするに、「いったん医者をやめて長い時間が経てば、自分のエゴで臨床に戻りたいと思うことはあっても、一流にはなれないから、患者様に迷惑をかけるだけなので、そんな無謀なことは慎むように」と当時は考えていました。しかしながら、そのエゴを抑えきれず臨床に一時的であるとはゆえ復帰しました。それほどまでに医師とくに、麻酔科医・集中治療医は奥深く、魅力的な仕事なのです。Dr.コトー診療所のコトー先生の「(大学病院を離れ、ひとり離島の診療所に逃げるように移るほどのトラウマを受けても)不思議に医者をやめようとは一度も思わなかった」というセリフを忘れることができません。また、23年のブランクの後に研究者から臨床医に転職した笹井先生のエピソードにも勇気づけられました。

消化器外科で五年間のトレーニングを受けた後、臨床から離れ二十三年間、大学と製薬企業研究所で基礎研究をしてきました。企業の役職定年も近くなり、第二の人生を考えたとき、学生の頃抱いていた「僻地医療に携わりたい」という思いに駆られるようになりました



また臨床復帰に関してはやはり人間関係を重視しました。自分より年上だが能力の低い人に仕事を教えるのは、どこの世界でも楽しい仕事ではありません。臨床のブランクを埋めるために年下の先生に教えてもらわなければなりません。私はアメリカでの実力重視で、年齢に関係なくファースト・ネームで呼び合う関係になれてきたので、年下の先生に教えてもらうのは問題がないのですが、相手に気をつかわせて、ご迷惑がかかることを申し訳なく思います。やはり最後は医局にお世話になりました。私が研修医の時にオーベンとして指導していただいた先生が部長を務める病院に勤務させていただくようにしていただきました。医者の世界でも卒業年次は重要で、先輩・後輩の関係はずっとそのままです。何歳になっても、先輩には教えを請いやすいし、後輩には気をつかわず教えやすいものなのです。

しかし単にエゴだけで臨床に復帰したわけではありません。研究者としての戦略もあるのです。私はハーバードで優秀な医師であると同時に優秀な研究者やリーダーであるパワフルなPhysician/Scientistを多く見てきました。例えば私の所属していたボストン小児病院は常に全米で1位の小児病院の座を長い間キープしていますが、その組織を率いるCEOのDr. James Mandellは超多忙であるにもかかわらず、エフォートの数%は常に患者様に直接関わることに割いています。時間配分さえ適切であれば、臨床と研究やマネージメントは両立し、臨床から得られるモチベーションやインスピレーションは、研究に非常に強力なドライブ(推進力)を与えてくれると考えています。


6月末日までは大阪成人病センター麻酔科・副部長を専任させていただきましたが、7月より三重大学教授専任となりました。成人病センター退職に際し、麻酔科部長の谷上先生には素晴らしいメッセージを、麻酔科スタッフの皆様には送別会での美味しい夕食を、手術室看護師・スタッフの皆様からは美しい花束等を、ICUの看護師の方々からは温かい言葉をいただきました。ありがとうございました。



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Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:三重大学医学部・分子病態学講座教授 10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務後, ボストンへ研究留学し、ハーバード大学医学部・准教授としてラボ運営に奮闘する. 2011年に帰国、大阪府立成人病センター麻酔科・副部長をつとめ、臨床麻酔のできる基礎医学研究者を自称する. 専門は免疫学・細胞接着. また研究者のキャリアやスキルに関する著書に「プロフェッショナル根性・研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」(羊土社)がある. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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