アカデミック・キャリアパスで研究者が切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
日本の若者の理系離れがニューヨークタイムズのワールドビジネス欄で取り上げられています:

High-Tech Japanese, Running Out of Engineers
TOKYO ― Japan is running out of engineers.
By MARTIN FACKLER (May 17, 2008)

日本の若者は、自分父親の世代がやってきた”もの作り”のような地味な仕事よりも、アメリカ人がやるように金融や医学などの高収入を得られる職業や、芸術のように純粋にクリエイティブと追い求めるような選択をするようになってきた
young Japanese themselves, the young here are behaving more like Americans: choosing better-paying fields like finance and medicine, or more purely creative careers, like the arts, rather than following their salaryman fathers into the unglamorous world of manufacturing.



この記事では、理系離れとくにエンジニアの不足を問題にしていますが、政府や産業界の対策として以下の3つを行っていると分析しています:
1)エンジニアの仕事をより魅力的なものであると言うイメージ戦略(advertising campaigns intended to make engineering look sexy and cool
2)外国人の登用(import foreign workers)
3)オフショアー(sending jobs to where the engineers are, in Vietnam and India)

1)に関しては米国でも同様のキャンペーンやっていますが、成功しているかどうかは定かではありません

2)に関しては、日本では日本語という言葉の壁があるだげでなく、閉鎖的なシステム(職場環境、昇進、転職)が問題であるため、インドからの優秀なエンジニアはよりオープンなシステムのある米国を好む傾向があるのも当然と考えられます。

しかし、そのオープンなシステムを持つ米国でさえポスト9-11では海外からやってくる優秀なエンジニアやその候補生の減少に大きな危機感をもっています。

もちろん日本人エンジニアの育成は最大の課題ですが、それに加えて今後は国境を越えての優秀なエンジニアの米国との奪い合い合戦が、日本のものつくりの大きな鍵になることは必至でしょう。




テーマ:研究者の生活 - ジャンル:学問・文化・芸術

ラジオショー「 This American Life」でよく知られたパブリックラジオインターナショナル(Public Radio International)のCEO アリサ ミラー(Alisa Miller)によると、”米国ではグローバル化が高度に進んでいると思われるが、米国市民の世界観は決して グローバルではなく、非常に偏ったものになっている”。その元凶としての偏ったニュース報道についてのアリサ ミラーによる5分間のプレゼンテーション。下の地図を見れば、米国の”グローバル”や”インターナショナル”がどれぼどバイアスのかかったものかよくわかります。

社会がますますグローバルになり相互につながっていくなかで、米国市民は”世界”に対してますます無知になっている。
even while society becomes more globally interconnected, "Americans seem to know less and less about the world around them."
      ーAlisa Miller, CEO of Public Radio Internationalー



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(筑駒―東大法学部に進んだ秀才君)曰く、こうした学歴になればなるほど自分たちのつく職業は限られてくる...........確かに受験雑誌や進学関係者の常套句に、よく勉強していい学校に行けば将来の可能性を広げられるというものがある。当然そこにあるイメージは全能感の全開のようなものであるが、いざその立場に立たされた当人ともなれば相場感というべきものが形成されて、国家公務員か、大学に残るか、外資系か、司法試験かといくつかの選択しかないようなことになるものだそうだ。つまりその意味では進路の可能性が狭まるのである。
             ーasahi.com 「中学受験の人生相談」


いい学校に行けば将来の可能性が広がるのか、狭まるのか? これは水の半分入ったコップを見て、もう半分しかないと見るか、まだ半分もあると見るのかにどこか似ています。

可能性が狭まる(=無数の現実的でない選択肢が失われていく)と見るよりも、どんどん可能性が広まる(=いくつかの非常に現実味のある選択肢が生まれてくる)と見たほうがずっと肯定的に生きることができると思います。

ただ、選択肢は多く持っておきたいが、まだまだ一つには絞りたくない(他の選択肢を捨てる勇気がない)という気持ちもよくわかりますが


文化系トークラジオLIFE「表現する人・したい人〜一億総クリエイター時代?」で学生の間でクリエーター指向よりプロデューサー指向が強まっているという話を聴きました。その主な理由としては:

積極的な理由としては、商業的なプロジェクトではクリエーターの意向が、プロデューサーによりオーバーライトされる(完全に変更される)ことが多々あるので、むしろ仕切る側に立ちたい

消極的な理由としては、クリエーターでやっていくほど創造性に自信はないが、プロデューサーやマネージャーとしてならやっていけそうな気がする

などが考えられるようです。

サイエンティストも広い意味での表現者でありクリエーターであるので、同じように考える人がいてもおかしくありません。ファカルティーとして独立した研究室を運営するようになると、プラニング・マネージメントの仕事が増えていきます。”クリエーター”であるポスドクや他のラボメンバーをマネージすることとグラント(研究費)を獲得することに専心する”プロデューサー”風の仕事のスタイルをとるファカルティーは数多くいます。

”クリエーター"から”プロデューサー”へ移行にともない、異なった種類の"創造性”が必要になってくると思います。ただ、”クリエーター"から”プロデューサー”への移行を非常に曖昧なものと考え、”クリエーター" or”プロデューサー”ではなく”クリエーター/プロデューサー”のように私はどちらでもありますという、自分のあり方を肩書きで決めつけない「スラッシュのあるキャリア」も考えていいのではないでしょうか。

参考:「スラッシュのあるキャリア」One Person/Multiple Careers: A New Model for Work/Life Success by Marci Alboher

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パラダイムは「パラダイムシフト」という形でよく目にしますが、「パラダイム」のしっくりくる定義が見つかりませんでした。そんな中、ゲイリー ハメル&ビル ブリーンの「経営の未来」でなかなかいい「パラダイム」の定義に出会いました:

パラダイムは単なる考え方にとどまるものではなく、世界観であり、どのような問題が解決する価値があるか、もしくは解決可能であるかに関する、幅広くかつ深く奉じられている信条である。



さらに、トーマス クーンの言葉を引用し:

パラダイムとは解決策があると想定できる問題を選ぶ基準である。


パラダイムは、パラダイムが提供する概念的、便宜的ツールの用語で表現できないがゆえに、問いの形に還元できない社会的に重要な問題から、コミュニティーを隔離することさえできるのである。



今まで正しい言葉が見つからずに、何が問題なのかちゃんと紙に書くことができずに悶々としていた事柄を、長い間あきらめずに必死で考え抜いたすえに、やっと正しく「問いの形で」文字として記述する事ができたとき「私的なパラダイム」はシフトを始めると考えてもいいのでしょか.....



ハーバード大キャンパスにあるスポーツクラブの壁に貼ってある言葉:


A man's health can be judged by which he takes two at a time - pills or stairs.
                          –Joan Welsh


仕事をするための集中力を維持するために、最も大切なことの一つが体力を維持することだと最近痛感しています。同じように感じているひとはやはりいるようです:

”考えるということには体力も重要。体力がないと、ここ一番でぐっと考えを深める時に集中力が続かない....体力がないというのは、知恵でわたっていく商売でもかなりハンディなんである”–On Off and Beyond



”集中力が続く人と続かない人の大きな違いは体力です”–勝間 和代・効率が10倍アップする新・知的生産術 via 初級Linuxプログラミング




ちなみに私見ですが、質の高い業績を数多く出している教授の多くは50を過ぎても朝運動しているように思います。
・私のPh.D. supervisorは月曜から金曜まで毎朝ジョギングしている。
・私のPostdoc. supervisorはマウンテン・バイクで通勤している。
・私の共同研究の一人は毎朝4:30に起きて30分水泳してから研究所に来る。
・先週UCSFからハーバードに招請講演にきた教授は、朝スターバックスでコーヒーを飲みながらラップトップに向かっている私の前をジョギングで通り過ぎていった。
等々

健康の話をするようになると、もう年だといいますが......



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アルゴアの元スピーチライターで作家のダニエル・ピンクの最新刊は漫画風のビジネス書「The Adventures of Johnny Bunko: The Last Career Guide You'll Ever Need」です。漫画風で短時間で読めるのですが、この本を5分でわかるようにしたスライドショーを見つけました。
ダニエル・ピンクの提唱する6つのキャリア・アドバイスは:

1)There is no plan.(キャリア・パスはふりかえって初めて見えるーSteve JobsのConnecting dotsー)

2)Think strengths, not weaknesses.(弱点の克服ではなく、強みに投資せよ)

3)It's not about you.(他人をハッピーにして、自分もハッピーになる)

4)Persistence trumps talent.(才能は継続してはじめていかされる)

5)Make excellent mistakes.(恐れるべくは失敗ではなく、失敗することを恐れること)

6)Leave an imprint.(仕事で意味あることを成す)


米国では「島耕作」のような漫画風のビジネス書はほとんどないので、この本は注目されています



大学/大学院の使命の一つがイノベーティブ(innovative)な人材を育て、社会に送り出すことであると私は考えています。(強調したいのはイノベーティブは必ずしも即戦力を意味しません。むしろ即戦力でない場合が多いのです。)ではイノベーションをどう評価/測定するべきでしょうか(もし、評価する必要があるとすれば....)。

ニューヨークタイムズに連載のブログfreakonomicsの”How Can We Measure Innovation? ”でのセスのコメントを私なりに解釈すると:

イノベーションを数値化しようとする試み自体が間違っている。数値化でできるような”イベント”が認識されるのは、イノベーションが起こった遥かに後である。また、その定義上イノベーションにはひとつとして同じものがない。「これはイノベーションに違いない、なぜなら同じものを過去に見たことがあるので」というステートメントは矛盾である。イノベーションとは”プロセス”であり、イノベーションの真の価値は、「イノベーションは長期的には必ず良き結果をもたらす」という信念自体にある。つまり、イノベーションは”プロセス”であり、目の前の1つの試みがたとえ失敗であっても、それが次の成功につながると信じることにある。

イノベーションの本質がプロセスを重視することである以上、大学/大学院の使命とは「即戦力」となる人材輩出を要求する社会からの近視的な圧力(と俵糧攻め)に耐え、ひたすらイノベーションというプロセスを信じることにあると思います。

以上週末の雑感でした。



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自己啓発と大人の英語勉強に使えます。



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「好きなことを仕事にすべきか」という今までに何度も取り上げられたキャリアにおける永遠の問いに、中村うさぎさんはノーと言います:


(ひとは)好きだったことを、突然嫌いになることは(しばしば)あるが、得意なことが、突然苦手になることはめったにない。ー執筆前夜



好きなことを仕事にしたばかりに、嫌いになってしまうことが往々にしてあるでしょう。ですから、むしろ得意なことをまず仕事にして、周りから認められてその仕事を好きになるというポジティブフィードバックを利用するのがStrengths-based approachの考え方。

それでは、その仕事が得意なんだけどなかなか好きになれない時にはどうするか。仕事を変える前にすべき対処法はいくつもあると思いますが、私の案を2つほど:
1)得意であること(高いパフォーマンス)を褒めてくれる人を探す(見つかるまで探す)。そして褒めてもらう。
2)自分がどれだけ達成したかを紙(またはブログなど)に書いて読み返して、自分が成し遂げたことの棚卸しをして、自分で自分をほめる。

つまり、好きになる対象を「仕事」から「仕事をしている自分」に移してみるのがいいかもしれません。


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プロフィール

Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務. その後, Harvard 大学医学部への研究留学を期に, 非常に迷った末に医局を離れBoston で独立することに挑戦し, 現在ラボ運営に奮闘する.「実験医学」 に”プロフェッショナル根性論”を執筆中.

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